女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

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目的の旅

第五十六話 馬車魔改造計画Ⅳ

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 オレは空間の中を見て驚いた。

 まさか本当に成功させられるなんて…。



「いや、まだだ。この空間が外にはみ出していたら意味がない」



 空間の中から、明らかに馬車からはみ出している空間を把握してから馬車の外を確認していく。



「おお…、入れないぞ!空間が見えない!」



 馬車の周囲には歪んでいる空間も無ければ、明らかに『そこ』にあった空間に入ることが出来なかった。



「成功ですか?」

「ああ!」



 オレは隣に寄ってきたイレーナを、嬉しさのあまり思わず抱きしめていた。



「ま、信希…!?」

「ありがとう!イレーナのおかげだ!まさか本当に作れるなんて!」



「お、落ち着いてくださいっ」

「本当に流石だ!イレーナが一緒に居てくれてよかった!」



 ひとしきり彼女に感謝を告げたあたりで、興奮が収まってくる。



 あれ…?イレーナが目の前にいる…?

 それにこの柔らかい感触は…イレーナを抱きしめている…。



「良かったですね?成功したのなら今日は終わりにしますか?」

「い、いや!魔法具まで作っておかないと感覚を忘れそうだ」



 てっきり怒られると思ったが…、昨日からイレーナが優しすぎてドキドキしてしまう…。



「大丈夫ですか?たくさん魔法を使っていたみたいですけど…」

「え…?」



「またローフリングの時の様に、体調が悪くなったりしていませんか?」

「あ、ああ。あの時みたいな感覚はないね。大丈夫だよ」



「もう少しこのままでもいいですか…?」



 …!?



「いきなり抱きついてごめん…」



「大丈夫ですよ、嬉しかったのは理解できますから」

「…」



 ふ、ふぅ…落ち着け。可愛すぎる。イレーナが…可愛すぎる。

 イレーナ…可愛い…。イレーナ可愛い…。イレーナ可愛い…。

 大切なことなので何度でも言います…。



「あーっ!イレーナおねーちゃんだけズルい!ボクもボクも!」



 シアンが遠くからオレたちを見て駆けつけてくる。



「はい。交代しましょう」



 イレーナはそう言うと名残惜しそうに離れて行き、代わりにシアンがオレのことを抱きしめてくる。



「ぎゅーーーっ」



 シアンのハグはイレーナとは違い少しだけ力強いものの、柔らかい体が密着しているので緊張してしまう。



 イレーナは随分とあっさり交代することを選んでいたみたいだけど、嫉妬とかそういうの無いのかな…?いや流石に自惚れすぎているな。



「んっ!ありがと!ユリアがデザート作ってくれるから食べてくる!」

「ん、行ってらっしゃい。ちゃんと歯磨きしないとね?」

「はーい!」



 嵐のように去っていくシアンに少しだけ戸惑ってしまった。

 

 でもすぐに本題に戻っていく。

 再び馬車の入り口に戻り──



「よし、魔法具を作ってみるぞ。さっき作った設計図とイメージを組み合わせて…、空間の大きさもしっかりイメージする。間仕切り、風呂、キッチン…床下に配管のスペースも、換気関係は天井裏に、馬車の上から吸排気できるように…」



 水晶を一つ手に持ち、どんどんとイメージを鮮明にしていく。

 落ち着けば大丈夫だ、ゆっくりでいい、あとは給排水の配管を…貯水タンクを二つ…、床が少しだけ温かくなるように…。



 かなり空間のイメージが作れたところで、水晶に空間を刻んでいき常に発動するように発動をオレの魔力に依存させていく。空間が崩れないようにしっかりとコーティングも忘れない。



 ここに来て少しだけ問題が発生した。

 完成間もなくと言ったところ、水晶に魔力を集中させている時にかなりの魔力か体力を奪われる感覚に襲われる。



「うっ…もう少しだぞ、頑張れ…」



 本当にあと少しだった。異常を感じてから数秒も経たずに力が抜けていくのが分かる。



「で、出来たか…?」



 オレは恐る恐る、馬車の入り口に近づいていく。

 そして出来上がっているであろう空間の中を覗き込む。



「イレーナ!見てくれ!」

「…?」



 オレは後ろで見ていたイレーナを急いで呼びつける。



「なっ…なんですかこれ…」

「すごい!成功しているぞ!」



 オレがイメージした通りに馬車の中がかなり広い空間に拡張されていた。



「普通の屋敷より広いんじゃ…?」

「え?でもみんなで生活するならこれくらい必要だよね」



「そういうことを言ってるんじゃ…まぁいいです…。成功してよかったですね」

「ああ!イレーナのおかげだ!」



「信希?汗がすごいですけど…大丈夫ですか?」

「どうだろう、今の魔法具を作った時に疲労感を感じたんだ」



 本当は心配させないように、そんなことは言わない方がいいんだろうけどわざわざ隠す事でもないので正直にイレーナに話しておく。



「大丈夫ですか?休みましょう?」

「ああ、でもローフリングの時よりは遥かに楽だから心配しなくてもいいと思う。今日はこれくらいにして休んでおこうと思うよ」



「そうしてくれると安心です。また明日頑張りましょう?」

「ああ。今日は休もう」



 夜の見張りは、ユリアとシアンが最初に担当してくれるみたいだった。

 オレはお言葉に甘えて先に休ませてもらうことにした。



「じゃあ、交代の時間になったら起こしてくれ」

「りょうかいですじゃ」



 少しだけ眠ろう。あの魔法具を作るのにかなり体力を使ってしまった。



 まだ魔改造したくてうずうずしているが、イレーナにもうしないといった手前休憩しておくのが良いだろう。





 ──。

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