女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

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目的の旅

第五十四話 馬車魔改造計画Ⅱ

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 馬車の改造を検討することにしてから六時間ほど経過していた。

 オレは最初こそ御者に集中出来ていたが、途中からはアイディアが浮かんできてどうも集中できずにいた。

 イレーナと会話をしていても魔法具の事ばかりが話題にあがるので、彼女の視線が少しずつ冷たくなっていくのを感じる…。



 そうこうしているうちに夕方になってきたので、今日も野営の準備をすることになり手分けをして手早く寝床と夕食の準備まで済ませることが出来た。



 ──。



「なぁ、みんな?今朝からイレーナと話していたんだけど、馬車を改造してみようかと思ってるんだ」

「改造?ってなにぃ?」



「もっと使いやすくするって感じかな」

「なるほどっ」



「それで信希さま?改造といってもかなり便利な馬車だと思われますじゃ。これ以上どうすると…」



「信希は馬車の中で、この全員が生活できる空間を作ろうとしているみたいですよ」

「なっ…そんなことが可能なんですの!?」



「ま、まだ出来るかわからないけど…。試しに実験してみるにしても水晶に余裕が無いからある程度の形を決めてから改造したいなって」

「ほうほう、それでその話し合いをしようというのじゃな」



「そのとおり!」



「信希?水晶ならワタシが使った残りがありますよ?四つほどですが役に立つなら使ってください」

「いいのか?それはもちろんありがたい!」



 若干、いやかなりか。オレは自分でもテンションが上がっているのを感じている。

 何にしても魔改造や改造系はワクワクする男だからな!



「じゃあ、みんなに聞きたいことから始めよう。生活する家の中に欲しいものって何かある?これは絶対に欲しいってやつがいいね」



「ふかふかのお布団!」

「そうだな、ゆっくり寛げるスペースはほしいな」

「ごはんっ!!」



「寝室は個室が良いな」

「お手洗いとかはほしいですの」

「お酒とか…」



「余は食事を作れるスペースがよいのじゃ」

「お風呂とか…ですか?」



「なるほど、なるほど…」



 若干名おかしなことを言っているのが聞こえたがスルーしておこう。

 みんなの欲しいものは大体オレが想像している通りだった。

 まぁ、生活最低限というかこれだけは外せないものだからな。



 残りの問題は空間拡張が出来るかどうかだな。

 本来であれば少しずつ拡張していくんだろうけど、今は手持ちの水晶がイレーナから貰った分を合わせても九つしかない。有効に活用していくなら最初から大き目に空間を拡張しておきたいな…。

 加えてトイレやお風呂の排水と生活雑排水をどうするかが問題になるが、これも二つの水晶で完結させる方法を既に思いついていた。一か所に排水を集めて異空間収納に送り、その中で水質浄化できる魔法具を可動させれば問題なく水をきれいにすることが出来る。



 ここまでに必要な水晶は三つ。



 ベッドや便器や浴室は現物で想像して召喚させればいいだろう。あと必要になるのはお風呂に水とお湯が出るように二つの水晶。これらは洗面とも共有させれば個数を減らせる。

 キッチンには多く必要になるな。水とお湯は問題ないが、コンロに炎の水晶が必要になる。一つの水晶でコンロ全部を賄う炎を作ることは出来るが…。調整用に水晶で炎の出口を管理させようか、四つ口コンロにしてコンロ下部で炎の水晶を発動させたら空間内に炎が発生して、出口の入り口を開閉させる水晶を使い火力を調整しよう。少し複雑な魔法になるが水晶の使用個数を減らすために頑張って調整してみよう。

 最後に冷蔵庫になるように冷気が出続ける水晶だな。



 これで必要な水晶が八個か…。



 とりあえず必要なものは全部揃えることが出来そうだった。



「よしよし、なんとかなりそうだな。あとは部屋の大きさと間取りを考えて…」

「信希スゴイ!これがお部屋になるの?」

「そうだよ、少し大きいかもしれないけど大は小を兼ねるってね」



「レストのお部屋もあるのぉ?」

「うん、全員分用意するからね」



 オレは地面に部屋の間取りと必要になる空間の大きさ考えるために完成後の設計図を描いていく。

 両肩の後ろからシアンとレストが覗き込んでオレの設計図を見て楽しそうにしている。



「本当に大丈夫でしょうか…」

「どうしたのじゃ?イレーナよ」



「信希はどうも自重という言葉を理解していないような…」

「そうじゃな…でも、あんなにワクワクしている信希を見るのも初めてじゃな…?」



「そうなんです…。だから止めようかどうか迷っていて…」

「ならば余に良い考えがあるのじゃ。まかせるのじゃ」



 なんだか周りからそんな会話が聞こえていたような気もするが、オレは設計図を描くのが楽しくてよく聞き取れなかった。



「信希さま?」



 そういってオレの隣に座ってきたのはユリアだった。



「ん?どうかした?」

「一つだけお願いがありますじゃ」



「うん?何でも言って?」

「信希さまが一番最初に作った魔法具の『認識阻害』を改良して余たち以外が馬車の中を見た時に、普通の大きさに見せることは可能かの?」



「…」



「「天才だぁっ!!」」



 思わず他のメンバーも声が大きくなる。

 確かに、今のオレだったらそれくらいの魔法具を作ることが出来そうな気がしている。



「できそうだからそれも付け加えてみるよ。これで丁度全部の水晶を使って魔改造できるぞ!」



「お役に立ててなによりじゃ」

「ユリア!ありがとう!」



 オレはそのまま、部屋の設計を猛スピードで進めていく。



「どうじゃ、余もなかなかやるじゃろう」

「とても良い考えだと思いました。信希の力も使い方で普通に見せることも出来るなんて思いつきませんでした」



「かっかっか、みんな楽しそうでなによりだな」

「こ、ここにいる人たちは化け物クラスの人達ばかりですの…」



「お姫様には刺激が強かったか?」

「もう姫ではありませんの、メキオンとお呼びくださいまし」



「そうか、私からすればメキオンも随分と頭が切れると思っているが?」

「そうなんですの…?」



「無自覚か、ちゃんと意識して使えるようになったら信希にも劣らない人間になれると思うぞ」

「が、頑張ってみますの…」



「…」

「イレーナ?随分と信希に見惚れておるの?」



「そ、そうですか…?」

「まぁまぁ、ミィズ良いではないか。昨日の今日じゃ、知らなかった部分が見れてもっと惚れても仕方ないのじゃ」

「かっかっか!それもそうじゃな」



「…」



 女性陣の会話は聞こえていたはずなんだけど、集中しすぎていたせいでよく覚えていない。

 早く魔法を使ってみたくなっているので、完成まで一気に集中していく。



 ──。

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