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目的の旅
第四十五話 魔法具Ⅱ
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オレはこの短時間の間に、ライターよりも少し強い炎が使える水晶と、湧き水を生み出す水晶の作成に成功することが出来た。
「なんならもうちょっと便利な物にも挑戦してみよう」
オレは王都のローフリングで見た『異空間収納』がとても気になっていた。
「あれを作ってみたいな。この世界に居る人間が作れているのだったらオレにでも出来るんじゃないか?」
ここ最近、ちょっと調子に乗りすぎなような雰囲気を感じている。
他でもない周囲のケモミミ様や同行者たちからだ。
「ま、まぁ…出来るかわかんないし…」
異空間収納か…、どういう原理で稼働させているんだろうか。
これまでの魔法を使ってみた感じ、その魔法に相当するイメージと現実に存在させることのできるものに限定しているような気がしている。
「もしそうなら、この世界に異空間っていうものが存在していることになるな…」
本当に単純な決めつけではあるが、そうでないと今のオレには『異空間』を説明できない。
もしも異空間があるのならどういった概念なんだろう…。
「異空間…元の世界なら宇宙のような空間をイメージしてる漫画やアニメが多かったな…。いや待てよ?異空間って言う言葉を文字通りに解釈するなら、自分たちの今いる世界とは別の世界ってことだよな」
もしもそうなら…。
「元居た世界が異空間ってことにならないか?」
でも、オレの力をもってしても元の世界とこの世界を繋ぐことなんてできるんだろうか…。
だが物は試しだ。一応やるだけやってみよう。
「一番想像しやすい場所は自分の家だろうな」
元居た世界で自分が住んでいた部屋を思い出す。その部屋をオレが今いるここに繋ぐ、玄関の扉をここに想像するんだ…。
「確かこんな感じだったはず…」
一人暮らし用の部屋だからそこまで大きな部屋ではないが、とても過ごしやすい部屋だった。それに、オレの趣味とも言えるアニメやゲームのフィギュアや漫画などが沢山保管されている部屋だ。
もしも元居た世界に未練があるとすれば、あの部屋に戻れないことだろうかと思えるほどには自分が大切にしていたものだ。
「さぁこい!」
オレは玄関の扉をイメージしていく。
そして目の前には──
「本当に扉が出てきたぞ…」
オレは内心かなりドキドキしている。
この扉を開けることが出来る日がまた来ることになるなんて…。
立ち上がり『オレの部屋』の扉を開ける─
「やっぱり、そううまくいくわけないよな…」
オレの目の前にあったのは『オレの部屋の玄関の扉』だけだった。
「でもこれは大きな発見じゃないか?」
そうだ。今は居空間収納について考えている。
この世界にある異空間収納は『元居た世界』に繋がっているわけではないことが証明されたんじゃないか?もちろん、そうそう簡単に実現できるものじゃないにしても、これまで自分の力で失敗したのはこれが初めてだ。
「だとしたら、この世界の異空間っていう概念がそもそも違うものな可能性もあるな」
次の可能性…、オレの持っている知識で異空間と呼べるものは多数あるはずだ。だがもちろん、問題もある。それをオレが脳内でイメージ出来るかと言えばまた別の話だ…。
「アニメやゲームの異空間と言えば…どんなかんじだったろうか?」
オレはここぞとばかりに、元居た世界の趣味でもあったアニメやゲームの知識を思い出していく。
「…そう言われると、異空間や亜空間といったスキルや能力は多くの作品が取り扱っていたが、その説明をしている作品は少なかったのではないか…?」
あの作品も…、この作品もじゃないか…?おいおい全然役に立たねーじゃねーか!
いや、それは読者のみんなに想像させることが目的なんだ。納得させてもらうために、その物語を読んでいるわけじゃないだろ!
「なるほど…、異空間か。異空間…言葉通りの意味で考えるなら、今いるこの世界とは別の空間や世界のことをいう言葉だったはずだ」
そう、異空間という言葉は文字通りというか、その言葉の意味を考えるのであれば『宇宙』のように、元居た世界でも存在するものに対して使う言葉ではないはずだ…。
「異空間はこの世界にも存在しない空間…」
あれ?だったらオレの得意分野じゃないか?
つまり自分のいる世界に、まったく別の世界を作るようなイメージじゃないか?それをどうやって保存させるか…。
これまで作った水晶で発現する魔法は、使用者の魔力を使って発動しているような感覚だった。だが、この異空間収納は発動時以外にも『何か』を消費しているんじゃないか?
「魔力…消費…保存…か?」
もしもこの考えで異空間収納を作れるなら、常用魔力は自分の魔力依存にして、空間接続の時を使用者に魔力を負担させることにすれば作れるかもしれない。
「まずは普通に発動させてみよう」
オレは、両手を胸の前で四十センチ四方の別の空間を作り出すイメージを作っていく。
それに加えて、この世界からアクセス出来るように、収納取り出しが出来るように…。
「どうだ?」
オレの目の前には透明のような、空間が歪んでいるような、不思議な立方体が出来上がっていた。
もしかして作れたのか…?
「と、とりあえず…何かを入れてみよう」
オレは足元に落ちていた小枝を『不思議な立方体』に近づける。
先端が触れると同時に、小枝の姿が消えていく─
「おっ!?おおおおお!?」
成功したか!?
オレはそのまま、手に持っている小枝をずんずんと不思議な立方体の中に進めていく。
少しだけ指が不思議な立方体に入ったところでも、痛みや特別な感覚を覚えることは無い。
そして、そのまま小枝を離す。
「どうだ…?」
オレは一度手を引き抜き、その空間が消えないうちに再度『小枝』を取り出すために不思議な立方体の中に手を入れていく。
「あった!」
立方体の中に先ほど入れた小枝の感触があり、それを持ちあげて引き抜く。
小枝自体にもオレの手にも特別な変化はなく、この魔法も成功しているみたいだった。
「まさか本当に作れるなんて…」
そうと分かれば話は早い。
あとは空間をデカくイメージにして、水晶に刻めばいいだけだ。
水晶を持ちあげ、先ほどの立方体よりも遥かに大きな十二畳くらい、高さは三メートルほどで空間をイメージしていく。
「さっき考えていたみたいに…」
空間を確保する魔力を自分依存に…、取り出し収納を使用者負担に…、魔力に反応して空間を開く、発動で空間を作り出せるように…。
どんどん自分の思い描いている『魔法』が具体的になっていく。イメージが明確になった時点で、自分の中から体力を奪われるような感覚を覚えた。
そこまでの負担ではないが、これまでの魔法を使った時よりも疲れを感じる程度だ。
「できたのか…?」
そして水晶に目を向けると、これまでに見たどの水晶よりも違う見た目になっていた。
色は透明だったものが金色に染まりつつあるような、透明で少しだけ光っているような印象すら感じる。
大きさこそ変わらないものの、少しだけ重くなったか?勘違いかと思い他の水晶と比べてみるが、明らかに今作り上げた水晶の方が重量があった。
「あとは発動できるかどうか…」
水晶を握り魔力を集中させる。
それと同時に瞬間的に目の前に何かが現れ、空間が歪んでいるのがわかる。
オレはワクワクしながらその空間の中に手を差し込む。
「スゴイ…、成功してる!」
次は中に石を入れてみる。
足元に入れたので、再度手を差し込み石をとりだす。
「出来ているな」
これだけ大きな空間を作ってしまったのなら気になることがある。
「これって中に入っても大丈夫なのか?」
問題はそこだ。
この中に入ることが出来なかったからあまり意味がない…。
「作るときには空間を作るイメージしかできなかったから、中が無酸素の可能性もあるのか…?」
考えていても答えは出ないな。
オレは空間に入る覚悟を決める。
ゆっくりと腕から入っていき、上半身から下半身へと進めていく。
──空間の中は快適そのものだった。
熱くもなく、寒くもなく、苦しくもない。
変わっていることと言えば、イメージした空間から外を見た時に何も見えないくらいだろうか。
外から見た時でも感じていたように、空間が歪んでいるような見た目で、空間全体を周囲から少しだけ照らしているような感じだ。
安全を確認することが出来たので、空間の外に出る。
出る時も問題なく、先ほどまでいた焚火の側に戻ってくることが出来た。
「できちゃったよ…オレすごくない?」
こうしてオレは、念願だった魔法具を完成させることが出来た。
──。
「なんならもうちょっと便利な物にも挑戦してみよう」
オレは王都のローフリングで見た『異空間収納』がとても気になっていた。
「あれを作ってみたいな。この世界に居る人間が作れているのだったらオレにでも出来るんじゃないか?」
ここ最近、ちょっと調子に乗りすぎなような雰囲気を感じている。
他でもない周囲のケモミミ様や同行者たちからだ。
「ま、まぁ…出来るかわかんないし…」
異空間収納か…、どういう原理で稼働させているんだろうか。
これまでの魔法を使ってみた感じ、その魔法に相当するイメージと現実に存在させることのできるものに限定しているような気がしている。
「もしそうなら、この世界に異空間っていうものが存在していることになるな…」
本当に単純な決めつけではあるが、そうでないと今のオレには『異空間』を説明できない。
もしも異空間があるのならどういった概念なんだろう…。
「異空間…元の世界なら宇宙のような空間をイメージしてる漫画やアニメが多かったな…。いや待てよ?異空間って言う言葉を文字通りに解釈するなら、自分たちの今いる世界とは別の世界ってことだよな」
もしもそうなら…。
「元居た世界が異空間ってことにならないか?」
でも、オレの力をもってしても元の世界とこの世界を繋ぐことなんてできるんだろうか…。
だが物は試しだ。一応やるだけやってみよう。
「一番想像しやすい場所は自分の家だろうな」
元居た世界で自分が住んでいた部屋を思い出す。その部屋をオレが今いるここに繋ぐ、玄関の扉をここに想像するんだ…。
「確かこんな感じだったはず…」
一人暮らし用の部屋だからそこまで大きな部屋ではないが、とても過ごしやすい部屋だった。それに、オレの趣味とも言えるアニメやゲームのフィギュアや漫画などが沢山保管されている部屋だ。
もしも元居た世界に未練があるとすれば、あの部屋に戻れないことだろうかと思えるほどには自分が大切にしていたものだ。
「さぁこい!」
オレは玄関の扉をイメージしていく。
そして目の前には──
「本当に扉が出てきたぞ…」
オレは内心かなりドキドキしている。
この扉を開けることが出来る日がまた来ることになるなんて…。
立ち上がり『オレの部屋』の扉を開ける─
「やっぱり、そううまくいくわけないよな…」
オレの目の前にあったのは『オレの部屋の玄関の扉』だけだった。
「でもこれは大きな発見じゃないか?」
そうだ。今は居空間収納について考えている。
この世界にある異空間収納は『元居た世界』に繋がっているわけではないことが証明されたんじゃないか?もちろん、そうそう簡単に実現できるものじゃないにしても、これまで自分の力で失敗したのはこれが初めてだ。
「だとしたら、この世界の異空間っていう概念がそもそも違うものな可能性もあるな」
次の可能性…、オレの持っている知識で異空間と呼べるものは多数あるはずだ。だがもちろん、問題もある。それをオレが脳内でイメージ出来るかと言えばまた別の話だ…。
「アニメやゲームの異空間と言えば…どんなかんじだったろうか?」
オレはここぞとばかりに、元居た世界の趣味でもあったアニメやゲームの知識を思い出していく。
「…そう言われると、異空間や亜空間といったスキルや能力は多くの作品が取り扱っていたが、その説明をしている作品は少なかったのではないか…?」
あの作品も…、この作品もじゃないか…?おいおい全然役に立たねーじゃねーか!
いや、それは読者のみんなに想像させることが目的なんだ。納得させてもらうために、その物語を読んでいるわけじゃないだろ!
「なるほど…、異空間か。異空間…言葉通りの意味で考えるなら、今いるこの世界とは別の空間や世界のことをいう言葉だったはずだ」
そう、異空間という言葉は文字通りというか、その言葉の意味を考えるのであれば『宇宙』のように、元居た世界でも存在するものに対して使う言葉ではないはずだ…。
「異空間はこの世界にも存在しない空間…」
あれ?だったらオレの得意分野じゃないか?
つまり自分のいる世界に、まったく別の世界を作るようなイメージじゃないか?それをどうやって保存させるか…。
これまで作った水晶で発現する魔法は、使用者の魔力を使って発動しているような感覚だった。だが、この異空間収納は発動時以外にも『何か』を消費しているんじゃないか?
「魔力…消費…保存…か?」
もしもこの考えで異空間収納を作れるなら、常用魔力は自分の魔力依存にして、空間接続の時を使用者に魔力を負担させることにすれば作れるかもしれない。
「まずは普通に発動させてみよう」
オレは、両手を胸の前で四十センチ四方の別の空間を作り出すイメージを作っていく。
それに加えて、この世界からアクセス出来るように、収納取り出しが出来るように…。
「どうだ?」
オレの目の前には透明のような、空間が歪んでいるような、不思議な立方体が出来上がっていた。
もしかして作れたのか…?
「と、とりあえず…何かを入れてみよう」
オレは足元に落ちていた小枝を『不思議な立方体』に近づける。
先端が触れると同時に、小枝の姿が消えていく─
「おっ!?おおおおお!?」
成功したか!?
オレはそのまま、手に持っている小枝をずんずんと不思議な立方体の中に進めていく。
少しだけ指が不思議な立方体に入ったところでも、痛みや特別な感覚を覚えることは無い。
そして、そのまま小枝を離す。
「どうだ…?」
オレは一度手を引き抜き、その空間が消えないうちに再度『小枝』を取り出すために不思議な立方体の中に手を入れていく。
「あった!」
立方体の中に先ほど入れた小枝の感触があり、それを持ちあげて引き抜く。
小枝自体にもオレの手にも特別な変化はなく、この魔法も成功しているみたいだった。
「まさか本当に作れるなんて…」
そうと分かれば話は早い。
あとは空間をデカくイメージにして、水晶に刻めばいいだけだ。
水晶を持ちあげ、先ほどの立方体よりも遥かに大きな十二畳くらい、高さは三メートルほどで空間をイメージしていく。
「さっき考えていたみたいに…」
空間を確保する魔力を自分依存に…、取り出し収納を使用者負担に…、魔力に反応して空間を開く、発動で空間を作り出せるように…。
どんどん自分の思い描いている『魔法』が具体的になっていく。イメージが明確になった時点で、自分の中から体力を奪われるような感覚を覚えた。
そこまでの負担ではないが、これまでの魔法を使った時よりも疲れを感じる程度だ。
「できたのか…?」
そして水晶に目を向けると、これまでに見たどの水晶よりも違う見た目になっていた。
色は透明だったものが金色に染まりつつあるような、透明で少しだけ光っているような印象すら感じる。
大きさこそ変わらないものの、少しだけ重くなったか?勘違いかと思い他の水晶と比べてみるが、明らかに今作り上げた水晶の方が重量があった。
「あとは発動できるかどうか…」
水晶を握り魔力を集中させる。
それと同時に瞬間的に目の前に何かが現れ、空間が歪んでいるのがわかる。
オレはワクワクしながらその空間の中に手を差し込む。
「スゴイ…、成功してる!」
次は中に石を入れてみる。
足元に入れたので、再度手を差し込み石をとりだす。
「出来ているな」
これだけ大きな空間を作ってしまったのなら気になることがある。
「これって中に入っても大丈夫なのか?」
問題はそこだ。
この中に入ることが出来なかったからあまり意味がない…。
「作るときには空間を作るイメージしかできなかったから、中が無酸素の可能性もあるのか…?」
考えていても答えは出ないな。
オレは空間に入る覚悟を決める。
ゆっくりと腕から入っていき、上半身から下半身へと進めていく。
──空間の中は快適そのものだった。
熱くもなく、寒くもなく、苦しくもない。
変わっていることと言えば、イメージした空間から外を見た時に何も見えないくらいだろうか。
外から見た時でも感じていたように、空間が歪んでいるような見た目で、空間全体を周囲から少しだけ照らしているような感じだ。
安全を確認することが出来たので、空間の外に出る。
出る時も問題なく、先ほどまでいた焚火の側に戻ってくることが出来た。
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──。
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