女性経験なしのオレ、夢に見たケモミミ様の居る世界へ転移、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。

たんぐ

文字の大きさ
上 下
45 / 127
目的の旅

第四十五話 魔法具Ⅱ

しおりを挟む
 オレはこの短時間の間に、ライターよりも少し強い炎が使える水晶と、湧き水を生み出す水晶の作成に成功することが出来た。



「なんならもうちょっと便利な物にも挑戦してみよう」



 オレは王都のローフリングで見た『異空間収納』がとても気になっていた。



「あれを作ってみたいな。この世界に居る人間が作れているのだったらオレにでも出来るんじゃないか?」



 ここ最近、ちょっと調子に乗りすぎなような雰囲気を感じている。

 他でもない周囲のケモミミ様や同行者たちからだ。



「ま、まぁ…出来るかわかんないし…」



 異空間収納か…、どういう原理で稼働させているんだろうか。

 これまでの魔法を使ってみた感じ、その魔法に相当するイメージと現実に存在させることのできるものに限定しているような気がしている。



「もしそうなら、この世界に異空間っていうものが存在していることになるな…」



 本当に単純な決めつけではあるが、そうでないと今のオレには『異空間』を説明できない。

 

 もしも異空間があるのならどういった概念なんだろう…。



「異空間…元の世界なら宇宙のような空間をイメージしてる漫画やアニメが多かったな…。いや待てよ?異空間って言う言葉を文字通りに解釈するなら、自分たちの今いる世界とは別の世界ってことだよな」



 もしもそうなら…。



「元居た世界が異空間ってことにならないか?」



 でも、オレの力をもってしても元の世界とこの世界を繋ぐことなんてできるんだろうか…。

 だが物は試しだ。一応やるだけやってみよう。



「一番想像しやすい場所は自分の家だろうな」



 元居た世界で自分が住んでいた部屋を思い出す。その部屋をオレが今いるここに繋ぐ、玄関の扉をここに想像するんだ…。



「確かこんな感じだったはず…」



 一人暮らし用の部屋だからそこまで大きな部屋ではないが、とても過ごしやすい部屋だった。それに、オレの趣味とも言えるアニメやゲームのフィギュアや漫画などが沢山保管されている部屋だ。

 もしも元居た世界に未練があるとすれば、あの部屋に戻れないことだろうかと思えるほどには自分が大切にしていたものだ。



「さぁこい!」



 オレは玄関の扉をイメージしていく。

 そして目の前には──



「本当に扉が出てきたぞ…」



 オレは内心かなりドキドキしている。

 この扉を開けることが出来る日がまた来ることになるなんて…。



 立ち上がり『オレの部屋』の扉を開ける─



「やっぱり、そううまくいくわけないよな…」



 オレの目の前にあったのは『オレの部屋の玄関の扉』だけだった。



「でもこれは大きな発見じゃないか?」



 そうだ。今は居空間収納について考えている。

 この世界にある異空間収納は『元居た世界』に繋がっているわけではないことが証明されたんじゃないか?もちろん、そうそう簡単に実現できるものじゃないにしても、これまで自分の力で失敗したのはこれが初めてだ。



「だとしたら、この世界の異空間っていう概念がそもそも違うものな可能性もあるな」



 次の可能性…、オレの持っている知識で異空間と呼べるものは多数あるはずだ。だがもちろん、問題もある。それをオレが脳内でイメージ出来るかと言えばまた別の話だ…。



「アニメやゲームの異空間と言えば…どんなかんじだったろうか?」



 オレはここぞとばかりに、元居た世界の趣味でもあったアニメやゲームの知識を思い出していく。



「…そう言われると、異空間や亜空間といったスキルや能力は多くの作品が取り扱っていたが、その説明をしている作品は少なかったのではないか…?」



 あの作品も…、この作品もじゃないか…?おいおい全然役に立たねーじゃねーか!

 いや、それは読者のみんなに想像させることが目的なんだ。納得させてもらうために、その物語を読んでいるわけじゃないだろ!



「なるほど…、異空間か。異空間…言葉通りの意味で考えるなら、今いるこの世界とは別の空間や世界のことをいう言葉だったはずだ」



 そう、異空間という言葉は文字通りというか、その言葉の意味を考えるのであれば『宇宙』のように、元居た世界でも存在するものに対して使う言葉ではないはずだ…。



「異空間はこの世界にも存在しない空間…」



 あれ?だったらオレの得意分野じゃないか?

 つまり自分のいる世界に、まったく別の世界を作るようなイメージじゃないか?それをどうやって保存させるか…。

 これまで作った水晶で発現する魔法は、使用者の魔力を使って発動しているような感覚だった。だが、この異空間収納は発動時以外にも『何か』を消費しているんじゃないか?



「魔力…消費…保存…か?」



 もしもこの考えで異空間収納を作れるなら、常用魔力は自分の魔力依存にして、空間接続の時を使用者に魔力を負担させることにすれば作れるかもしれない。



「まずは普通に発動させてみよう」



 オレは、両手を胸の前で四十センチ四方の別の空間を作り出すイメージを作っていく。

 それに加えて、この世界からアクセス出来るように、収納取り出しが出来るように…。



「どうだ?」



 オレの目の前には透明のような、空間が歪んでいるような、不思議な立方体が出来上がっていた。



 もしかして作れたのか…?



「と、とりあえず…何かを入れてみよう」



 オレは足元に落ちていた小枝を『不思議な立方体』に近づける。

 先端が触れると同時に、小枝の姿が消えていく─



「おっ!?おおおおお!?」



 成功したか!?

 オレはそのまま、手に持っている小枝をずんずんと不思議な立方体の中に進めていく。

 少しだけ指が不思議な立方体に入ったところでも、痛みや特別な感覚を覚えることは無い。

 そして、そのまま小枝を離す。



「どうだ…?」



 オレは一度手を引き抜き、その空間が消えないうちに再度『小枝』を取り出すために不思議な立方体の中に手を入れていく。



「あった!」



 立方体の中に先ほど入れた小枝の感触があり、それを持ちあげて引き抜く。

 小枝自体にもオレの手にも特別な変化はなく、この魔法も成功しているみたいだった。



「まさか本当に作れるなんて…」



 そうと分かれば話は早い。

 あとは空間をデカくイメージにして、水晶に刻めばいいだけだ。



 水晶を持ちあげ、先ほどの立方体よりも遥かに大きな十二畳くらい、高さは三メートルほどで空間をイメージしていく。



「さっき考えていたみたいに…」



 空間を確保する魔力を自分依存に…、取り出し収納を使用者負担に…、魔力に反応して空間を開く、発動で空間を作り出せるように…。



 どんどん自分の思い描いている『魔法』が具体的になっていく。イメージが明確になった時点で、自分の中から体力を奪われるような感覚を覚えた。

 そこまでの負担ではないが、これまでの魔法を使った時よりも疲れを感じる程度だ。



「できたのか…?」



 そして水晶に目を向けると、これまでに見たどの水晶よりも違う見た目になっていた。

 色は透明だったものが金色に染まりつつあるような、透明で少しだけ光っているような印象すら感じる。

 大きさこそ変わらないものの、少しだけ重くなったか?勘違いかと思い他の水晶と比べてみるが、明らかに今作り上げた水晶の方が重量があった。



「あとは発動できるかどうか…」



 水晶を握り魔力を集中させる。

 それと同時に瞬間的に目の前に何かが現れ、空間が歪んでいるのがわかる。

 オレはワクワクしながらその空間の中に手を差し込む。



「スゴイ…、成功してる!」



 次は中に石を入れてみる。

 足元に入れたので、再度手を差し込み石をとりだす。



「出来ているな」



 これだけ大きな空間を作ってしまったのなら気になることがある。



「これって中に入っても大丈夫なのか?」



 問題はそこだ。

 この中に入ることが出来なかったからあまり意味がない…。



「作るときには空間を作るイメージしかできなかったから、中が無酸素の可能性もあるのか…?」



 考えていても答えは出ないな。

 オレは空間に入る覚悟を決める。



 ゆっくりと腕から入っていき、上半身から下半身へと進めていく。



 ──空間の中は快適そのものだった。



 熱くもなく、寒くもなく、苦しくもない。

 変わっていることと言えば、イメージした空間から外を見た時に何も見えないくらいだろうか。

 外から見た時でも感じていたように、空間が歪んでいるような見た目で、空間全体を周囲から少しだけ照らしているような感じだ。



 安全を確認することが出来たので、空間の外に出る。

 出る時も問題なく、先ほどまでいた焚火の側に戻ってくることが出来た。



「できちゃったよ…オレすごくない?」



 こうしてオレは、念願だった魔法具を完成させることが出来た。



 ──。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

処理中です...