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目的の旅
第四十四話 魔法具Ⅰ
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女性陣が何やら密談をしているようなので、オレはオレで何かやることを考えていた。
「魔法具の研究をしてみよう」
前々から魔法具の作成には興味があった。
王都ローフリングで、イレーナと一緒に見た魔法具店の商品が魅力的だったからだ。
「異空間収納…、炎の魔法…、水生成…、光源の魔法…、他には何があるだろう」
オレはこの世界に来てからの目にしている魔法について思い出していく。
「問題はこれをオレがイメージ出来るかってところだよね」
この世界の魔法は、イメージを具現化させるだけで発動できそうな感じがしていた。
よくある話で、魔法を使うにはMPマジックポイントのような存在は今のところ確認できていない。もしもそういった存在があるのであれば、デストという獣人を治療した時に感じた頭痛と気分の悪さがそれに当てはまるかもしれない。
「ん-…まずは魔法が使えるかどうかだよね」
オレはまだ自分が魔法を使っているという自覚がありまない。
先日メキオンに教わりながら作った魔法具『認識阻害』は、どうもしっくり来ていない。
というのも、目に見える魔法じゃないからだ。やはり元居た世界の人間からすると、魔法というのは派手に炎を使ったり風を巻き起こせたり、雷を扱えるような感じではないだろうか。
でも、みんなの感想を聞く限りは魔法自体は使えていそうだからな…、他の魔法も使えればいいんだけど…。
「まずは炎だな」
オレは右手を前に差し出し、炎を鮮明にイメージしていく。
もちろん、ただの炎をイメージするだけではない。どうやってその炎が現れるのか、どうして燃焼できるのか、どのくらい燃焼を持続させるのか、周囲に酸素は必要か…。
どんどん自分が発動する炎のイメージを鮮明にしていく。
「可燃性ガス…、着火は火打石…、引火現象を引き起こす…、酸素も合わせて供給してさらに火力をあげる…」
かなり鮮明になったイメージを手のひらに集中させていく──
ゴオッっという音をたてて、オレの手のひらに火柱が発現する。
火柱は二メートル程立ち上がっただろうか、一瞬にして燃え上がり何事もなかったかのように消えていく。
「おおおお!すげえ!」
感激のあまり大きな声が出てしまうほどに『魔法を使った』という感覚を覚えた。
「魔法具にするには火力が強すぎるな…、もう少し規模を小さくしてイメージしよう…」
ここぞとばかりに、オレはイレーナから受け取っていた水晶へ魔法を刻んでいく。先ほどの炎よりも小さな規模で焚火やちょっとしたことにでも使えるくらいの炎を意識する。
「ライターよりは火力がほしいところだ…」
そして鮮明になったイメージを今度は水晶に投影し、再度水晶をコーティングするイメージを追加していく…。
「出来たか…?」
出来上がったであろう水晶は、先日完成させたものよりも変化が少ないように見えた。
「発動させてみよう─」
ホワッっと音を立てているかいないかといった具合に小さな火が出現した。
「なるほど…、水晶を手のひらに置いてなら、このまま使用できそうだな」
正直自分でも驚いていた。この世界に来て初めて見るちゃんとした魔法だ。これまでは、概念とかイメージとかそんな感じで魔法を考えていたせいか、どこか遠い存在のような感じだったが今は『魔法を使っている!』という感覚を理解して、もっともっと色々なものを作れそうな感じがしていた。
「すげえ…。何でも作れそうだ…」
本当はここで自重するべきなんだろうけど、オレは自分の創作意欲と興味を抑えることは出来なかった。
「水生成はめっちゃ便利だよな」
水のイメージはとてもシンプルで簡単そうだと思っていた。
元の世界で言う『湧き水』をイメージすればいいだけだ。地脈とかから想像するとなると大変だろうけど…、これまでの傾向的にそこまで厳密な想像は必要ではなさそうだった。
詠唱者のイメージ力次第だと思う。ソレがどういうものなのか理解出来ていれば発現できそうな感じだった。
「もしも飲み水にするなら綺麗な水がいいよな…」
今まで見た一番綺麗な湧き水を想像していく。
山奥で水が湧いていて、その水の流れる川はどこが水面か見まがうほどに透き通っていたな…。水温もかなり冷たかった覚えがある。
「おおおお…」
魔法の発現を確認するが、水の冷たさと手のひらの上に水球が出来上がり少しだけ動揺してしまう。
「このイメージで水晶に投影しよう」
一旦、魔法から意識を外し、今度は水晶に刻めるように再び湧き水に集中していく。
「やっぱり、炎の時とは勝手が違うな…」
水晶に魔法を刻み込むときは、それぞれの魔法によって色々と手段や方法が変わってきそうだった。
強引な魔法にならないように、丁寧に魔法のイメージを作っていく。
湧き水の冷たさのせいか、先ほど作った炎の水晶よりもひんやりとした水晶が出来上がる。
「本当にできたか…?」
出来上がったか不安になりながら、水晶へ意識を集中させる…。
自分の手のひらの上で発動させた水球よりも規模は小さいものの、ちゃんと水晶から水が湧いて出てくる。
「おおお!成功した!」
これはスゴイ!自分の魔力?さえあれば無限に水を作り出すことが出来るんじゃないか…?
「いやいや、そんなに甘い話は無いでしょ!」
自分でも都合のよすぎる妄想だと自分に言い聞かせつつ、水晶から湧いて出た水を手のひらに集めて飲んでみる。
「これはうまいな。しっかり冷えてるし最高だな」
この水晶が使える限り、料理や移動中の水分補給はとても楽になるなと考えつつ、オレはさらなる研究を進めていく。
──。
「魔法具の研究をしてみよう」
前々から魔法具の作成には興味があった。
王都ローフリングで、イレーナと一緒に見た魔法具店の商品が魅力的だったからだ。
「異空間収納…、炎の魔法…、水生成…、光源の魔法…、他には何があるだろう」
オレはこの世界に来てからの目にしている魔法について思い出していく。
「問題はこれをオレがイメージ出来るかってところだよね」
この世界の魔法は、イメージを具現化させるだけで発動できそうな感じがしていた。
よくある話で、魔法を使うにはMPマジックポイントのような存在は今のところ確認できていない。もしもそういった存在があるのであれば、デストという獣人を治療した時に感じた頭痛と気分の悪さがそれに当てはまるかもしれない。
「ん-…まずは魔法が使えるかどうかだよね」
オレはまだ自分が魔法を使っているという自覚がありまない。
先日メキオンに教わりながら作った魔法具『認識阻害』は、どうもしっくり来ていない。
というのも、目に見える魔法じゃないからだ。やはり元居た世界の人間からすると、魔法というのは派手に炎を使ったり風を巻き起こせたり、雷を扱えるような感じではないだろうか。
でも、みんなの感想を聞く限りは魔法自体は使えていそうだからな…、他の魔法も使えればいいんだけど…。
「まずは炎だな」
オレは右手を前に差し出し、炎を鮮明にイメージしていく。
もちろん、ただの炎をイメージするだけではない。どうやってその炎が現れるのか、どうして燃焼できるのか、どのくらい燃焼を持続させるのか、周囲に酸素は必要か…。
どんどん自分が発動する炎のイメージを鮮明にしていく。
「可燃性ガス…、着火は火打石…、引火現象を引き起こす…、酸素も合わせて供給してさらに火力をあげる…」
かなり鮮明になったイメージを手のひらに集中させていく──
ゴオッっという音をたてて、オレの手のひらに火柱が発現する。
火柱は二メートル程立ち上がっただろうか、一瞬にして燃え上がり何事もなかったかのように消えていく。
「おおおお!すげえ!」
感激のあまり大きな声が出てしまうほどに『魔法を使った』という感覚を覚えた。
「魔法具にするには火力が強すぎるな…、もう少し規模を小さくしてイメージしよう…」
ここぞとばかりに、オレはイレーナから受け取っていた水晶へ魔法を刻んでいく。先ほどの炎よりも小さな規模で焚火やちょっとしたことにでも使えるくらいの炎を意識する。
「ライターよりは火力がほしいところだ…」
そして鮮明になったイメージを今度は水晶に投影し、再度水晶をコーティングするイメージを追加していく…。
「出来たか…?」
出来上がったであろう水晶は、先日完成させたものよりも変化が少ないように見えた。
「発動させてみよう─」
ホワッっと音を立てているかいないかといった具合に小さな火が出現した。
「なるほど…、水晶を手のひらに置いてなら、このまま使用できそうだな」
正直自分でも驚いていた。この世界に来て初めて見るちゃんとした魔法だ。これまでは、概念とかイメージとかそんな感じで魔法を考えていたせいか、どこか遠い存在のような感じだったが今は『魔法を使っている!』という感覚を理解して、もっともっと色々なものを作れそうな感じがしていた。
「すげえ…。何でも作れそうだ…」
本当はここで自重するべきなんだろうけど、オレは自分の創作意欲と興味を抑えることは出来なかった。
「水生成はめっちゃ便利だよな」
水のイメージはとてもシンプルで簡単そうだと思っていた。
元の世界で言う『湧き水』をイメージすればいいだけだ。地脈とかから想像するとなると大変だろうけど…、これまでの傾向的にそこまで厳密な想像は必要ではなさそうだった。
詠唱者のイメージ力次第だと思う。ソレがどういうものなのか理解出来ていれば発現できそうな感じだった。
「もしも飲み水にするなら綺麗な水がいいよな…」
今まで見た一番綺麗な湧き水を想像していく。
山奥で水が湧いていて、その水の流れる川はどこが水面か見まがうほどに透き通っていたな…。水温もかなり冷たかった覚えがある。
「おおおお…」
魔法の発現を確認するが、水の冷たさと手のひらの上に水球が出来上がり少しだけ動揺してしまう。
「このイメージで水晶に投影しよう」
一旦、魔法から意識を外し、今度は水晶に刻めるように再び湧き水に集中していく。
「やっぱり、炎の時とは勝手が違うな…」
水晶に魔法を刻み込むときは、それぞれの魔法によって色々と手段や方法が変わってきそうだった。
強引な魔法にならないように、丁寧に魔法のイメージを作っていく。
湧き水の冷たさのせいか、先ほど作った炎の水晶よりもひんやりとした水晶が出来上がる。
「本当にできたか…?」
出来上がったか不安になりながら、水晶へ意識を集中させる…。
自分の手のひらの上で発動させた水球よりも規模は小さいものの、ちゃんと水晶から水が湧いて出てくる。
「おおお!成功した!」
これはスゴイ!自分の魔力?さえあれば無限に水を作り出すことが出来るんじゃないか…?
「いやいや、そんなに甘い話は無いでしょ!」
自分でも都合のよすぎる妄想だと自分に言い聞かせつつ、水晶から湧いて出た水を手のひらに集めて飲んでみる。
「これはうまいな。しっかり冷えてるし最高だな」
この水晶が使える限り、料理や移動中の水分補給はとても楽になるなと考えつつ、オレはさらなる研究を進めていく。
──。
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