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目的の旅
第四十二話 旅立ち
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オレが魔法と魔法具を会得と作成に成功したあと、みんなで手早く天幕を用意して眠ることになった。
ロンドゥナの認識阻害があるとはいえ、やはり夜間の見張りは必要だということなので、オレが夜間の警備にあたることになった。
一人でも大丈夫だと思うのだが、二人体制が良いというイレーナの言葉で数回に亘り交代しつつ夜間を警戒する流れになった。
これまでの旅路でも同じ流れだったが、人数も増えたおかげでその負担もかなり少なくなっている。
「じゃあ、みんなお休み。先に休んでいいよ」
「「おやすみなさーい」」
今日、最初の警備担当はオレとユリアが担当する。
「信希さまと二人きりは久しぶりですじゃ」
「そうだね。これだけの人数になってくると、なかなか二人きりになることは少ないね」
「信希さまは魔法も使えるとなると、もう無敵かもしれぬなぁ?」
ユリアはニコニコと笑いながら面白いものを見るような目をしている。
「そうだね。魔法を使えるなんてワクワクするから、色々試してみたいよね」
「あまりやりすぎると、イレーナに叱られてしまいますじゃ」
「た、たしかに…」
「ほどほどに、じゃな?」
「そうするよ」
やはり、オレの力は異例中の異例みたいだ。みんなから自重するようにくぎを刺されてしまう。
「それにしても、みんなが無事で本当によかった。なんだか王都に着いてからもゆっくりできなかったなぁって感じ」
「信希さまは、あれこれ抱えてしまいますからの。もう少し肩の力を抜いてもいいと思いますじゃ」
「でも、それでみんなに何かあったら…」
「それもそうですじゃ…。ですが、前も言ったよう信希さまならどんな状況でも乗り越えることが出来ますじゃ」
「うん…、今度からは少し自重するよ。なるべくなら面倒なことをしたくないからね。もっと事前に準備しておけるように、使えそうな魔法具を作ろうと思う」
「まぁ、それが信希さまの良いところでもありますじゃ…。気の済むまでやっておくのが良いのかもしれませんの…?」
「ごめんね?心配してくれているのは分かってるから、ちゃんと気を付けるよ」
「そう言ってもらえると嬉しいですじゃ」
ユリアはちゃんとオレの話を聞いてくれて、そのうえでしっかりと自分の意見も言ってくれる。
これが面倒と感じる人も居るだろうけど、ちゃんと彼女なりの芯があるような気がしてオレは好印象だとすら感じている。
それからは、ユリアと他愛のない談笑をしながら静かな夜を過ごした。
──。
昨晩の見張りは途中でイレーナとミィズが交代してくれて、オレとユリアも休憩することになり、そのまま朝を迎えることになった。
朝食がすでに準備されていて、なんだか至れり尽くせりな感じで人数が増えるだけで見張りの交代も食事の準備も、随分と楽になるなと感じていた。
「おはよう。食事の準備は誰が?」
「おはようございます。ポミナとロンドゥナです」
「そうか、二人ともありがとうね」
「いやいや、構わんよ。これからは同じ釜の飯を食う仲だ、任せてくれ」
「美味しくできました!一緒に食べましょう!」
そうしてオレたちは二人の準備してくれた朝食を食べて、いよいよ王都を離れることになった。
──。
「それにしても、ロンドゥナも着いてくるって…それはまたどうして?」
「そうだな…。我ら竜人は寿命も無いに等しい。その生の中での楽しみみたいなものか」
「そう…。何か目的があったり?」
「特には無いな。ただお主にはついて行かねばならぬ、そんな気がしているのだ」
「…」
感覚的なものは説明のしようがないからな…。
なんだかオレの旅の仲間たちは気づくと大人数になっている。
シアン、レスト、ポミナ、イレーナ、ミィズ、ユリア、ロンドゥナ、メキオン、本当に大所帯といった感じだ。
まだこの世界に来てから一か月も経過していないはずだが…、四名のケモミミ様と三名の人外美女に加えて一国のお姫様と来た。
「本当にどっかのハーレム主人公じゃないか」
「なんだそれは?」
「ああ、いやこっちの話」
「…?」
「信希?少しいいですか?」
「ああ、もちろん」
イレーナがオレのことを呼んでいる。
イレーナは御者をしてくれている。順番に少しずつみんなが出来る様に馬車と馬たちの扱い教えてくれるようだった。まずはミィズが名乗り出て馬たちの扱いを覚えていた。
「どうかした?」
オレは馬車の後ろから、イレーナたちが乗っているあたりの横に移動して問いかける。
「このまま道なりに進んでもいいんですか?」
「ん-、よくわかっていない…。このまま進めばどこに行くんだっけ?」
「このまま進めば、二週間~三週間掛かりますけど『イダンカ』という別の国に進みますね」
「なるほど…、それはどういった国か分かる?」
「ワタシも言ったことは無いので聞いた話になりますが、近辺には海や山があって自然が豊かな場所らしいです」
「おお。それはいいね、そっちに行ってみようか」
「そうですね、どちらにしてもこの国に居るわけにもいきませんから…」
「イダンカは畜産や農耕も盛んなお国ですので、色々な食材を食することが出来ますの」
馬車の中に乗っていたメキオンが、オレたちの話を聞いて前に出てきた。
「おー、豊かな国なんだな」
「その通りですの、ローフリングと肩を並べる大国ですの」
「イダンカ?近郊には魔獣は多いの?」
「どうでしょうか…、そこまで大きな被害は出ていないはずですの。もしかするとローフリングの方が危険は魔獣は多いかもしれませんの」
「そうか、ありがとう」
「いえ、なんでも聞いてくださいですの」
「イレーナ、途中で物資の補給とかはしなくても平気?」
「そうですね…数日分の食料を狩りで賄うことが出来れば、町で補給していく必要はありませんね」
「それはすごいな」
「やっぱり馬車があるおかげで荷物が随分楽になっていますからね、食料も多く買い込めていますから」
旅路はかなり楽になっているようだった。大人数になるにつれて、食料や水の問題も無視できなくなってくる。その点においては馬車を購入したのは正解だったと言えるだろう。
それもこれも、王都でなるべく早く行動出来たからだと思う。あのまま閉鎖した王都の中に居たのなら、馬車を購入することは叶わなかっただろう。
「馬たちも疲れたりするよね?どのくらいの休憩頻度になりそう?」
「もちろん休憩は必要になりますが、ペースは速くありませんから日中進んでその中に三度の休憩で十分かと思います。あとは馬たちの様子を見ながらといった感じです」
「そうなんだ。人間だけで歩いている時よりも休憩は少なそうだな」
「ええ。その分休憩中にはゆっくり休ませてあげましょう」
「さすがだなイレーナ。助かるよ」
海と山が豊かで、食材も豊富な国か…。もしかすると日本にも近い感じの国なのだろうか。
オレは次に向かう国に期待を膨らませつつ、みんなと歩みを進めていく。
ロンドゥナの認識阻害があるとはいえ、やはり夜間の見張りは必要だということなので、オレが夜間の警備にあたることになった。
一人でも大丈夫だと思うのだが、二人体制が良いというイレーナの言葉で数回に亘り交代しつつ夜間を警戒する流れになった。
これまでの旅路でも同じ流れだったが、人数も増えたおかげでその負担もかなり少なくなっている。
「じゃあ、みんなお休み。先に休んでいいよ」
「「おやすみなさーい」」
今日、最初の警備担当はオレとユリアが担当する。
「信希さまと二人きりは久しぶりですじゃ」
「そうだね。これだけの人数になってくると、なかなか二人きりになることは少ないね」
「信希さまは魔法も使えるとなると、もう無敵かもしれぬなぁ?」
ユリアはニコニコと笑いながら面白いものを見るような目をしている。
「そうだね。魔法を使えるなんてワクワクするから、色々試してみたいよね」
「あまりやりすぎると、イレーナに叱られてしまいますじゃ」
「た、たしかに…」
「ほどほどに、じゃな?」
「そうするよ」
やはり、オレの力は異例中の異例みたいだ。みんなから自重するようにくぎを刺されてしまう。
「それにしても、みんなが無事で本当によかった。なんだか王都に着いてからもゆっくりできなかったなぁって感じ」
「信希さまは、あれこれ抱えてしまいますからの。もう少し肩の力を抜いてもいいと思いますじゃ」
「でも、それでみんなに何かあったら…」
「それもそうですじゃ…。ですが、前も言ったよう信希さまならどんな状況でも乗り越えることが出来ますじゃ」
「うん…、今度からは少し自重するよ。なるべくなら面倒なことをしたくないからね。もっと事前に準備しておけるように、使えそうな魔法具を作ろうと思う」
「まぁ、それが信希さまの良いところでもありますじゃ…。気の済むまでやっておくのが良いのかもしれませんの…?」
「ごめんね?心配してくれているのは分かってるから、ちゃんと気を付けるよ」
「そう言ってもらえると嬉しいですじゃ」
ユリアはちゃんとオレの話を聞いてくれて、そのうえでしっかりと自分の意見も言ってくれる。
これが面倒と感じる人も居るだろうけど、ちゃんと彼女なりの芯があるような気がしてオレは好印象だとすら感じている。
それからは、ユリアと他愛のない談笑をしながら静かな夜を過ごした。
──。
昨晩の見張りは途中でイレーナとミィズが交代してくれて、オレとユリアも休憩することになり、そのまま朝を迎えることになった。
朝食がすでに準備されていて、なんだか至れり尽くせりな感じで人数が増えるだけで見張りの交代も食事の準備も、随分と楽になるなと感じていた。
「おはよう。食事の準備は誰が?」
「おはようございます。ポミナとロンドゥナです」
「そうか、二人ともありがとうね」
「いやいや、構わんよ。これからは同じ釜の飯を食う仲だ、任せてくれ」
「美味しくできました!一緒に食べましょう!」
そうしてオレたちは二人の準備してくれた朝食を食べて、いよいよ王都を離れることになった。
──。
「それにしても、ロンドゥナも着いてくるって…それはまたどうして?」
「そうだな…。我ら竜人は寿命も無いに等しい。その生の中での楽しみみたいなものか」
「そう…。何か目的があったり?」
「特には無いな。ただお主にはついて行かねばならぬ、そんな気がしているのだ」
「…」
感覚的なものは説明のしようがないからな…。
なんだかオレの旅の仲間たちは気づくと大人数になっている。
シアン、レスト、ポミナ、イレーナ、ミィズ、ユリア、ロンドゥナ、メキオン、本当に大所帯といった感じだ。
まだこの世界に来てから一か月も経過していないはずだが…、四名のケモミミ様と三名の人外美女に加えて一国のお姫様と来た。
「本当にどっかのハーレム主人公じゃないか」
「なんだそれは?」
「ああ、いやこっちの話」
「…?」
「信希?少しいいですか?」
「ああ、もちろん」
イレーナがオレのことを呼んでいる。
イレーナは御者をしてくれている。順番に少しずつみんなが出来る様に馬車と馬たちの扱い教えてくれるようだった。まずはミィズが名乗り出て馬たちの扱いを覚えていた。
「どうかした?」
オレは馬車の後ろから、イレーナたちが乗っているあたりの横に移動して問いかける。
「このまま道なりに進んでもいいんですか?」
「ん-、よくわかっていない…。このまま進めばどこに行くんだっけ?」
「このまま進めば、二週間~三週間掛かりますけど『イダンカ』という別の国に進みますね」
「なるほど…、それはどういった国か分かる?」
「ワタシも言ったことは無いので聞いた話になりますが、近辺には海や山があって自然が豊かな場所らしいです」
「おお。それはいいね、そっちに行ってみようか」
「そうですね、どちらにしてもこの国に居るわけにもいきませんから…」
「イダンカは畜産や農耕も盛んなお国ですので、色々な食材を食することが出来ますの」
馬車の中に乗っていたメキオンが、オレたちの話を聞いて前に出てきた。
「おー、豊かな国なんだな」
「その通りですの、ローフリングと肩を並べる大国ですの」
「イダンカ?近郊には魔獣は多いの?」
「どうでしょうか…、そこまで大きな被害は出ていないはずですの。もしかするとローフリングの方が危険は魔獣は多いかもしれませんの」
「そうか、ありがとう」
「いえ、なんでも聞いてくださいですの」
「イレーナ、途中で物資の補給とかはしなくても平気?」
「そうですね…数日分の食料を狩りで賄うことが出来れば、町で補給していく必要はありませんね」
「それはすごいな」
「やっぱり馬車があるおかげで荷物が随分楽になっていますからね、食料も多く買い込めていますから」
旅路はかなり楽になっているようだった。大人数になるにつれて、食料や水の問題も無視できなくなってくる。その点においては馬車を購入したのは正解だったと言えるだろう。
それもこれも、王都でなるべく早く行動出来たからだと思う。あのまま閉鎖した王都の中に居たのなら、馬車を購入することは叶わなかっただろう。
「馬たちも疲れたりするよね?どのくらいの休憩頻度になりそう?」
「もちろん休憩は必要になりますが、ペースは速くありませんから日中進んでその中に三度の休憩で十分かと思います。あとは馬たちの様子を見ながらといった感じです」
「そうなんだ。人間だけで歩いている時よりも休憩は少なそうだな」
「ええ。その分休憩中にはゆっくり休ませてあげましょう」
「さすがだなイレーナ。助かるよ」
海と山が豊かで、食材も豊富な国か…。もしかすると日本にも近い感じの国なのだろうか。
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