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王都
第三十四話 想定外
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王城で、褒賞で金貨百枚を受け取ったオレたちは当初の予定通りに、この国を出ることにした。
「もうこの街には戻ってこれないだろうけど、何か必要なものとかあったりする?」
「ボクは特にない!」
「レストもぉー、よくわかんないしぃ」
「服を選んでもらったので満足です…」
「余も必要ないと思うのじゃ、最低限のものはイレーナたちが準備してくれるはずじゃしの」
シアン、レスト、ポミナに関しては、これは最初からだがどこか能天気というか、かなり大雑把な生き方をしているなと感じることが多いけど、それも彼女たちの持ち味の一つなのかもしれない。
ケモミミ様を養っていくためにもオレがしっかりしなくては…。
「そうだね、じゃあこの街に居る理由も無いしこのまま北門に向かおうか」
王城がある位置から北門までは一番近い距離だが、徒歩だとそれなりに歩く距離であった。
イレーナたちと待ち合わせにしている場所に、なるべく早く到着できるようにこのまま街を出ることにする。
──。
オレたちは二十分程度歩いてきて、ようやく北門に到着することができた。街中は人が多く歩きづらかったので、距離自体はそこまで離れていないはずだが、体感で一キロメートル程度歩いたかなといった感じだ。
そして、門を見た時に少し違和感を感じる。
「あれ?この街に来た時って門は解放されていたよね?」
「その通りですじゃ、まだ閉門の時間にも早い…何かあったのかも…?」
「門番たちに話を聞いてみるか…」
そして、オレは門番たちに近づき理由を聞いてみる。
「ここの門は開かないのか?」
「今は王命によってこの街は閉門している。近辺にて強力な魔獣が確認されているらしい、討伐隊も出撃準備している。今、開門するのは難しいということだ」
「それはフォレストバジリスクとは別の魔物?」
「その通りだ。ヤツよりも危険な魔獣らしいからな、悪いが今外に出ることは出来ないと思ってくれ」
これは困ったことになったな…。強引に出ていくのは可能だが、もしも魔獣が門の外にいるのならこの街にも被害が出てしまう。
だったら門を飛び越えれば…。
いや、待てよ─。イレーナたちはどうした…?オレたちが宿を出てから、既に五時間程度は経過していそうだが…。
「ここに馬車に乗った三人組の女性が来なかったか?」
「ん-…?どうだろうか、今日はずっと門をしめているからな。来た者は全員街中に戻っていってるはずだ」
本当か…?いや、イレーナたちがまだ買い物をしている可能性は十分に考えられる。すこし街の中に戻って確認してみるか…?
「そうか、ありがとう」
オレは門番に軽くお礼をして、街の中に戻ることにした。
そして、少し歩いたところで─
「ユリア、変だと思わないか?」
「と…、言いますと?」
「タイミングが良すぎないか?オレが貴族位を断ってすぐに、魔獣が現れるか?」
「そう言われると、そんな気もしますじゃ…」
「それにあの門番はオレのことを知っていそうな感じがした」
「それはどうして…?」
「ん-説明しにくいんだけど、会話の流れと相手の態度かな」
「は、はぁ…」
「それにもしも、魔獣の出現が本当でイレーナたちが門外に出ていた場合…。それはあり得ないか…?もしも魔獣が外に居るのならイレーナたちも街の中に居ることになる。門番を無視して馬車を外に出すことは出来ないだろう。だったらイレーナたちを街の中で探すのが先決だな」
我ながら、よく頭が働いていると感心する。
「イレーナたちはどちらに居るんじゃろうか…」
「馬車の店に行けば分かりそうだな」
「しかし、大きな街にはいくつも馬車の店はありますじゃ」
「イレーナと二人で見に行ったところに確認しに行こう。多分だけど何かしら成果はあるはずだ」
「もちろんですじゃ」
「みんな悪いんだけど、もうしばらく歩くことになる。疲れちゃったら言ってね」
オレたちの会話を聞き、少しだけ不安そうになっている三人にそう告げる。
「イレーナおねーちゃんたちだいじょーぶ?」
「今は分からないけど、街中で襲うことはないと思うよ。出来るだけ急ごうね」
「信希についてくっ!」
そうしてオレたちは、先日イレーナと共に見た馬車屋に急ぐことになった─。
──。
オレたちが目指す馬車屋は北門からはかなり離れていて、到着するまでにかなりの時間を要することになった。
一時間ほど経過しただろうか、少し日が傾き始めたなと感じる程度に建物の影が伸びてき始めた頃に、目的の馬車屋に到着することができた。
オレは急いで店主に確認してみる。
「店主、すまないがこの店に馬車を買いに来た三人の女性組が来なかったですか?」
「ああ、来てたとも。えらく気前が良く現金一括で馬車を購入していったでな、それに皆美人揃いの人たちじゃったのぉ…」
「そうか、ありがとう。助かったよ」
「いやいや、こちらこそ良いものを見て気分が良いからの気にしなさんな」
店主の言っている美人の三人組は間違いなく、イレーナ、ミィズ、ロンドゥナだろう。
困ったことになった、イレーナたちは既に馬車を購入しているみたいだ。
それだとしたら、まだこの街の中に居るのか…?彼女たちの行動予測を立ててみよう。
馬車の購入にもある程度の時間は掛かるはずだ、そしてそのまま物資を購入に行ったはずだ。
もしくは先にある程度の物資を購入して、ここに持ち込んだ場合の方が想定しやすそうだ。馬車であの人の多い通りで買い物していくのは、かなり大変そうだからだ。
それにしても、オレたちが北門に到着するまでに物資の調達が終わらないだろうか…?
いや、全てを疑う前に想定されるイレーナたちの行動先を予想してみよう。
一度、オレたちの泊っていた宿に戻ってみよう、あそこには厩舎のような馬車を停めておく場所もあったはずだ。
もしも、全てがオレの杞憂であれば問題ないのだが、あの貴族が宿に訪ねてきたあたりから予想外の事ばかり起きている気がして、少しだけ嫌な予感がしている。
どこか余裕のなさを感じさせられながらオレは泊っていた宿へと急ぐ──。
「もうこの街には戻ってこれないだろうけど、何か必要なものとかあったりする?」
「ボクは特にない!」
「レストもぉー、よくわかんないしぃ」
「服を選んでもらったので満足です…」
「余も必要ないと思うのじゃ、最低限のものはイレーナたちが準備してくれるはずじゃしの」
シアン、レスト、ポミナに関しては、これは最初からだがどこか能天気というか、かなり大雑把な生き方をしているなと感じることが多いけど、それも彼女たちの持ち味の一つなのかもしれない。
ケモミミ様を養っていくためにもオレがしっかりしなくては…。
「そうだね、じゃあこの街に居る理由も無いしこのまま北門に向かおうか」
王城がある位置から北門までは一番近い距離だが、徒歩だとそれなりに歩く距離であった。
イレーナたちと待ち合わせにしている場所に、なるべく早く到着できるようにこのまま街を出ることにする。
──。
オレたちは二十分程度歩いてきて、ようやく北門に到着することができた。街中は人が多く歩きづらかったので、距離自体はそこまで離れていないはずだが、体感で一キロメートル程度歩いたかなといった感じだ。
そして、門を見た時に少し違和感を感じる。
「あれ?この街に来た時って門は解放されていたよね?」
「その通りですじゃ、まだ閉門の時間にも早い…何かあったのかも…?」
「門番たちに話を聞いてみるか…」
そして、オレは門番たちに近づき理由を聞いてみる。
「ここの門は開かないのか?」
「今は王命によってこの街は閉門している。近辺にて強力な魔獣が確認されているらしい、討伐隊も出撃準備している。今、開門するのは難しいということだ」
「それはフォレストバジリスクとは別の魔物?」
「その通りだ。ヤツよりも危険な魔獣らしいからな、悪いが今外に出ることは出来ないと思ってくれ」
これは困ったことになったな…。強引に出ていくのは可能だが、もしも魔獣が門の外にいるのならこの街にも被害が出てしまう。
だったら門を飛び越えれば…。
いや、待てよ─。イレーナたちはどうした…?オレたちが宿を出てから、既に五時間程度は経過していそうだが…。
「ここに馬車に乗った三人組の女性が来なかったか?」
「ん-…?どうだろうか、今日はずっと門をしめているからな。来た者は全員街中に戻っていってるはずだ」
本当か…?いや、イレーナたちがまだ買い物をしている可能性は十分に考えられる。すこし街の中に戻って確認してみるか…?
「そうか、ありがとう」
オレは門番に軽くお礼をして、街の中に戻ることにした。
そして、少し歩いたところで─
「ユリア、変だと思わないか?」
「と…、言いますと?」
「タイミングが良すぎないか?オレが貴族位を断ってすぐに、魔獣が現れるか?」
「そう言われると、そんな気もしますじゃ…」
「それにあの門番はオレのことを知っていそうな感じがした」
「それはどうして…?」
「ん-説明しにくいんだけど、会話の流れと相手の態度かな」
「は、はぁ…」
「それにもしも、魔獣の出現が本当でイレーナたちが門外に出ていた場合…。それはあり得ないか…?もしも魔獣が外に居るのならイレーナたちも街の中に居ることになる。門番を無視して馬車を外に出すことは出来ないだろう。だったらイレーナたちを街の中で探すのが先決だな」
我ながら、よく頭が働いていると感心する。
「イレーナたちはどちらに居るんじゃろうか…」
「馬車の店に行けば分かりそうだな」
「しかし、大きな街にはいくつも馬車の店はありますじゃ」
「イレーナと二人で見に行ったところに確認しに行こう。多分だけど何かしら成果はあるはずだ」
「もちろんですじゃ」
「みんな悪いんだけど、もうしばらく歩くことになる。疲れちゃったら言ってね」
オレたちの会話を聞き、少しだけ不安そうになっている三人にそう告げる。
「イレーナおねーちゃんたちだいじょーぶ?」
「今は分からないけど、街中で襲うことはないと思うよ。出来るだけ急ごうね」
「信希についてくっ!」
そうしてオレたちは、先日イレーナと共に見た馬車屋に急ぐことになった─。
──。
オレたちが目指す馬車屋は北門からはかなり離れていて、到着するまでにかなりの時間を要することになった。
一時間ほど経過しただろうか、少し日が傾き始めたなと感じる程度に建物の影が伸びてき始めた頃に、目的の馬車屋に到着することができた。
オレは急いで店主に確認してみる。
「店主、すまないがこの店に馬車を買いに来た三人の女性組が来なかったですか?」
「ああ、来てたとも。えらく気前が良く現金一括で馬車を購入していったでな、それに皆美人揃いの人たちじゃったのぉ…」
「そうか、ありがとう。助かったよ」
「いやいや、こちらこそ良いものを見て気分が良いからの気にしなさんな」
店主の言っている美人の三人組は間違いなく、イレーナ、ミィズ、ロンドゥナだろう。
困ったことになった、イレーナたちは既に馬車を購入しているみたいだ。
それだとしたら、まだこの街の中に居るのか…?彼女たちの行動予測を立ててみよう。
馬車の購入にもある程度の時間は掛かるはずだ、そしてそのまま物資を購入に行ったはずだ。
もしくは先にある程度の物資を購入して、ここに持ち込んだ場合の方が想定しやすそうだ。馬車であの人の多い通りで買い物していくのは、かなり大変そうだからだ。
それにしても、オレたちが北門に到着するまでに物資の調達が終わらないだろうか…?
いや、全てを疑う前に想定されるイレーナたちの行動先を予想してみよう。
一度、オレたちの泊っていた宿に戻ってみよう、あそこには厩舎のような馬車を停めておく場所もあったはずだ。
もしも、全てがオレの杞憂であれば問題ないのだが、あの貴族が宿に訪ねてきたあたりから予想外の事ばかり起きている気がして、少しだけ嫌な予感がしている。
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