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旅路
第十五話 至福…?の時間 閑話(インターミッション)
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それは、ワタシから提案したことでもあるから。自業自得と言えば自業自得だ。
あのシルバーウルフが襲ってきた時に信希が助けてくれなかったら、間違いなく大けがを負って、この旅に支障をきたすのは明白だった。
そして、その大きな借りに対して言葉だけのお礼で良いのかと、日に日に罪悪感が込み上げていた。
自分の体…大切な部分の耳を触らせてあげることが、信希に対する一番の感謝の示し方…なのかもしれない。彼は、ケモミミに対してものすごく愛を感じているみたいだし、そのことになると『愛』があふれていつも暴走しているし。
そこにワタシのケモミミがある…。
「これしかない…」
一世一代の覚悟を決めるようにワタシは信希の元に向かう。
「──あの、信希…。いま少し時間いいですか…?」
シルバーウルフの襲撃以降、ワタシと信希の距離は一気に縮まった気がしていた。いや、ワタシの性格の良くない部分が災いして良好な関係を築けていなかったのは言うまでありません…。
でも、あの一件で初めて素直になれたと言いますか…。ちゃんとワタシにも優しい信希に、これ以上意地を張っているのはあまりにも子供っぽいと感じたから…。
それ以来、信希はワタシにもとても優しい笑顔を向けてくれるようになりました。そんな優しい彼に、間違いなく惹かれているのも理解できる…。
「─イレーナ!」
これまで聞いたことのない信希の声音に思わずびくりとする。
ああ、彼はちゃんとワタシのためにも怒ってくれる…。
「信希は、ワタシに多くのものをくれるんですね」
「…ちょっと格好つけすぎかな?」
ちょっぴり照れてしまった信希はそうも言いつつ、変わらず優しい笑顔をワタシにくれる。
「信希にとって一番嬉しいだろうお礼を考えましたっ!…わ、ワタシの耳を触ってもいいです…よ?」
──。
「で、では失礼して…」
信希はそう言うと、とても優しい手つきでワタシの頭を撫でてくる。ケモミミを触るだけかと思ったのに、頭を触られて少しだけ動揺してしまう。
ほどなくして、いつも信希が暴走した時に聞こえてくる『呪文』が聞こえてくる─
『これはまずい!止めないとっ!』
そう思ったが時すでに遅しで…、その優しい手つきがワタシの大切な部分に触れていた。これまで子供の時しか触られたことのない耳が、こんなに感じてしまうものなんて理解できていなかったことに後悔する。
上手く声を出すこともできない。
「ま…まさ…きぃ」
体の力を振り絞りなんとか声を出すものの、暴走している信希の耳に届くはずもなく、信希の優しい手つきでワタシの大切な耳が蹂躙され冒されていく。
ワタシの耳を触る彼の眼は、初めておもちゃを手にした子供の様なキラキラと輝きに満ち溢れていた。
本来のワタシであれば、強引にでも制止させて怒鳴りつけるはずなのに、信希のまっすぐな『ケモミミ愛』が伝わってきて…嫌な気持ちは微塵も感じられない。
『でも、これは刺激が強すぎるっ!』
「おねが…まっ…」
ダメだ…声が出ない。早く何とかしないと気が狂ってしまう…。
─ワタシの心配していたことがどんどん現実のものとなっていく。
信希の『研究』はどんどん過激さを増していき、耳の付け根あたりをしばらく「さわさわ」した後、耳周辺のマッサージを始めた。
両耳とも均等に、優しく、本当に両手かと思うくらいの手数で、それでいてワタシの気持ちいところを予め知っているかのように、信希のケモミミ愛がどんどんと膨らんでいっているのが伝わってくる。
『気持ちいい…』
そんな悠長なことを考えていたのは一瞬だった。
信希の指が私の耳内側に侵入してくる。
先端を優しく包むように摘まむように、耳全体の形を探るように耳介外周を撫でまわし、毛並みに沿って内側から外側へ何度も何度も…、刺激の強い奥に近い部分を円を描くように、耳がどんな動きをするのか調べるように…。
もうその時にはワタシの耳は信希に、優しくそれでいて激しく嬲られ尽くされていた。
『もう…だめ…』
もはや、誰かに助けを求めるしかなくなったワタシは─
「おね、がい…もぅ…」
「いれっ──」
その時のことはここまでしか覚えていない─。
あのシルバーウルフが襲ってきた時に信希が助けてくれなかったら、間違いなく大けがを負って、この旅に支障をきたすのは明白だった。
そして、その大きな借りに対して言葉だけのお礼で良いのかと、日に日に罪悪感が込み上げていた。
自分の体…大切な部分の耳を触らせてあげることが、信希に対する一番の感謝の示し方…なのかもしれない。彼は、ケモミミに対してものすごく愛を感じているみたいだし、そのことになると『愛』があふれていつも暴走しているし。
そこにワタシのケモミミがある…。
「これしかない…」
一世一代の覚悟を決めるようにワタシは信希の元に向かう。
「──あの、信希…。いま少し時間いいですか…?」
シルバーウルフの襲撃以降、ワタシと信希の距離は一気に縮まった気がしていた。いや、ワタシの性格の良くない部分が災いして良好な関係を築けていなかったのは言うまでありません…。
でも、あの一件で初めて素直になれたと言いますか…。ちゃんとワタシにも優しい信希に、これ以上意地を張っているのはあまりにも子供っぽいと感じたから…。
それ以来、信希はワタシにもとても優しい笑顔を向けてくれるようになりました。そんな優しい彼に、間違いなく惹かれているのも理解できる…。
「─イレーナ!」
これまで聞いたことのない信希の声音に思わずびくりとする。
ああ、彼はちゃんとワタシのためにも怒ってくれる…。
「信希は、ワタシに多くのものをくれるんですね」
「…ちょっと格好つけすぎかな?」
ちょっぴり照れてしまった信希はそうも言いつつ、変わらず優しい笑顔をワタシにくれる。
「信希にとって一番嬉しいだろうお礼を考えましたっ!…わ、ワタシの耳を触ってもいいです…よ?」
──。
「で、では失礼して…」
信希はそう言うと、とても優しい手つきでワタシの頭を撫でてくる。ケモミミを触るだけかと思ったのに、頭を触られて少しだけ動揺してしまう。
ほどなくして、いつも信希が暴走した時に聞こえてくる『呪文』が聞こえてくる─
『これはまずい!止めないとっ!』
そう思ったが時すでに遅しで…、その優しい手つきがワタシの大切な部分に触れていた。これまで子供の時しか触られたことのない耳が、こんなに感じてしまうものなんて理解できていなかったことに後悔する。
上手く声を出すこともできない。
「ま…まさ…きぃ」
体の力を振り絞りなんとか声を出すものの、暴走している信希の耳に届くはずもなく、信希の優しい手つきでワタシの大切な耳が蹂躙され冒されていく。
ワタシの耳を触る彼の眼は、初めておもちゃを手にした子供の様なキラキラと輝きに満ち溢れていた。
本来のワタシであれば、強引にでも制止させて怒鳴りつけるはずなのに、信希のまっすぐな『ケモミミ愛』が伝わってきて…嫌な気持ちは微塵も感じられない。
『でも、これは刺激が強すぎるっ!』
「おねが…まっ…」
ダメだ…声が出ない。早く何とかしないと気が狂ってしまう…。
─ワタシの心配していたことがどんどん現実のものとなっていく。
信希の『研究』はどんどん過激さを増していき、耳の付け根あたりをしばらく「さわさわ」した後、耳周辺のマッサージを始めた。
両耳とも均等に、優しく、本当に両手かと思うくらいの手数で、それでいてワタシの気持ちいところを予め知っているかのように、信希のケモミミ愛がどんどんと膨らんでいっているのが伝わってくる。
『気持ちいい…』
そんな悠長なことを考えていたのは一瞬だった。
信希の指が私の耳内側に侵入してくる。
先端を優しく包むように摘まむように、耳全体の形を探るように耳介外周を撫でまわし、毛並みに沿って内側から外側へ何度も何度も…、刺激の強い奥に近い部分を円を描くように、耳がどんな動きをするのか調べるように…。
もうその時にはワタシの耳は信希に、優しくそれでいて激しく嬲られ尽くされていた。
『もう…だめ…』
もはや、誰かに助けを求めるしかなくなったワタシは─
「おね、がい…もぅ…」
「いれっ──」
その時のことはここまでしか覚えていない─。
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