中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

82,先制攻撃

　馬車からかなり後方に、魔物の姿が目視で微かに確認できた。

　以前戦った事のあるワーウルフだった。

　慎重に狙いを定めて足止め用の結界に封じ込める。

　そして素早く結界内にファイアとウィングを多重に掛けて結界内を燃やし尽くす。

　色々な試行錯誤や連続魔法使用を続けた結果、魔法の発動速度が恐ろしく速く成っている。

　１秒で数千回は重ね掛けが出来てしまうので、傍目からは通常に魔法が使えている様に見えるだろう。

　取り合えず、視界に入った魔物はクリア出来たので、ほっと息を付く。

　街道はサイドの林が疎らになり、周囲が拓けた草原に変わる。

　前方に町の影が目に入り、漸く到着するようだ。

　後を追う魔物の事もあり油断は出来ないが、手早く奇跡の仕込みをしていかなくてはならない。

「なんだか忙しいなぁ····。」

　俺はコッソリと溜め息を付いた。