中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

うさみん

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67,読めない行動

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 男の視線がそれた隙に、ソウタは急ぎ茂みの中に消える。

 男は視線を戻してソウタの姿を見失い、眉をひそめる。

 近場の茂みに潜んでいたチキントードを狩り、何食わぬ顔で馬車の影から姿を現すと男に声を掛けた。

「すみません。ナイフを貸して頂けませんか?」

 ソウタの姿を見失っていた男は、突然声を掛けられ一瞬肝を冷やしたが直ぐに持ち直すと、笑顔でナイフを手渡す。

「いいぜ。どうするんだい?」

「感覚を忘れないうちに、解体してみます。」

 先程のぎこちなさは影を潜め、ソウタは的確にナイフを動かす。

 元々わりと器用な方なので、コツさえ掴めば苦はなかった。

 肉を木の枝に刺し丸焼きにしながら、引き続き男が話し掛けてくる。

「坊主は小さいのに一人旅なのかい?あまり旅なれて居ないようだが、何処の出なんだい?親は心配しているだろうに。」

 いかにも親身に心配している様に見せ掛けながら男は様子を伺う。

「出身はアズマコクですよ。親は···悲しませたでしょうが、もう会うことも叶いませんし、この世界では俺も成人してますから独り立ちといった所です。」

 ソウタの話から、何故か違和感がぬぐえないものの、目論見が外れていることに思い至り、男は肩を落とした。

 しかし、諦めきれずに食い下がる。

「そうか、幼く見えたが成人していたのか。独り立ちなら親も餞別は弾んでくれたろう?感謝しないといけないぞ!」

 男の言葉にソウタは両親に想いを馳せる。

「育ててくれた両親にはとても感謝しています。思いがけずに身一つで旅をすることになったので苦労はありますが、今でも心の支えになってくれますから。」

 しみじみと語るソウタに男は内心溜め息をつく。

 どうやらとんだ無駄骨だったらしい···。

 しかし、ソウタから感じる得体の知れない違和感が拭えず、不思議と意識が切り離せない。

 横並びに腰掛け、焼けた肉を一緒に食べながら男は思案する。

 まだ、確かな確証を得た訳ではない、眠った隙にソウタの持ち物を物色しよう、そう決めて寝床をソウタの傍に陣取った。
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