中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

うさみん

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62,露見

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 ライルが戻るまで、密着したまま色々な話をした。

「お兄ちゃんはすごくがんばって来たんだね!」

「私だったら諦めちゃうかも···お兄ちゃんすごい!」

 二人の素直な賛辞に、照れくささと充実感を感じて微笑む。

「お兄ちゃんだったら、絶対にやり遂げられるよ!」

「私達は何時でも応援してるよ!何があってもお兄ちゃんの味方だからね!」

 双子の想いが、まるで新たなる力を与えてくれるように感じる。

 守るべき者がまた増えたと、慶びと使命感に燃える。

 俺って意外に単純だよな···。

 自分の事ながら、苦笑してしまった。

「帰ったよ。」

 ライルの穏やかな声が聞こえて、俺は双子と供に部屋を出た。

「「おかえりなさい。」」

 双子の様子が少し違うのに気付いたのか、ライルにまじまじと見詰められる。

「おかえりなさい。実はお話ししたい事が、有りまして···。」

「もう旅立つつもりなんだね。」

 伝えるより早く、言い当てられて驚く。

「今日は町で不思議な事が起こったんだよ。」

 ライルは俺を見詰めたまま、話を続ける。

「町の空に煌めく女性が姿を現して、光と供に町中に癒しの力が振り撒かれたんだ。旅人や商人達が口々に神様とか、神の奇跡だと話していたよ。」

 笑いながらライルは視線を外そうとはしない。

「ソウタもあの光景を見たかい?」

「ええ。素敵な光景でしたね。前の町でも偶然同じものを見ましたよ。」

 俺の返事にライルが笑みを深める。

ね···。偶然と言えば今日ソウタを、町の中心にある塔で見掛けたんだ。あの塔はこの町の自慢なんだよ。上からの景色が最高だったろう?」

「そうなんですね。あの塔からの景色は素敵ですね。」

 俺の言葉にライルが笑い出す。

「やはり、塔の上に居たのはソウタだったのか!あの塔は一般人は立ち入り禁止なんだよ。」

 しまった!誘導尋問されていた!

 青くなった俺にライルは微笑む。

「別に誰かに話すつもりは無いから心配は要らないよ。リロとリルも知っているんだろ?何かあるとは思ったが、悪霊も退治してくれた上にさらに大胆な事をするね。」

 何もかも見透かされて、俺は何も言えなくなる。

「今日はもう遅いから、出発は明日にしてくれ。出来るだけリルとリロの傍に居てあげて欲しい。」

 ライルの兄としての申し出に頷く。

「でも、1つだけ訂正させて下さい。俺は神様ではありませんよ?」

「奇跡を起こす者が神様だろう?だったら神様は君だよ!」

 訂正は却下され俺は心中複雑だった。

 信じる対象が違っても神の力になり得るのだろうか?

 生憎、ソウタの疑問に答えられる者は居なかった。

 ソウタは意図せずに、3人の信者を得る事となった。
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