中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

61,神の誤算

「有り得ない····。」

　モニターを見ながら神は呟く。

　彼の魂が何故か昇格しているのに気付いたのだ。

　魂の昇格は何度も輪廻転生を繰り返してようやく起こる現象だ。

　だから彼には当てはまらない筈だった。

「何度も魂を消費して回復しているから、輪廻転生の代替えになったのかも···。」

　彼の魂は人から神の眷属にまで昇格していて、魂だけの彼は魔物や魔族にとってはよだれが出るほどの御馳走に写るに違いない。

「肉体が在ればチート並に眷属の力が使えるのに····。ごめんね。」

　余りの残念さに謝るしか出来なかった。

「それにしても、あの双子は元々が神官や巫女の血筋だったみたいだね···。」

　だからこそ神の眷属になった彼と、魂を通じ合わせ力を得ることが出来ているのだ。

　そして、双子の彼を想う力は彼を引き上げる力となる。

「神は私なのに···あの双子にとっては彼が神と同格なんて···。」

　力のある双子達は、普通の人達の信仰心の数１００倍もの効果をもたらす。

　本来なら自分に向けられる筈の信仰心が彼に向けられている事に、密やかに嫉妬を感じてしまう。

　このまま無事に昇格が繰り返されれば、僅かな可能性であるが神族の末席の一員に成りうるかもしれない。

「とんだダークホースだ···。」

　本人の知らない所でとんだ躍進と、更なる苦難が降りかかる事になったのであった。