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56,前準備

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 この世界の人達の朝は早い。

 早目の朝食を頂き、結界と魔力感知を展開したままにして町中を改めて散策する。

 町中は町の規模からすると少し活気がなく、薄暗く沈んで居るようだ。 

 やはり先に憂いを取り除かなくてはならないだろう。

 魔力の消費は大きいが、同時展開に慣れなくては今回は対応出来そうに無い。

 しかし一日行うには負担が大きい。

 日中は町中に魔物の気配は感じられなかったので、双子の家に戻る。

 双子は俺の姿を確認すると、直ぐにまた張り付いてくる。

「お兄ちゃん、お帰り!」

 頬を刷り寄せ、気持ち良さそうな顔になる。

「そんなに気持ちがいいの?」

 張り付かれる事はもう分かっていたので、ため息混じりに問う。

「お日様みたいにぽかぽかして、幸せになるの!」

「お兄ちゃんの魂の力が、少しずつ強くなってるのが分かるよ!どんどん僕達の力になってくるから···!」

 自分の魂の力が、双子に影響を与えているとは思えないけれど、二人が俺に執着する理由はなんとなく分かった。

 ライルが戻るまで双子の部屋で魔法を使いながら魔力循環、魔力制御、魔力操作を繰り返す。

 地道な作業をこなしながら魔力を高めていくしか、この町の広さに対応する術がない。

 夜間になり、魔力感知に反応があった。

 寝ている双子を起こさないようにベッドから降りる。

 俺はすぐさま窓から出て屋根の上に上がる。

 流石に結界の外に出ると直ぐに反応が近付き、目視出来る迄近付いて来る。

 町に影を落とす悪霊の正体が分かった。

「やっぱりゴーストか。」

 白く透けた体を揺らめかせて、笑っている様に見えた。

 俺は決意を固める為に深呼吸をした。

 さあ、戦闘開始だ。


 

 

 
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