中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

55,守りの力

　桶と布をライルに返し、改めて双子と部屋で向き合う。

「悪霊は、何体居るのか分かる？」

　双子はお互いを見詰め合うと俺に向き直る。

「３体だよ。強いのが１体と弱いのが２体居るよ。」

　俺は少し考えて、双子にお願いをすることにした。

「結界を張る所を見せてもらえないかな？」

　魔法を使う所を視れば魔力の動きが分かるから、そこから魔法の使い方を覚える事にした。

　双子は同時に微笑むと向かい合わせになり、手を繋ぐ。

　二人の間に光の輪が生まれその場で回転しながら拡がっていく。

　光の輪は高速で回転していき、大きな球体になって部屋全体を包み込んだ。

　光が収束して、結界が出来上がる。

「ありがとう。俺も試してみるよ。」

　両手の平を向かい合わせ、魔力を集めて輪になるように調えながら収束させる。

　均等に魔力を掛ける必要があるので、力加減が難しく気を抜くと霧散してしまう。

　何度も挑戦していくと、双子の様に光の輪が出来た。

　そこに魔力による空間把握を織り込みながら、回転を加える。

　この行程も難しく、何度もやり直す。

　少しずつ広げて、なんとか自分を包み込む程度の結界を張る事が出来た。

　思いの外安定させるのが難しく、範囲をこれ以上拡げることが出来なかった。

　少し思い付いて安定出来るサイズで作ってみたら、４５㎝各の大きさで落ち着いた。

　これなら、シールドとして使えそうだ。

　俺の作業を見詰めていた双子は目をキラキラさせて、笑顔になる。

「お兄ちゃんの魔法、綺麗だね。細かくて繊細なのに力強くてキラキラ光ってる。」

　突然の賛辞に恥ずかしくなる。

　双子に俺はどう見えてるんだろう？

「誉めてくれて有り難う。でも、魔法は未々なんだ。結界は悪霊に通用しそうかな？」

　訪ねると抱き付かれる。

「大丈夫だよ！」

「ちゃんと誤魔化せるよ！」

「そうか。ありがとうな。二人とも。」

　安堵の息を吐きながら改めてお礼を言った。

　この二人がいなければ、結界の習得は出来てなかった。

　二人のベットを並べ、俺を真ん中にして川の字になって眠りについた。