中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

うさみん

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54,双子の家族

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 双子にしがみつかれて困惑したまま、暫くすると寝息が聞こえてきた。

 どうしようかと悩んでいると扉をノックする音が聞こえ、声と共に扉が開き青年が入ってくる。

「リル、リロ入るぞ。」

 俺の状況を見て青年が苦笑する。

「ごめんね。双子が迷惑をかけたみたいだね。」

 青年はそっと二人を引きはなしてくれた。

「俺はライル。双子の兄だ君は?」

「ソウタです。」

 自己紹介すると、手招きされてライルについて食堂にいく。

「お茶でも、飲んで。」

「ありがとうございます。」

 ライルは双子の部屋を見詰めた後に微笑みながら話す。

「君がどんな人だか知らないけれど、人見知りのリルとリロがあそこまでなつくのだから悪い人で無いのは確かだね。」

 ライルの言葉に思わず苦笑する。

「何を気に入ってくれたのかは分かりませんが、俺は見聞を深める為に諸国を渡り歩く旅人と言うだけで、特別な事は何もありませんよ?」 

 ソウタの言葉にライルは笑みを深める。

 双子が気に入ったのだから、何等かの意味がある筈だ。

 相手の本質を見ぬく二人が彼をこの家に招き入れたのだから···。

「宿はもう決めてるのかい?」

「いえ···これからですが···。」

 扉が急に開き双子が飛び出して来る。

「お兄ちゃん泊まっていって!」

「ここに居なくちゃ駄目なの!」

 直ぐにまた、ソウタの両脇を陣取る。

「目が覚めたんだね。リル、リロはソウタに居て欲しいの?」

 ライルの言葉にシンクロして頷く。

「絶対ここに居なきゃ駄目なの!」

「お兄ちゃん、いいよね?」

 かなり強引に食い下がる二人にソウタは曖昧に笑みを返す。

「二人もこう言っているので、この町にいる間は家に滞在してくれないかい?」

 断れる雰囲気ではなく、ソウタは了承するしかなかった。 

「わかりました。だけどご好意に甘える訳にはいきませんから、せめて宿代がわりにこれを受け取って下さい。」

 ポケットからお金を取り出すと渡す。

「気にしなくて良いのに、律儀だね。」

 ライルは受け取りながら苦笑した。

 ソウタはそのままの流れで夕食を一緒に取り、その後桶と布を手渡される。

 この世界は風呂は一般的ではなく、水浴びか体を拭き清めるのが普通だ。

 ソウタが双子の部屋を借りて体を拭いていると、双子が乱入する。

「お兄ちゃん肌白いね。」

「背中拭くの手伝う!」

 ソウタは双子が何でこんなに離れないのか不思議に思った。

 元々末っ子で甘える事はあったが、甘えられた事はない、だからこんなものなのかもしれないと諦めるしか出来なかった。



 







 
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