中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

うさみん

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43,剣

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 会話練習にハリーじいさんの昔話を聞いていたら、若い頃冒険者に憧れていたそうでその頃集めた武器を見せてもらえた。

 使っていないのに手入れはキチンとされている武器が並ぶ。

「これ···いいね···。」

 細身で50㎝くらいの剣が目についた。

 軽いのに鋭利で、扱いやすそうな剣だった。

「これは女性用じゃが、刀身が美しかったので衝動買いしてしまったものじゃよ。ばあさんに、他に好きな相手がいるんじゃないかと勘繰られて大変じゃったが、何と無く処分出来ずにおったんじゃ。」

 昔を懐かしむように目を細める。

「オリハルコン製じゃが、今はこう言う業物を使う冒険者もおらんでな。」  

「触ってもいい?」

 許可を得て握る。

 持ちやすいし刺殺に向いている。

 何と無く手離し辛く、マジマジと見つめる。

 オリハルコン製なら、物理防御耐性のある魔物でも、魔法攻撃としてダメージを与えられる。

 いいな····これ···。

 余りにも熱心に使い心地を確かめていたので、ハリーじいさんが溜め息を付く。

「余程気に入ったんじゃな···。魔物について勉強しておるようじゃし、冒険者に成りたいと思っているのかの?」

「うん。魔物との戦いは避けられないでしょ?」

 剣を優雅に振り鞘に静かに戻す。

「それなりの覚悟はあるようじゃの。」

 真剣な表情の俺にハリーじいさんはニヤリと笑みを浮かべる。

「一人前の男と認めて、ナインにその剣を譲ろう!」

 ハリーじいさんは口許に指を当てて囁く。

「ただし、ばあさんには内緒じゃよ?心配さすでな。男同士の秘密じゃ!それと、これはあくまで護身用じゃよ!大きくなったら自分に見有った物を使うようにするんじゃ!」

 茶目っ気たっぷりに笑うハリーじいさんに俺は最大級の笑みを返す。

「ありがとう。大事にするよ!」

「そんなに喜んでくれるとは!ナインの笑い顔を初めての見たわい!」

 剣ごと抱き締められる。

 此処は居心地が良さ過ぎて···涙は出ないが、泣きたくなった。

 俺は単純にこの人たちを守りたいと強く感じた。
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