中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

うさみん

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25,可能性を掛けた博打

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 静寂の中、熊の魔物の体が小さく動いた。

 唸り声と供に熊の腕が上がる。

「ぐえっ!重すぎだろ!」

 必死に熊の下から少しずつ抜け出そうともがく。

「蜘蛛の糸並の細すぎる可能性だったけど·····命だけは何とか繋がれたな······。」 

  
 あの時は、最後の望みを掛けて急所を晒し、後ろへ倒れ込んだのだ。


 3匹目の狼に使った火掻き棒は、狼が暴れた反動でへの字に大きく変形して、普通には使えなかった。

 だから、自分が後ろへ倒れ込む反動で棒を立ち上がらせ、熊の硬い皮膚を熊の体重と勢いを利用して貫く事に、本当に最後の望みを託したのだ。

「いててててっ!!」

 熊の牙は確実に急所を捕らえていた。

 その証拠に首筋から胸元に掛けて、生々しい噛み傷が残されていた。

「生身でなくて良かった。本当なら、肩の傷だけでも確実に失血死だから······。」

 熊の巨体を見詰めながら身震いする。

 良くもまあ、ただの一撃で倒せたものだ。

 こればかりは、偶然に助けられたと言っても過言では無い。

 駄目元で心臓を狙ったのだか、肋骨に遮られ更に奥の魔石を砕く事が出来たお蔭とは夢にも思って居なかった。

 心臓一突きだったら即死にはならず、こっちの体が完全に食いちぎられてあの世行きだ。

 相手が魔物故に助かったのだと言える。

 とはいえ、魂を削り取られ満身創痍で有ることに変わりはなく。

 徐々に脱力していくのを感じる。

 魂そのものの身体は、与えられた負荷に耐えきれず。

 その命を削り取り続ける。  

 このまま意識を失えば、助からない事だけは理解していた。



 
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