2 / 111
2, 異世界トリップ(改)
しおりを挟む
どの位の時間が過ぎたのだろうか?
俺は、真っ白で何も無い空間で、意識を取り戻した。
此処は何処なのだろう?
所謂あの世という場所だろうか?
俺、もしかして死んでしまったのかな?
最後の記憶は、勢い良く撥ね飛ばされて、嫌な音と共に直ぐにブラックアウトした所までしか無いので、その後どうなったのか確認の仕様が無い。
最後の耳障りな音が思考に過る。
「そうです。東田 創太(あずまだ そうた)享年16歳。幼少の頃より、空想が趣味で、生涯夢想する事を生業にしていた貴方の肉体は滅びました。」
突然、ニュースを読む女子アナウンサーの様に淡々とした口調でいながらも、綺麗な女性の声が何処からともなく響く。
誰か居るのかと周囲を見回しても、誰が居る様子は感じ取れない。
それなのに、綺麗な声とは裏腹に語られた内容は酷いものだった。
誰だか知らないが、くそー!
痛いこと言うなよ!
そうだよ!
俺は夢見がちな中二病だよ!
自覚はしてる···!
でも、言葉に出して言われると地味にキツイんだよ!
生業ってナンだよ!
職業じゃあるまいし!
憤って、キレ気味に叫んだつもりだったが、声にはならなかった。
というより、話せないという方が正しいのか?
考える事は出来るが、声が出せない。
つまり、声を出す為の肉体が無い。
肉体が滅びたって事は、今の俺は幽霊なのか?
改めて考えると虚脱感に苛まれる。
そうか、俺···死んだのか···。
走馬灯を体験する暇すら無かった。
父さん、母さん、親不孝者でごめん。
兄ちゃん、姉ちゃん、将来の約束を反故にしてしまってごめん。
きっと悲しんでるだろうな···。
俺の思考は慌ただしく巡る。
死んだという現実を突き付けられたという事は、ここは矢張りあの世かな?
天界の狭間とか、冥界のゲートとかだったら、カッコイイけどなぁ。
つい、現実逃避の為に空想しながら、思わず苦笑する。
俺、死んでも矢張り変わらないや···。
「そう、死んでも変わらない貴方は、貴重な存在なのです。」
相変わらず、淡々とした抑揚の無い女子アナウンサーの声がする。
誰だか知らないけど、空気読めない人ダナー。
俺のナチュラルな突っ込みも健在だ。
「はい。人ではなく神と呼ばれる存在ですから、あえて空気は読みませんよ?」
はい、痛いコメント頂きました!
はぁ···。
俺の造り出した妄想かぁ。
『中二病ここに極めり!』って所か。
あー!
ツッコミ不在で痛い!
痛すぎる!
「残念ですが、実在していますよ。全能神ではありませんが···。」
相変わらず感情のこもらない抑揚の無い声だが、マジで?
声だけだから、何時もの幻想だと思った···。
俺って想像力、神ってるレベルで豊だからさ!
「神は思念体ですから、姿を投影するのも力が必要なのです。」
声の抑揚の無さとは裏腹に、与えてくる印象がやけにベビーな感じだ。
神なのに力が無いって言いたいのか?
神が力が無いだなんて、そんな事ありえるの?
そんなの、存在意義が無いも同然じゃないか?
「そうです。神は何から力を得ているか分かりますか?」
俺の心の声は何の支障も無く、相手に余すこと無く伝わっている様だ。
世界からだろ?
存在する力が、神そのものなんだっけ?
俺は聞きかじりの知識を捻り出す。
「力のある神はそうですね。」
地の神とか、水の神とかはメジャーそうだもんな。
何と無く力強く神々しい姿をイメージする。
色んな神話の中に出てくる神々も、有名処は半端無く規格外だしね。
八百万の神っていうくらいだから、マイナーな弱い神も居るって事か。
神の世界にも力の格差社会があるのかな···。
世知辛い···。
弱いって事は、もしかして存在自体が希薄な神だから力が無いって事?
「はい。そういった弱い神が、力を得る方法が解りますか?」
はい?!
問答来たよ!?
力を手っ取り早く得る方法?
えー?
例えば、吸命?
憑依?
生け贄?
「それで力を得るのは邪神ですよ。」
邪神とかも矢張り居るんだね···。
じゃあ、御供え!
聖水!
縁起物!
「当たらずとも、遠からずですね。」
じゃあ···。
そうだなー。
あっ!
判った!
信仰心でしょ!?
「正解です。正確には、存在を認知される事で存在する事が出来て、尚且つ信じ尊ばれる事で神格が確立され、更に必要とされる事で神力が得られて、最終的に神を体現する力となるのですが···。」
やった!
正解者に褒賞は?
「ありません。残念ですが···。力の無い弱い神なので。」
ナンだ。
ぬか喜びか···。
「話しが逸れた様ですので、もう一度言います。あなたは貴重な存在なのです。」
自称神様の声に、力が入った様に感じた。
俺が?
貴重?
どういう理由で?
どこにも居る冴えない高校生だよ?
「はい。どこにも居る冴えない高校生ですね。」
そこは嘘でも否定して欲しかった···。
「神は、虚構は言いません。」
いたいけない子供相手に、本当に容赦ないな···おい!
だったら、何が貴重なの?
納得の行く回答を求む!
「純真に、幻想を信じる心です。まるで幼子の様に、幻想を現実に投影している。」
納得出来るか!?
そんな回答!!
他人の口から聞くとキツイわ~!
恥ずか死ぬ!
「もう死んでいますから。」
本当に、空気読まない神様だよ!
何様なんだ!?
神様だよ!!
一人ボケ、一人ツッコミ···。
虚しくなった···。
それで!?
俺に何かしてもらいたい訳なの?
やけっぱちに、心の中で叫ぶ。
「察しが良いですね。とある世界に行って欲しいのです。」
ヤッパリね!
何だか地味に小馬鹿にされてる感が、半端無いけど···。
これだけフラグ構築されたら、普通に解るよ。
とある世界って、どんな所?
「所謂、剣と魔法の世界です。」
鉄板だね!
ラノベやゲームでは、良く在る設定だ。
「しかし、問題があるのです。」
問題?
何と無く、嫌な予感のフラグが立った様な気がする···。
「実は、その世界は神という概念が無いのです。神の御業である奇跡すら認知されていない世界なのです。」
概念が無いって···。
そうか!
居ても存在を知られて無いって事は、信仰されてないって事で···。
「神の力を行使する事が出来ないのです。」
その世界の事情は解ったけど···。
その世界にも、世界を創り出して礎となった神様は居るんだろ?
もしくは、その世界を管理する神様とか···。
神様なら何とか出来るんじゃないの?
「過去には、その世界を創り出した神も管理していた神も、確かに存在していたらしいのですが···。」
らしい···って事は、今は居ないって事?
「そうですね。」
もしかして俺に、その世界に行って欲しい理由に、何の関係が有るのか?
「貴方の幻想を現実に投影出来る力があれば、貴方を中継点にして、弱い神でも力を行使する事が出来るかもしれないのです。」
行使出来るでなくて、出来るかもしれない···なのか···。
ギャンブル要素強めのリスキーな事例って訳?
「はい。何分、神の力の及ばない世界ですので、神の思惑通りとは行かず。その世界への外部からの神の干渉が全て弾かれてしまっていて、神自身が降臨する事も出来ず、神の眷族も受け入れられないばかりか、異世界から使いを流入させる事も出来ないまま、永らく放置されてきた上に、不祥事として問題に上がったものの、誰にもどうする事も出来ずに上位神から下位神へとたらい回しにされてきた曰く付きの困難案件でして···。」
うわぁ···。
諸に、デリケートな内情ぶっちゃけちゃったよ···。
良いのかよ···神様がそんな事で···。
守秘義務とか無いのかよ···。
「今更···ですよ···。」
そんな、上位神でも投げ出すような困難案件···。
そのまま放置する、という訳には行かない理由でもあるの?
「このままだともうじき、この世界は終末を迎えてしまうのです。」
終末···。
来ました···中二的フラグワード!
もしかして、消えちゃうって事?
「はい。造り出された時に込められた、神の力が枯渇するのです。本来なら、神が定期的に介入する事で補われるものなのですが、何らかの不確定要素により世界から神の概念が消失した為にそれが出来なかったのです。」
消えちゃうと不味い訳?
神様が八百万存在するなら、世界はそれこそ星の数なんて目じゃない程、存在する筈だろ?
そんな中のたった一つの世界が消失してしまう位の些細な事に、神様は頓着しないようなイメージが···。
「本来ならそうですが、上位神から降りてきた案件だとそういう訳にはいかないのです。私の管理不行き届きという扱いになり、私の神格が下がります。これ以上、神格が下がってしまうと、私が存在出来なくなってしまうのです。押し付けられ案件で存在が消されてしまうのは、流石に受け入れられません。あの世界は本来なら神の外部干渉は弾かれてしまうのですが、幸いにも力が弱いゆえに神との認識がされずに、針穴程度の隙間を開ける事が私にも出来ましたから、あの世界からしたら取るに足りない存在の貴方を、送り込む事が出来るのです。」
痛いほど自虐的だし、シビアだね···。
でも、そこまで崖っぷちなら尚更、俺に何かメリットあるの?
骨折り損のくたびれ儲けは、ぶっちゃけツライし···。
「成功した暁には、次に転生する時に特典を付けさせて頂きます。」
先長!!Σ( ̄□ ̄;)
詐欺の常套句の荒唐無稽なのでは····?
無茶苦茶、嫌な予感···。
「此方も後が在りませんので、申し訳ないですが拒否権は有りません。藁にも縋りたい此方の心境を慮って頂ければうれしいのですが···。力が無いのでチートも能力附与も無理ですが、ささやかながら持てる力で祝福をさせて下さい。何かの役にたてるとよいのですが。」
俺は藁なのか····。
割りと絶望的な未来予想図が見えて来そうで、ぞっとする。
祝福って、何か御利益でもあるの?
希望的観測を込めて問う。
「ほんの気休めです。」
なんじゃそりゃー!?
ジョークでも何でも無く、マジで言ってるよ!?
この神!!
「それでは、幸運をお祈りいたします!行ってらっしゃい!此方からは一切、手助けは出来ませんので、自力で生き延びて下さいね!!私たちは所謂、運命共同体の様なものなのですから、くれぐれも消されない様に用心して下さい!!」
それって、無茶振りだろ!?
藁に、運命共同体と無責任にほざく愚か者はお前だ~!!!
俺の罵倒と共に、俺の意識は又してもブラックアウトして行ったのだった。
俺は、真っ白で何も無い空間で、意識を取り戻した。
此処は何処なのだろう?
所謂あの世という場所だろうか?
俺、もしかして死んでしまったのかな?
最後の記憶は、勢い良く撥ね飛ばされて、嫌な音と共に直ぐにブラックアウトした所までしか無いので、その後どうなったのか確認の仕様が無い。
最後の耳障りな音が思考に過る。
「そうです。東田 創太(あずまだ そうた)享年16歳。幼少の頃より、空想が趣味で、生涯夢想する事を生業にしていた貴方の肉体は滅びました。」
突然、ニュースを読む女子アナウンサーの様に淡々とした口調でいながらも、綺麗な女性の声が何処からともなく響く。
誰か居るのかと周囲を見回しても、誰が居る様子は感じ取れない。
それなのに、綺麗な声とは裏腹に語られた内容は酷いものだった。
誰だか知らないが、くそー!
痛いこと言うなよ!
そうだよ!
俺は夢見がちな中二病だよ!
自覚はしてる···!
でも、言葉に出して言われると地味にキツイんだよ!
生業ってナンだよ!
職業じゃあるまいし!
憤って、キレ気味に叫んだつもりだったが、声にはならなかった。
というより、話せないという方が正しいのか?
考える事は出来るが、声が出せない。
つまり、声を出す為の肉体が無い。
肉体が滅びたって事は、今の俺は幽霊なのか?
改めて考えると虚脱感に苛まれる。
そうか、俺···死んだのか···。
走馬灯を体験する暇すら無かった。
父さん、母さん、親不孝者でごめん。
兄ちゃん、姉ちゃん、将来の約束を反故にしてしまってごめん。
きっと悲しんでるだろうな···。
俺の思考は慌ただしく巡る。
死んだという現実を突き付けられたという事は、ここは矢張りあの世かな?
天界の狭間とか、冥界のゲートとかだったら、カッコイイけどなぁ。
つい、現実逃避の為に空想しながら、思わず苦笑する。
俺、死んでも矢張り変わらないや···。
「そう、死んでも変わらない貴方は、貴重な存在なのです。」
相変わらず、淡々とした抑揚の無い女子アナウンサーの声がする。
誰だか知らないけど、空気読めない人ダナー。
俺のナチュラルな突っ込みも健在だ。
「はい。人ではなく神と呼ばれる存在ですから、あえて空気は読みませんよ?」
はい、痛いコメント頂きました!
はぁ···。
俺の造り出した妄想かぁ。
『中二病ここに極めり!』って所か。
あー!
ツッコミ不在で痛い!
痛すぎる!
「残念ですが、実在していますよ。全能神ではありませんが···。」
相変わらず感情のこもらない抑揚の無い声だが、マジで?
声だけだから、何時もの幻想だと思った···。
俺って想像力、神ってるレベルで豊だからさ!
「神は思念体ですから、姿を投影するのも力が必要なのです。」
声の抑揚の無さとは裏腹に、与えてくる印象がやけにベビーな感じだ。
神なのに力が無いって言いたいのか?
神が力が無いだなんて、そんな事ありえるの?
そんなの、存在意義が無いも同然じゃないか?
「そうです。神は何から力を得ているか分かりますか?」
俺の心の声は何の支障も無く、相手に余すこと無く伝わっている様だ。
世界からだろ?
存在する力が、神そのものなんだっけ?
俺は聞きかじりの知識を捻り出す。
「力のある神はそうですね。」
地の神とか、水の神とかはメジャーそうだもんな。
何と無く力強く神々しい姿をイメージする。
色んな神話の中に出てくる神々も、有名処は半端無く規格外だしね。
八百万の神っていうくらいだから、マイナーな弱い神も居るって事か。
神の世界にも力の格差社会があるのかな···。
世知辛い···。
弱いって事は、もしかして存在自体が希薄な神だから力が無いって事?
「はい。そういった弱い神が、力を得る方法が解りますか?」
はい?!
問答来たよ!?
力を手っ取り早く得る方法?
えー?
例えば、吸命?
憑依?
生け贄?
「それで力を得るのは邪神ですよ。」
邪神とかも矢張り居るんだね···。
じゃあ、御供え!
聖水!
縁起物!
「当たらずとも、遠からずですね。」
じゃあ···。
そうだなー。
あっ!
判った!
信仰心でしょ!?
「正解です。正確には、存在を認知される事で存在する事が出来て、尚且つ信じ尊ばれる事で神格が確立され、更に必要とされる事で神力が得られて、最終的に神を体現する力となるのですが···。」
やった!
正解者に褒賞は?
「ありません。残念ですが···。力の無い弱い神なので。」
ナンだ。
ぬか喜びか···。
「話しが逸れた様ですので、もう一度言います。あなたは貴重な存在なのです。」
自称神様の声に、力が入った様に感じた。
俺が?
貴重?
どういう理由で?
どこにも居る冴えない高校生だよ?
「はい。どこにも居る冴えない高校生ですね。」
そこは嘘でも否定して欲しかった···。
「神は、虚構は言いません。」
いたいけない子供相手に、本当に容赦ないな···おい!
だったら、何が貴重なの?
納得の行く回答を求む!
「純真に、幻想を信じる心です。まるで幼子の様に、幻想を現実に投影している。」
納得出来るか!?
そんな回答!!
他人の口から聞くとキツイわ~!
恥ずか死ぬ!
「もう死んでいますから。」
本当に、空気読まない神様だよ!
何様なんだ!?
神様だよ!!
一人ボケ、一人ツッコミ···。
虚しくなった···。
それで!?
俺に何かしてもらいたい訳なの?
やけっぱちに、心の中で叫ぶ。
「察しが良いですね。とある世界に行って欲しいのです。」
ヤッパリね!
何だか地味に小馬鹿にされてる感が、半端無いけど···。
これだけフラグ構築されたら、普通に解るよ。
とある世界って、どんな所?
「所謂、剣と魔法の世界です。」
鉄板だね!
ラノベやゲームでは、良く在る設定だ。
「しかし、問題があるのです。」
問題?
何と無く、嫌な予感のフラグが立った様な気がする···。
「実は、その世界は神という概念が無いのです。神の御業である奇跡すら認知されていない世界なのです。」
概念が無いって···。
そうか!
居ても存在を知られて無いって事は、信仰されてないって事で···。
「神の力を行使する事が出来ないのです。」
その世界の事情は解ったけど···。
その世界にも、世界を創り出して礎となった神様は居るんだろ?
もしくは、その世界を管理する神様とか···。
神様なら何とか出来るんじゃないの?
「過去には、その世界を創り出した神も管理していた神も、確かに存在していたらしいのですが···。」
らしい···って事は、今は居ないって事?
「そうですね。」
もしかして俺に、その世界に行って欲しい理由に、何の関係が有るのか?
「貴方の幻想を現実に投影出来る力があれば、貴方を中継点にして、弱い神でも力を行使する事が出来るかもしれないのです。」
行使出来るでなくて、出来るかもしれない···なのか···。
ギャンブル要素強めのリスキーな事例って訳?
「はい。何分、神の力の及ばない世界ですので、神の思惑通りとは行かず。その世界への外部からの神の干渉が全て弾かれてしまっていて、神自身が降臨する事も出来ず、神の眷族も受け入れられないばかりか、異世界から使いを流入させる事も出来ないまま、永らく放置されてきた上に、不祥事として問題に上がったものの、誰にもどうする事も出来ずに上位神から下位神へとたらい回しにされてきた曰く付きの困難案件でして···。」
うわぁ···。
諸に、デリケートな内情ぶっちゃけちゃったよ···。
良いのかよ···神様がそんな事で···。
守秘義務とか無いのかよ···。
「今更···ですよ···。」
そんな、上位神でも投げ出すような困難案件···。
そのまま放置する、という訳には行かない理由でもあるの?
「このままだともうじき、この世界は終末を迎えてしまうのです。」
終末···。
来ました···中二的フラグワード!
もしかして、消えちゃうって事?
「はい。造り出された時に込められた、神の力が枯渇するのです。本来なら、神が定期的に介入する事で補われるものなのですが、何らかの不確定要素により世界から神の概念が消失した為にそれが出来なかったのです。」
消えちゃうと不味い訳?
神様が八百万存在するなら、世界はそれこそ星の数なんて目じゃない程、存在する筈だろ?
そんな中のたった一つの世界が消失してしまう位の些細な事に、神様は頓着しないようなイメージが···。
「本来ならそうですが、上位神から降りてきた案件だとそういう訳にはいかないのです。私の管理不行き届きという扱いになり、私の神格が下がります。これ以上、神格が下がってしまうと、私が存在出来なくなってしまうのです。押し付けられ案件で存在が消されてしまうのは、流石に受け入れられません。あの世界は本来なら神の外部干渉は弾かれてしまうのですが、幸いにも力が弱いゆえに神との認識がされずに、針穴程度の隙間を開ける事が私にも出来ましたから、あの世界からしたら取るに足りない存在の貴方を、送り込む事が出来るのです。」
痛いほど自虐的だし、シビアだね···。
でも、そこまで崖っぷちなら尚更、俺に何かメリットあるの?
骨折り損のくたびれ儲けは、ぶっちゃけツライし···。
「成功した暁には、次に転生する時に特典を付けさせて頂きます。」
先長!!Σ( ̄□ ̄;)
詐欺の常套句の荒唐無稽なのでは····?
無茶苦茶、嫌な予感···。
「此方も後が在りませんので、申し訳ないですが拒否権は有りません。藁にも縋りたい此方の心境を慮って頂ければうれしいのですが···。力が無いのでチートも能力附与も無理ですが、ささやかながら持てる力で祝福をさせて下さい。何かの役にたてるとよいのですが。」
俺は藁なのか····。
割りと絶望的な未来予想図が見えて来そうで、ぞっとする。
祝福って、何か御利益でもあるの?
希望的観測を込めて問う。
「ほんの気休めです。」
なんじゃそりゃー!?
ジョークでも何でも無く、マジで言ってるよ!?
この神!!
「それでは、幸運をお祈りいたします!行ってらっしゃい!此方からは一切、手助けは出来ませんので、自力で生き延びて下さいね!!私たちは所謂、運命共同体の様なものなのですから、くれぐれも消されない様に用心して下さい!!」
それって、無茶振りだろ!?
藁に、運命共同体と無責任にほざく愚か者はお前だ~!!!
俺の罵倒と共に、俺の意識は又してもブラックアウトして行ったのだった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!


結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる