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101,苦肉の策
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結界の外にウィングの魔法を纏わせる。
そして自分の魂の質を変化させる。
この姿は俺の妄想から造り出されている。
経験則の影響は受けるが、やろうと思えば自分の妄想で自由に魂である自身を変化させる事も可能だ。
姿形のみならず、大きさや重さに至るまで自在に変えられる。
だから重さを変化させた。
出来うる限りに軽く···。
俺の思惑は良い様に働く。
背後から飛び掛かって来たワーウルフの風圧に煽られ、意図する事無く攻撃をかわせてしまう。
空中を舞う羽根や落ち葉がヒラヒラと逃げて掴みにくい原理と同じだ。
重さを感じさせない軽さと、ウィングで空気の層を創る事で可能と成った裏技の様なものではあるが、剣や荷物を上手に重りに使いながら、通常では出来ないアクロバットな動きも可能に成った。
煽られたままのバク転出来そうな体勢から、攻撃をかわした瞬間の無防備なワーウルフの背中に剣を突き立てる。
軽いと言っても重さのある剣は、体が反った勢いの反動に上手く乗せて操る。
抵抗無く深く刺さった剣を引き抜くと、ワーウルフが崩れ落ちる。
疾風のように魔族からの追撃があるが、その動きが速すぎて攻撃の度に風を切る為に、煽られてクラゲの様にゆらゆらと漂う。
「何故捕まらない!?」
魔族の苛立ちが、深まっていくのが感じ取れる。
俺の細やかな魔法がじわじわと魔族を包んだ結界の中を充たしていく。
肉体のある魔物は人間と同じで生物だった。
食べられるし、野生の獣との差は魔力を持つかどうかだけだ。
魔族はどうだろう?
人間と同じ様に息を吸う?
同じ様な物質で構成されている?
血は通っている?
疑問と検証を同時に確かめるべく、あらゆる魔法を次々と準備していく。
ゲホッ!
結界の中で魔族が咳き込む。
魔族の体を包み込むように掛けた結界の内側は、高濃度な水蒸気で充たされている。
高濃度な霧の中では濡れる。
湿度が飽和すれば気体から液体に変わる。
呼吸しているのなら、肺の中が水で充たされたらどうなる?
水蒸気を水に変える為には其なりに時間は掛かるが、試す価値はある。
考えようによっては残酷な事だが、生き延びる為には手段を選んではいられない···現実は苛酷だ。
「何をした!?」
苦し気な表情を見せながら、魔族の怒りのボルテージが上がる。
バシッ!!
音と共に結界が破られた。
油断無く対峙しながら、再度結界を掛ける。
戦いはまだ終らない。
そして自分の魂の質を変化させる。
この姿は俺の妄想から造り出されている。
経験則の影響は受けるが、やろうと思えば自分の妄想で自由に魂である自身を変化させる事も可能だ。
姿形のみならず、大きさや重さに至るまで自在に変えられる。
だから重さを変化させた。
出来うる限りに軽く···。
俺の思惑は良い様に働く。
背後から飛び掛かって来たワーウルフの風圧に煽られ、意図する事無く攻撃をかわせてしまう。
空中を舞う羽根や落ち葉がヒラヒラと逃げて掴みにくい原理と同じだ。
重さを感じさせない軽さと、ウィングで空気の層を創る事で可能と成った裏技の様なものではあるが、剣や荷物を上手に重りに使いながら、通常では出来ないアクロバットな動きも可能に成った。
煽られたままのバク転出来そうな体勢から、攻撃をかわした瞬間の無防備なワーウルフの背中に剣を突き立てる。
軽いと言っても重さのある剣は、体が反った勢いの反動に上手く乗せて操る。
抵抗無く深く刺さった剣を引き抜くと、ワーウルフが崩れ落ちる。
疾風のように魔族からの追撃があるが、その動きが速すぎて攻撃の度に風を切る為に、煽られてクラゲの様にゆらゆらと漂う。
「何故捕まらない!?」
魔族の苛立ちが、深まっていくのが感じ取れる。
俺の細やかな魔法がじわじわと魔族を包んだ結界の中を充たしていく。
肉体のある魔物は人間と同じで生物だった。
食べられるし、野生の獣との差は魔力を持つかどうかだけだ。
魔族はどうだろう?
人間と同じ様に息を吸う?
同じ様な物質で構成されている?
血は通っている?
疑問と検証を同時に確かめるべく、あらゆる魔法を次々と準備していく。
ゲホッ!
結界の中で魔族が咳き込む。
魔族の体を包み込むように掛けた結界の内側は、高濃度な水蒸気で充たされている。
高濃度な霧の中では濡れる。
湿度が飽和すれば気体から液体に変わる。
呼吸しているのなら、肺の中が水で充たされたらどうなる?
水蒸気を水に変える為には其なりに時間は掛かるが、試す価値はある。
考えようによっては残酷な事だが、生き延びる為には手段を選んではいられない···現実は苛酷だ。
「何をした!?」
苦し気な表情を見せながら、魔族の怒りのボルテージが上がる。
バシッ!!
音と共に結界が破られた。
油断無く対峙しながら、再度結界を掛ける。
戦いはまだ終らない。
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