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100,魔族と戦うという事
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一瞬の隙も見せられない状況は、地味にソウタの精神力を削る。
元々、武術を嗜んだことすらないもやしっこで、決してバトル派ではないので戦闘···特に近接戦闘においては得意な筈もなく、ずぶの素人そのものだ。
お蔭で隙だらけである事は、相手にも充分伝わっているだろう。
今のこの瞬間にでも仕留められてしまえる程に、ソウタは弱い筈だ。
きっと赤子の手を捻るよりも簡単な事だろう。
でも、それを覆す程の努力は惜しんでいないつもりだ。
みっともなくギリギリで逃げながら、ワーウルフに攻撃を入れていく。
幸いにも無傷なのが、せめてもの救いだ。
そう思った瞬間に腕を掴まれる。
さっきの爆弾でどの程度のダメージを与えられたのか判らないが、相手の表情が笑みから怒りに変わっている所を見ると、神経を逆撫でする程度はダメージがあったようだ。
こちらも急ぎもう1つ残っていた爆弾を押し付け、再度結界で包み込む。
ドゴンッ!
間近で爆弾が弾ける。
自分を結界で幾重にも包み込んであるのでこちらは無傷だが、相手はそうはいかなかった様子で表面が傷だらけになっている。
「魂だけの存在なのに何故喰えない?」
掴んだ腕を離す気が無い相手に、背筋が凍る。
魔力はこちらの方が上なのか、今は結界の護りが効いているから喰われずに済んでいるだけだ。
パキッ
結界が壊れる音····やっぱり力負けしてる。
パキッパキッ
壊される度にさらに結界の重ね掛けをしていく。
時間稼ぎではあるが、考える時間が欲しい。
有効打···有効打····。
目まぐるしく思考が巡る。
背後のワーウルフも気になるし、取り敢えず距離を取る方が良いだろう。
結界を維持しながら、魂の濃度を変える。
掴まれていた腕が消え、相手の手が虚空を掴んだ瞬間に剣で周りを凪ぎ払う。
ギャンッ!!
どうやら凪ぎ払った場所にワーウルフが居てくれた様だ。
悲鳴と共にワーウルフが崩れ落ちる。
安心するのはまだ早い、もう一度剣を振りながら目の前の相手から距離を取る。
結界がある程度効果があるなら、色々な戦法を一か八かで試すしかない。
目の前の相手の体を、ピッチリ包み込むように結界を張る。
慎重に魔法の重ね掛けを延々と行う。
「魔族に対してそんな魔法は無駄な足掻きだろ?」
俺の結界を軽視したのか、ゆっくりと近付いてくる。
併せて俺も後ずさる。
最後の一匹になったワーウルフの動きは気になるが、魔族の方が脅威の度合いは高いだろう。
元々、武術を嗜んだことすらないもやしっこで、決してバトル派ではないので戦闘···特に近接戦闘においては得意な筈もなく、ずぶの素人そのものだ。
お蔭で隙だらけである事は、相手にも充分伝わっているだろう。
今のこの瞬間にでも仕留められてしまえる程に、ソウタは弱い筈だ。
きっと赤子の手を捻るよりも簡単な事だろう。
でも、それを覆す程の努力は惜しんでいないつもりだ。
みっともなくギリギリで逃げながら、ワーウルフに攻撃を入れていく。
幸いにも無傷なのが、せめてもの救いだ。
そう思った瞬間に腕を掴まれる。
さっきの爆弾でどの程度のダメージを与えられたのか判らないが、相手の表情が笑みから怒りに変わっている所を見ると、神経を逆撫でする程度はダメージがあったようだ。
こちらも急ぎもう1つ残っていた爆弾を押し付け、再度結界で包み込む。
ドゴンッ!
間近で爆弾が弾ける。
自分を結界で幾重にも包み込んであるのでこちらは無傷だが、相手はそうはいかなかった様子で表面が傷だらけになっている。
「魂だけの存在なのに何故喰えない?」
掴んだ腕を離す気が無い相手に、背筋が凍る。
魔力はこちらの方が上なのか、今は結界の護りが効いているから喰われずに済んでいるだけだ。
パキッ
結界が壊れる音····やっぱり力負けしてる。
パキッパキッ
壊される度にさらに結界の重ね掛けをしていく。
時間稼ぎではあるが、考える時間が欲しい。
有効打···有効打····。
目まぐるしく思考が巡る。
背後のワーウルフも気になるし、取り敢えず距離を取る方が良いだろう。
結界を維持しながら、魂の濃度を変える。
掴まれていた腕が消え、相手の手が虚空を掴んだ瞬間に剣で周りを凪ぎ払う。
ギャンッ!!
どうやら凪ぎ払った場所にワーウルフが居てくれた様だ。
悲鳴と共にワーウルフが崩れ落ちる。
安心するのはまだ早い、もう一度剣を振りながら目の前の相手から距離を取る。
結界がある程度効果があるなら、色々な戦法を一か八かで試すしかない。
目の前の相手の体を、ピッチリ包み込むように結界を張る。
慎重に魔法の重ね掛けを延々と行う。
「魔族に対してそんな魔法は無駄な足掻きだろ?」
俺の結界を軽視したのか、ゆっくりと近付いてくる。
併せて俺も後ずさる。
最後の一匹になったワーウルフの動きは気になるが、魔族の方が脅威の度合いは高いだろう。
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