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降りかかる火の粉3

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 男が攻撃を繰り出した先には、響が気絶させた男の一人が倒れていた。

 相手は見境の無い奴の様だ。

 響は走り出すと戦いの場を移し、追い掛けてくる男を待つ。

 直ぐに男は追い付いてくると、禍々しい笑みを浮かべる。


「敵すら巻き込まない様にとは、お優しい事だ。」


 男の嘲りに響は反応を返さず、男を見据えて言った。


「魔族のお前がこの俺に何の用だ?」


 正体を見破られた事に驚いた顔を一瞬見せて男は笑い出す。


「ばれていたのか!?だったら正体を隠す必要も無いか!」


 闇の気配と共に、男の姿がじわりと変わっていく。

 頭に短い角が一本ある黒い肌で白髪の魔族へと姿が変わると、直ぐ様響に飛び掛かる。

 その攻撃を響は紙一重でかわす。


「ちょこまかと逃げるのが上手いようだな!お前には俺が時間を掛けて増やしたスライム共を始末された恨みが有ってな!お前を血祭りにあげて償って貰う予定なのさ!」


 そう言う事かと、響はため息をつく。


「残念だけど、その予定通りの結末は望めないよ!」 


 先刻よりスピードを上げて、モップを魔族に打ち込んでいく。

 モップは魔族の体を確実に捉え、ダメージを与える。


「なんだ!?この力は!!こんなオモチャで俺にダメージを与えるなんて、お前は一体!?」


 余裕の笑みさえあった魔族の表情が驚愕に変わる。


「残念ながらこのモップは特別製でね!そんじょそこらの武器より役立つ俺の相棒なのさ!」


 力加減は抑えつつ、的確に攻撃を入れていく。

 見る間に魔族の体が原形を留められないほどボロボロになっていく。


「この俺を此処まで追い詰めるとは、本当にお前は一体何者なのだ!?」


 魔族の悲鳴に似た叫びに、響は笑みを浮かべて答える。


「俺は響!只の清掃人さ!但し何でも掃除することが出来るけどね!」


 響はこれが最後のトドメとばかりに攻撃を繰り出したが、寸前の所でかわされる。


「覚えたておけよ!この屈辱は、必ずお前の命で償わせるぞ!」


 魔族の男は捨て台詞と共に姿を消す。


「逃げられたか···。」


 響はため息をつくと光属性のスプレーを取り出し気絶している男達の元に向かう。

 気絶している男達を一ヵ所に集めて、スプレーを使い男達の闘争心を掃除して無力化してしまう。

 これで男達が他に迷惑を掛けることも無くなるだろうと、男達のダメージを掃除して気付かせる。

 男達は臆病風に吹かれ、蜘蛛の子を散らすように慌てて町へと逃げ帰って行った。
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