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モンスタースイーパー

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 こっそり[鑑定]した結果、スライム達は闇属性だったので、光属性のスプレーを使う事にした。

 広範囲なので、拡散と威力強化を強くイメージする。

 スライムを綺麗さっぱり片付けて、ついでに汚れも掃除してしまおう。

 イメージは力となり、響はその力をスプレーボトルから放出する。

 プシュッ!プシュッ!プシュッ!

 煌めく霧が穴の中に静かに落ちていくと、同時に眩いばかりの光が生まれる。

 スプレーの洗剤が掛かった場所から、断末魔さえ発する事も出来ずにスライムが消失してしまう。

 手応えを感じると、響は穴の中に軽やかに飛び降りた。


「ヒビキ!?」


 何が起こったのか分からなかったアンナは、飛び降りた響に慌てて声を掛けたが、残念ながら響には届かなかった。

 響はスプレー片手にのんびりとを続ける。

 穴の中は光で輝き、まるで神殿の中の様な神秘的な様子になって行く。

 ほんの短時間で穴の中は別の場所かの様に生まれ変わっていた。


 広かった穴の中をすっかり掃除してしまうと、響は底に有った水路にも目を向ける。

 流石に水路に潜ってその先を掃除する訳にもいかず、少し考える。

 
「浄化出来る水に変えられたらきっと効果が在るんだろうけど?」


 それならばと、水属性のスプレーを引っ張り出し、複合して使う事にする。


「光属性を含んだ綺麗な水を多量に流し込めば、綺麗に掃除出来るだろう。」


 単純にそう考えて、念入りにイメージを強く形にする。

 そして水路を流れる水目掛けて力強くスプレーを放つ。

 ドドドドドドドドドッ!!! 

 凄まじい勢いで、光輝き渦巻く水流が生まれ、次々と狭い水路を弾丸の様に走って行く。

 響の作り出した水が流れた後は発光し、煌めく。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

 水路の先から不気味な地鳴りが、暫くの間鳴り響き続けて急に静かになる。

 念のためにもう2~3回同じ行動を繰り返す。

 そして、満足気に息をはいた。


「終了!」


 後で確認は必要だろうが、多分大丈夫だろう。

 響は上を見上げ、口を開けて固まっている穴の側に居た皆に手を振る。
 

「おーい!引き上げて下さ~い!!」


 暫く間を置き、ようやくロープが降りてきて、響は猿のようにするするとよじ登る。

 
「掃除出来ましたよ?」


 相変わらず、何でもない風に響が軽く言う。


「何なの·····貴方·····。」


 目の前で起こった事が信じられず、アンナは絞り出すように呟く。


「只の掃除人ですよ?」


 響は微笑むと言葉を続ける。


「ただし、何でも掃除出来ますけどね?」
 

 そんな響の言葉に、今まで唖然としていたハインツが反応する。


「モンスターすら掃除してしまう男か···つまり、モンスタースイーパーと言う訳か!」


 えらく納得したように、ハインツが手を打つ。

 別にモンスター掃除がメインでは無いのだか···そう思いながら苦笑する。


 こうして、この世界で初めての『モンスタースイーパー』が誕生したのであった。


 ちなみに、響が出現させた水流は、あの時に町中全ての水路の水を光輝かせた。

 この事は後に『エリネールの聖なる奇跡』として、長く語り継がれる事となる。

  




 

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