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48.神鳴り
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ギルバートとライオネル、傭兵達は、赤黒い『不死の泥』の山にゆっくりと近付いて行った。
「元が粘性魔菌なら動きは遅いはずだが……変性してる可能性がある、気を付けろ」
慎重に距離を測りながら、まず目指すのは鎧の一部が露出しているあたりだ。近寄れば、不死スライムの中にはいくつも他の魔獣の、崩れかけた身体と思しきものが混ざっているのがわかった。
「成りそこないのうちに共食いしたのか……? それとも不死魔獣と同化してるのか……?」
傭兵が疑問を呟きながら距離を詰め、周囲を警戒している。
至近距離まで迫っても襲って来るような気配は無く、一見するとただ泥水の塊のようにも見えた。ひとまずは飲まれている人間を救出する為に、その泥に刃を向けて削り出す。
「斬った部分はいくらか消滅するようだが、加護がどこまでもつか」
薙ぎ払うように泥を削りながら、ライオネルは己の持つ剣を一瞥した。
一方で、ギルバートの戦斧は消滅させる範囲がかなり広い。だが飲まれている人間への影響を考慮して、ライオネル達とは少し離れた位置から不死スライムを切り崩している。
騎士の身体を引っ張り出すと、距離を稼いで引き摺っていき、後方に居る聖職者に託す。見える範囲で飲まれている者数人が確認できたために、それを繰り返した。
「息はあります! 馬車のところまで運んでもらえますか」
聖職者が簡易な治癒を施し、連携するようにジエメルドの若い騎士達が、救出された騎士を担ぎ上げて運ぶ。若い騎士は安堵と困惑の混ざった表情をしていた。
救出を優先しているギルバート達から距離をあけ、ドルフ達は馬車がいつでも走れるように準備をしつつ、救出された騎士の保護にあたっている。
「まずいと判断したら、即座にギルバート達を回収して逃げるぞ、退路は常に確認しておいてくれ。それと、バーバラ、フローラちゃん、予備の外套を出しておいてくれ、生存者の保護に使おう」
ドルフが険しい表情で、遠くギルバート達の様子を見ながら、この場の者に指示を出していた。
「なるべく至近距離に、もうひとつ広域結界を施しておいた。簡易なものだが、そこまで逃げれば一旦の猶予はあるだろう」
司祭シドニーはドルフに向かってそう告げると、それから苦い顔をして、すぐそばに平伏す老騎士に目をやった。
老騎士クラークは蹲るようにして地面に頭を付けて震えている。やがて顔を上げると、遠くで戦うギルバートの姿をずっと目で追っていた。
「申し訳……ございません……我らは、我らは……大義の為と……」
震えながら時折漏らす声は掠れ、怯えと恐怖、それと後悔が滲むように響く。
西方大教会の司祭シドニーは、険しい表情を浮かべ老騎士の傍に立った。
「ジエメルドの騎士の多くが、この国や民でなく、ジエメルドの古き王統にこそ忠誠を誓っておる事実は、今も変わらぬか。誇りを非難する道理はないが、今その信念の先に、望むものは本当に在るか?」
司祭シドニーの声は、静かに怒りを孕んでいた。
「……もはや……もはや……これ以上は……」
老騎士は、震えながらそれだけ呟くと、腰にある剣を鞘ごと外す。そうして、まるで遠ざけるように、柄が利き手と逆向きに来るようにして、跪く己の前方に置いた。
それは古き国の騎士が、降伏を示す所作だ。
異変が起きたのは、数名の騎士を助け出した頃だった。
泥の塊を掘り進めるようにしているうち、埋もれたままで意識が戻った者がいた。鎧は他の騎士より上等で、隊長クラスの者のようにも見えるが、身体の大部分はまだ不死スライムの泥の中に埋まっている。
既にライオネル達の持つ武器の加護は切れ、もはや泥を掘る事しか出来ずに時間が掛かっていた。
「……お前達、何を……の作戦は、失敗だ……逃げろ、……足元を……、……らは、間違え……」
途切れ途切れに言葉を発した後で、その男は意識を失った。
「足元……?」
足元という言葉が気に掛かり、ライオネルは周囲の地面に目をやった。
視界の先で、地面が歪に盛り上がっているのが見えた。
「……まずい! 土中にも結界を!!」
ライオネルが聖職者に向かって叫ぶ。聖職者は即座に足元に結界を張った。
結界の向こう側に土の中から、巨大なミミズや蛇のような形の不死魔獣が突き出して来る。
ライオネル達と周囲の異変を察知して、司祭シドニーもまた土中に結界を張ったが、一歩遅くドルフの馬車のすぐそばの土が大きく盛り上がっていた。突き出して来たのは、他に比べれば小さいものの、子供の背丈ほどはあった。
それはすぐさま馬車の入り口で外套を出していたバーバラに向かって行く。
「……! バーバラさん!!」
フローラは咄嗟に馬車の中から鍋を持ち出して、鍋底をそのミミズのような不死魔獣に思い切り叩きつけた。
ゴンッ、と鈍い音がして、バーバラに襲いかかろうとしていたものが、ひしゃげて仰け反った。
ミミズのような形をしたそれは、鍋底に殴られて潰れた場所から小さな無数の光が走ったかと思えば、さらさらと崩れて消えていく。
「フローラさん……ッ!?」
地中から突き出してくる不死魔獣を捌きながら、咄嗟にフローラ達の方を見たギルバートは、たった今起きた光景に目を見開いた。腕は戦斧を振るったままだが、口もぽかんと開けてしまう。
「……フローラさん、なかなかやるな……!」
「あ、あの鍋で、聖水を作っていましたからね……加護も相当、染み込んでいるはずですしね……」
ライオネルも傭兵達も聖職者も、退避の為に体勢を整えつつ、唖然としていた。
ギルバートは、こんな状況にも関わらず、堪えきれずに笑い声を漏らす。
「……フローラさんて、ああ見えて結構肝が据わってんだよな……」
それから周囲の状況を確認し、目の前の不死スライムの泥の山を睨んだ。
──不思議と、フローラさんと居ると負ける気がしないんだ。無謀は禁物って、わかっちゃいるが……。
頭の中で考えるのは、この状況の先の事だ。仮に今、退避したとして、聖職者の結界には限界がある。策を練られるほどに時間の猶予があるわけでも無い。
領都にもまだ住民が残っている。だからこそ、出来る限り減らしておきたかった。
「ギルバート! お前も結界の中に退避しろ、一旦退くぞ!」
ライオネルが叫ぶ声が聞こえる。
「……ッ!! ギルバート!!」
もう一度、焦りを混ぜたようなライオネルの叫び声が響く。
ギルバートの周囲の地面が四方を塞ぐようにいくつも盛り上がり、巨大なミミズに似た不死魔獣と、不死スライムの塊がそれぞれにギルバートを覆うように襲い掛かって来た。
ギルバートは戦斧を振り上げる。
黒雲に覆われた空から、大地目掛けて垂直に、切り裂くような光の柱が降りた。ほぼ同時に轟音が響き、地を揺らす。
雷が、ギルバートが振り上げた戦斧に真っ直ぐに落ち、ギルバートは、まるで雷ごと戦斧の斬撃を地に叩きつけたように見えた。視界は真っ白な閃光で埋め尽くされる。
眩い閃光で奪われた視界が戻る頃、ギルバートの周囲にあった不死魔獣も、不死スライムも、その場にあった全てが消えていた。
雨はいつの間にか止んでいて、赤黒い『不死の泥』の山があったところには、僅かに土くれだけが残された。
「これは……想定の範囲内か?」
司祭シドニーが、ぼそりとドルフに尋ねる。
「……いいや。今上手く誤魔化す言い訳を必死に考えておるところだ。何か良い案があったら教えてくれ」
ドルフはどうしたものかと笑う。
焦ったようにきょろきょろと周りを見回しているギルバートに、ライオネルと、それから馬車を飛び出したフローラが駆け寄るのが見えた。
ギルバートの戦斧は今も雷を纏い光を帯び、その刀身には、いつの間にかアイビーのレリーフが刻まれていた。
「元が粘性魔菌なら動きは遅いはずだが……変性してる可能性がある、気を付けろ」
慎重に距離を測りながら、まず目指すのは鎧の一部が露出しているあたりだ。近寄れば、不死スライムの中にはいくつも他の魔獣の、崩れかけた身体と思しきものが混ざっているのがわかった。
「成りそこないのうちに共食いしたのか……? それとも不死魔獣と同化してるのか……?」
傭兵が疑問を呟きながら距離を詰め、周囲を警戒している。
至近距離まで迫っても襲って来るような気配は無く、一見するとただ泥水の塊のようにも見えた。ひとまずは飲まれている人間を救出する為に、その泥に刃を向けて削り出す。
「斬った部分はいくらか消滅するようだが、加護がどこまでもつか」
薙ぎ払うように泥を削りながら、ライオネルは己の持つ剣を一瞥した。
一方で、ギルバートの戦斧は消滅させる範囲がかなり広い。だが飲まれている人間への影響を考慮して、ライオネル達とは少し離れた位置から不死スライムを切り崩している。
騎士の身体を引っ張り出すと、距離を稼いで引き摺っていき、後方に居る聖職者に託す。見える範囲で飲まれている者数人が確認できたために、それを繰り返した。
「息はあります! 馬車のところまで運んでもらえますか」
聖職者が簡易な治癒を施し、連携するようにジエメルドの若い騎士達が、救出された騎士を担ぎ上げて運ぶ。若い騎士は安堵と困惑の混ざった表情をしていた。
救出を優先しているギルバート達から距離をあけ、ドルフ達は馬車がいつでも走れるように準備をしつつ、救出された騎士の保護にあたっている。
「まずいと判断したら、即座にギルバート達を回収して逃げるぞ、退路は常に確認しておいてくれ。それと、バーバラ、フローラちゃん、予備の外套を出しておいてくれ、生存者の保護に使おう」
ドルフが険しい表情で、遠くギルバート達の様子を見ながら、この場の者に指示を出していた。
「なるべく至近距離に、もうひとつ広域結界を施しておいた。簡易なものだが、そこまで逃げれば一旦の猶予はあるだろう」
司祭シドニーはドルフに向かってそう告げると、それから苦い顔をして、すぐそばに平伏す老騎士に目をやった。
老騎士クラークは蹲るようにして地面に頭を付けて震えている。やがて顔を上げると、遠くで戦うギルバートの姿をずっと目で追っていた。
「申し訳……ございません……我らは、我らは……大義の為と……」
震えながら時折漏らす声は掠れ、怯えと恐怖、それと後悔が滲むように響く。
西方大教会の司祭シドニーは、険しい表情を浮かべ老騎士の傍に立った。
「ジエメルドの騎士の多くが、この国や民でなく、ジエメルドの古き王統にこそ忠誠を誓っておる事実は、今も変わらぬか。誇りを非難する道理はないが、今その信念の先に、望むものは本当に在るか?」
司祭シドニーの声は、静かに怒りを孕んでいた。
「……もはや……もはや……これ以上は……」
老騎士は、震えながらそれだけ呟くと、腰にある剣を鞘ごと外す。そうして、まるで遠ざけるように、柄が利き手と逆向きに来るようにして、跪く己の前方に置いた。
それは古き国の騎士が、降伏を示す所作だ。
異変が起きたのは、数名の騎士を助け出した頃だった。
泥の塊を掘り進めるようにしているうち、埋もれたままで意識が戻った者がいた。鎧は他の騎士より上等で、隊長クラスの者のようにも見えるが、身体の大部分はまだ不死スライムの泥の中に埋まっている。
既にライオネル達の持つ武器の加護は切れ、もはや泥を掘る事しか出来ずに時間が掛かっていた。
「……お前達、何を……の作戦は、失敗だ……逃げろ、……足元を……、……らは、間違え……」
途切れ途切れに言葉を発した後で、その男は意識を失った。
「足元……?」
足元という言葉が気に掛かり、ライオネルは周囲の地面に目をやった。
視界の先で、地面が歪に盛り上がっているのが見えた。
「……まずい! 土中にも結界を!!」
ライオネルが聖職者に向かって叫ぶ。聖職者は即座に足元に結界を張った。
結界の向こう側に土の中から、巨大なミミズや蛇のような形の不死魔獣が突き出して来る。
ライオネル達と周囲の異変を察知して、司祭シドニーもまた土中に結界を張ったが、一歩遅くドルフの馬車のすぐそばの土が大きく盛り上がっていた。突き出して来たのは、他に比べれば小さいものの、子供の背丈ほどはあった。
それはすぐさま馬車の入り口で外套を出していたバーバラに向かって行く。
「……! バーバラさん!!」
フローラは咄嗟に馬車の中から鍋を持ち出して、鍋底をそのミミズのような不死魔獣に思い切り叩きつけた。
ゴンッ、と鈍い音がして、バーバラに襲いかかろうとしていたものが、ひしゃげて仰け反った。
ミミズのような形をしたそれは、鍋底に殴られて潰れた場所から小さな無数の光が走ったかと思えば、さらさらと崩れて消えていく。
「フローラさん……ッ!?」
地中から突き出してくる不死魔獣を捌きながら、咄嗟にフローラ達の方を見たギルバートは、たった今起きた光景に目を見開いた。腕は戦斧を振るったままだが、口もぽかんと開けてしまう。
「……フローラさん、なかなかやるな……!」
「あ、あの鍋で、聖水を作っていましたからね……加護も相当、染み込んでいるはずですしね……」
ライオネルも傭兵達も聖職者も、退避の為に体勢を整えつつ、唖然としていた。
ギルバートは、こんな状況にも関わらず、堪えきれずに笑い声を漏らす。
「……フローラさんて、ああ見えて結構肝が据わってんだよな……」
それから周囲の状況を確認し、目の前の不死スライムの泥の山を睨んだ。
──不思議と、フローラさんと居ると負ける気がしないんだ。無謀は禁物って、わかっちゃいるが……。
頭の中で考えるのは、この状況の先の事だ。仮に今、退避したとして、聖職者の結界には限界がある。策を練られるほどに時間の猶予があるわけでも無い。
領都にもまだ住民が残っている。だからこそ、出来る限り減らしておきたかった。
「ギルバート! お前も結界の中に退避しろ、一旦退くぞ!」
ライオネルが叫ぶ声が聞こえる。
「……ッ!! ギルバート!!」
もう一度、焦りを混ぜたようなライオネルの叫び声が響く。
ギルバートの周囲の地面が四方を塞ぐようにいくつも盛り上がり、巨大なミミズに似た不死魔獣と、不死スライムの塊がそれぞれにギルバートを覆うように襲い掛かって来た。
ギルバートは戦斧を振り上げる。
黒雲に覆われた空から、大地目掛けて垂直に、切り裂くような光の柱が降りた。ほぼ同時に轟音が響き、地を揺らす。
雷が、ギルバートが振り上げた戦斧に真っ直ぐに落ち、ギルバートは、まるで雷ごと戦斧の斬撃を地に叩きつけたように見えた。視界は真っ白な閃光で埋め尽くされる。
眩い閃光で奪われた視界が戻る頃、ギルバートの周囲にあった不死魔獣も、不死スライムも、その場にあった全てが消えていた。
雨はいつの間にか止んでいて、赤黒い『不死の泥』の山があったところには、僅かに土くれだけが残された。
「これは……想定の範囲内か?」
司祭シドニーが、ぼそりとドルフに尋ねる。
「……いいや。今上手く誤魔化す言い訳を必死に考えておるところだ。何か良い案があったら教えてくれ」
ドルフはどうしたものかと笑う。
焦ったようにきょろきょろと周りを見回しているギルバートに、ライオネルと、それから馬車を飛び出したフローラが駆け寄るのが見えた。
ギルバートの戦斧は今も雷を纏い光を帯び、その刀身には、いつの間にかアイビーのレリーフが刻まれていた。
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