さよなら、英雄になった旦那様~ただ祈るだけの役立たずの妻のはずでしたが…~
「フローラ、すまない……。エミリーは戦地でずっと俺を支えてくれたんだ。俺はそんな彼女を愛してしまった......」
戦地から戻り、聖騎士として英雄になった夫エリオットから、帰還早々に妻であるフローラに突き付けられた離縁状。エリオットの傍らには、可憐な容姿の女性が立っている。
周囲の者達も一様に、エリオットと共に数多の死地を抜け聖女と呼ばれるようになった女性エミリーを称え、安全な王都に暮らし日々祈るばかりだったフローラを庇う者はごく僅かだった。
「……わかりました、旦那様」
反論も無く粛々と離縁を受け入れ、フローラは王都から姿を消した。
その日を境に、エリオットの周囲では異変が起こり始める。
戦地から戻り、聖騎士として英雄になった夫エリオットから、帰還早々に妻であるフローラに突き付けられた離縁状。エリオットの傍らには、可憐な容姿の女性が立っている。
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ディラン・アグレアス・ジエメルドは、ジエメルド公爵家の嫡男ですが世襲貴族で現当主(父親)が健在であるために、アグレアス伯爵が通り名です(世襲貴族では、嫡男が公爵位を継ぐまでに家名などに関連する儀礼称号を名乗ります。本作ではミドルネーム+伯爵としています)
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