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【後編】魔界の救済
勇者の真相
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『貴方は勇者ではありませんね』
魔界へ旅立つ前に戦の女神ヴァルキリーに出会うと、彼女にそう告げられた。
「あー、やっぱりそう?何かいつもと感覚が違ったのはそのせいか。」
どうやらティファニアは僕を勇者ではなく一般人として転生させたらしい。
「でもさ、魔王がいるなら勇者もいるはずだけど…。」
『或いは既にその世界にまだ覚醒していない勇者がいるのかもしれませんね。』
僕は思い当たる人物がいないか考えてみた。
「あのさ、もしかして魔族が勇者になることってあるの?」
『そうですね、3つの条件をクリアすれば魔族でも勇者になれますよ。』
その条件とは魔王に実力を認められた者、勇者を志願する者、そして聖剣に選ばれた者の3つである。
「魔王の四天王の男で一人思い当たる者がいるんだけど…。」
『その者なら勇者として覚醒する可能性は充分にあります。』
ドレッドが勇者に覚醒したら、魔王討伐する際も心強いな。
「ヴァルキリー様、聖剣はどこで手に入るのですか?」
『聖剣エクスカリバーならこの世界に散らばっている6つのオーブを集め…』
「そんな悠長なことをしている時間はないよ。直ぐに入手できる別の聖剣はない?」
『そのような物はございません…。』
ヴァルキリーがそう言い切ると僕は不服そうに彼女に伝えた。
「わかった。今からウィル様をここに連れてきて貴女を論破させますね?」
僕がヴァルキリーにそう伝えると彼女は大きなため息を吐いた。
『1つだけあります。』
そう言うと彼女は収納からとある剣を取り出した。
「この剣は…?」
『あらゆるものを切裂くと言われる伝説の宝剣、天叢雲剣です。』
「あらゆるものを切裂くのですか!?凄いですね…。」
『はい、有形無形問わず。忠誠心などの目に見えない概念も切裂けますよ。』
そう言うと彼女は僕にその剣を差し出した。
『これを貴方に授けましょう。』
「えっ…良いのですか!?」
『はい、どうせ使っていない観賞用の武器でしたので。』
「ありがとう…!ついでに女神様にお願いがあるんだけど…。」
僕はヴァルキリーの手が空いた際に直接ドレッドに聖剣を渡してもらえるように説得すると、彼女は快く了承してくれた。
『わかりました。この剣を握った際に光ればその者が勇者で間違いございません。』
「ヴァルキリー様、本当にいろいろとありがとう!必ず魔王を倒してくるから!」
僕は彼女にお礼を告げ、扉の前で彼女に手を振った後、部屋を退出した。
『ふふっ。頑張ってくださいね、タクト様。』
魔界へ旅立つ前に戦の女神ヴァルキリーに出会うと、彼女にそう告げられた。
「あー、やっぱりそう?何かいつもと感覚が違ったのはそのせいか。」
どうやらティファニアは僕を勇者ではなく一般人として転生させたらしい。
「でもさ、魔王がいるなら勇者もいるはずだけど…。」
『或いは既にその世界にまだ覚醒していない勇者がいるのかもしれませんね。』
僕は思い当たる人物がいないか考えてみた。
「あのさ、もしかして魔族が勇者になることってあるの?」
『そうですね、3つの条件をクリアすれば魔族でも勇者になれますよ。』
その条件とは魔王に実力を認められた者、勇者を志願する者、そして聖剣に選ばれた者の3つである。
「魔王の四天王の男で一人思い当たる者がいるんだけど…。」
『その者なら勇者として覚醒する可能性は充分にあります。』
ドレッドが勇者に覚醒したら、魔王討伐する際も心強いな。
「ヴァルキリー様、聖剣はどこで手に入るのですか?」
『聖剣エクスカリバーならこの世界に散らばっている6つのオーブを集め…』
「そんな悠長なことをしている時間はないよ。直ぐに入手できる別の聖剣はない?」
『そのような物はございません…。』
ヴァルキリーがそう言い切ると僕は不服そうに彼女に伝えた。
「わかった。今からウィル様をここに連れてきて貴女を論破させますね?」
僕がヴァルキリーにそう伝えると彼女は大きなため息を吐いた。
『1つだけあります。』
そう言うと彼女は収納からとある剣を取り出した。
「この剣は…?」
『あらゆるものを切裂くと言われる伝説の宝剣、天叢雲剣です。』
「あらゆるものを切裂くのですか!?凄いですね…。」
『はい、有形無形問わず。忠誠心などの目に見えない概念も切裂けますよ。』
そう言うと彼女は僕にその剣を差し出した。
『これを貴方に授けましょう。』
「えっ…良いのですか!?」
『はい、どうせ使っていない観賞用の武器でしたので。』
「ありがとう…!ついでに女神様にお願いがあるんだけど…。」
僕はヴァルキリーの手が空いた際に直接ドレッドに聖剣を渡してもらえるように説得すると、彼女は快く了承してくれた。
『わかりました。この剣を握った際に光ればその者が勇者で間違いございません。』
「ヴァルキリー様、本当にいろいろとありがとう!必ず魔王を倒してくるから!」
僕は彼女にお礼を告げ、扉の前で彼女に手を振った後、部屋を退出した。
『ふふっ。頑張ってくださいね、タクト様。』
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