【最弱勇者】100回目の転生

黒崎

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【後編】魔界の救済

葛藤

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先代魔王ハーデス様が居た頃は楽しかった。彼は部下想いで命令よりも自分達の命を優先するように部下達に伝えていた。大らかな性格ゆえに隙を突かれて勇者達に封印されてしまったが、彼の生き様は最期まで尊敬に値した。

俺は今でもハーデス様と交わした最後の言葉を覚えている。

「マオ、そしてベリアル。我の最後の望みを聞いてくれるか?」
「ハーデス様、最後なんて言わないでください…!」

側近のマオは今にも泣きそうな顔でハーデス様を見つめている。

「ああ、我もまだ生きるつもりだが勇者達がもう迫っている。一応聞いてくれ。」
「なんでしょうか、ハーデス様…。」
「この城は我と部下を繋ぐ想い出の場所だ。我の死後も2人で守ってくれ。」

この言葉がなければ俺らは今でもアースガルドの魔王城にいたと思う。だけど、先代魔王の言いつけを守って俺らは新魔王生誕とともに現れる魔王城が出現するまで身を潜め、この城を守るために部下達を引き連れて再び魔界へ舞い戻ったのだ。

しかし、新たな魔王サタンは冷酷な方だった。側近と四魔将を除く他の部下を道具のように扱い、俺の好きだったハーデス様とは似ても似つかない人物である。

「所詮勇者なんて、我々魔族のことを道具としか思っていないものね?」

レヴィアタンの言葉も一理ある。先代勇者は魔族に対して容赦がなかった。俺は勇者を憎んでいたはずだった。しかし、あいつのことはどうなんだろうか。

俺が仕向けた部下のバッシュや魔導人形すら殺さずに対処していた。俺を洗脳した後も魔族の殺害を命令せずにあいつは平和的な解決を提案した。

「ベリアル、僕から君に最後のお願いだ。聞いてくれるか?」
「はい、なんでしょうか?」
「死ぬな。」

似ている…彼の方がサタンよりよっぽど俺の好きなハーデス様と似ている……!
きっと俺がタクトと出会えるように彼が導いてくれたんだな。偶然かもしれないが、俺はそう信じる…!
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