音楽無双――おかしな世界に転生したボクはSランク

結木 夏音

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第二章

023:動画投稿の準備に掛かる(2)

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【Side:主人公】


ボクはToutubeで音楽活動する為、先ずはスマホを使い『The MEN』にアクセスした。

本当はパソコンくらい家電量販店でチャチャっと買いたいけど、そんな都合よく家の近くにないから、通販サイトで購入した。

楽器や機材も8割ぐらいは通販を頼った。

オークションやフリマでも探したけど、状態に問題があったり、欲しい物がそもそも出品されてなくてさ、やっぱり大きな買い物になった。

でも、これはある意味仕方ない。音楽関係の道具は中古で流用できる物は少ないからね。どれもこれも繊細な物が多いんだ。



「はい、もしもし」

『こちらフロントの高橋で御座います。三井様のご自宅のお電話でよろしいでしょうか?』

「はい、そうです」

『建設業者の者に確認したのですが、防音工事であれば直ぐにでも作業に入れるとのことです。先方は『明日からでも』とおっしゃっているのですが如何いたしますか?』

「では、明日からの手配でお願いします」

『かしこまりました』



現在、ボクは隙間時間を使ってはスマホアプリで簡単な作曲を行っている。

といっても、そんな大した事はしていない。

デッサンの下書きみたいなものだよ。後でこのデーターをパソコンに入れて本格的に原曲を構築していく予定。

スマホの便利な所は、こういった持ち運びが出来て、どこでもある程度の作業が出来ることだよね。

ただ、操作がしづらくて、打ち込みに多少時間が掛かっている。



「はい、もしもし」

『私は男性生活支援課の石川と申します。三井様のお電話でよろしかったですか』

「はい、そうです」

『先日、ご相談頂いた件のご返答なのですが…………』

「はい、どうなりました? 『お菓子判定』は変更できそうでしょうか?」

『今より甘い物を減らしたいという事であれば、対応できそうです』

「そうでしたか、ありがとうございます」

『今後はコンビニなどのチェーン店様方の開発した料理やお菓子に対して判定して頂くことになります』

「お~、なるほど」


つまり、前世のテレビ番組でやっていたような『合格、合格、合格ゥウウー!!』ってのをやれば良いのか。

そのお仕事は気分的に非常に盛り上がりそう。

でも、ノリで全部『合格』にすることはない。ちゃんとジャッジします!



『それでは1ヶ月後からお仕事の内容が変わりますので、今後もコメントの書き込みの程、よろしくお願いします』

「はい、わかりました。ご対応頂きありがとうございました」


電話を切って直ぐ、再び作曲活動に没頭する。

それにしても、なんだか音楽活動をしようと志してから段々忙しくなってきた気がする。

こうして、スマホで作業しているとあっという間に時間が過ぎて行く。

でもこういう時間は嫌いじゃない。

前世のように尻を叩かれて、徹夜で働き続けた頃に比べたら最高だ。


そして、3日も過ぎれば忙しさはピークに達した。




―――ピンポーン

―――ピンポーン

―――ピンポーン

―――ピンポーン

―――ピンポーン


鳴り止まない、我が家のインターフォン。これは早押しクイズ番組じゃない。

鳴らされる度に玄関を開け、ボクはせっせと荷物を家の中へと運ぶ。

通販で購入した商品数は30を超えていたけど、こんなにもバタバタするとは思わなかった。

既に我が家の一室では建設業者が来て工事に着手してくれているので騒音も酷い。



「こ、こちらにサインをお願いします!」

「はい、わかりました」


ボクは疲れを見せずに笑顔でそう答える。

本日何度目かのサインをタブレットに書いて、配達に来てくれたお姉さんに返す。

この日本では受け取り時のサインは紙媒体ではなくて、デジタル媒体が普通なんだ。



「気を付けて帰ってくださいね」

「お、お気遣い、ありがとうございますッ! では、失礼します!」


来てくれるお姉さま方は、皆して90度くらい深くお辞儀して去って行く。

ボクは13歳にしてそれ程に貫禄でもあるのだろうか。単に男だからだろうね。

リビングに戻ると、高く積まれた段ボールの山が視界に入る。

これは防音工事が終わらないと荷物の整理ができないので仕方ない。





それから1週間も経てば我が家も漸く静かな状態に戻った。

工事して貰っていた部屋の中は見違えて、ちょっとした防音スタジオにビフォーアフターした。

どうせだから、通販で買ったデスクトップパソコンはこの部屋に持ち込んだ。

これなら動画を見てジャンジャン音を鳴らしても、一切ご近所さんを気にせずにすむ。

一番面倒臭いのは何だったかといえば、配線の整理だ。

でもゴチャゴチャと足元に散らばって気になったから、ちゃんと整理して上手く隠した。



「ちょっとだけ、…………歌ってみようかな」



転生してから、今世の歌声は未だ確認していない。

厳密には、収録した物を聞いたことがないと言った方が正しい。

これから自分がToutubeで音楽活動をするために、自分の歌が果たしてどれ程のもんなのか知っておく必要がある。

ボクは手に汗を握り歌う準備に取り掛かった。




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