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お嬢様陰陽師は誰であろうと容赦しない…(1)
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「何故…、俺は君の家に来なきゃいけなかったんだ?」
今、アイザック・トッドは鬼閂薙の実家…鬼閂家に来ていた。まるで武家屋敷の様な家で広い客間に通され、冷たい麦茶を2人分乗せた低いガラステーブルを挟み、向き合うソファに座り彼女と向き合っていた。
「これから依頼契約を記入して正式な契約を致します。今家の者が契約書類を持って参りますわ。契約書で解らない所は木根にお聞き下さい。」
暫くして客間に黒いスーツの男…木根が数枚の書類を持って来てアイザックの前に出して説明を始めた。
「Why、お金を取るのか⁉」
「はい、薙お嬢様は対怪霊災害対策嘱託免許をお出しされたと思いますが、あれは日本認定陰陽師として依頼を御受けすると云う意味合いで御座います。今からでも破棄されますか?」
「Oh.Shit!金額もかなりするぞ…。」
「霊障レベルとしてはカテゴリー3、やはり学生には少しキツいでしょうか。」
アイザックは苦虫を噛んだ様な額をピシャンと叩き、天井を暫し仰ぐ。そして決心したのかスマホで何処かに連絡をし、英語で会話。相手はかなりお怒りの様でアイザックは「Sorry…、Sorry。」を繰り返していた。そしてアイザックが木根にスマホを渡すと今度は木根が相手と英語で会話を交わした。アイザックは英語を話す木根にちょっと感嘆してしまう。
薙はその様子を何故かジト~と見つめ、その様子にアイザックは学校での鳥子との会話を思い出した。
鳥子曰く…「薙、英語の学科すんごい駄目駄目だから、プッ(笑)。JAPANESE SHAMAN LICENSEとかワタシが教えたしね。腐ってるんだからSHAMANくらい覚えろよって話(笑笑)。」…との事、何が腐ってるのかは解らないが…。
「クラスではPERFECT GIRLだと感じていたが…、事実はとてもAmazingだ。」
「アメージング?それ私を貶めてません?」
「それはないさ。君は俺を助けてくれた恩人だからね。」
…などと二人が言葉を交わしてる間に木根が会話を終えてアイザックにスマホを返した。
「アイザック様、お父様とお話をして依頼契約にOKを頂きました。アイザック様はこの書類への記入を御願い致します。」
彼も「OK.」と言って木根に教えてもらいながら書類に記入をした。
「よく契約を許して貰えましたですわね。」
「父さんはアメリカ海軍将校なんだ。連絡したら最初はビックリして怒ってたが…、Mr.キネが上手く交渉してくれたみたいだ。」
「…なら次は私の仕事になりますわね。今から式神を飛ばします。」
アイザックは目の前に五芒星…晴明判紋が染められた正方形の白の和紙を出され、思わずその五芒星を凝視する。
「我が式神よ、おいでませ。」
すると晴明判紋を染めた和紙が一人でにクシャクシャと丸まったかと思えばツバメの様な形になった。
「って!」
右人指中指揃えてビッと外を差して言い放つ。そしてツバメを形どった式神は薙が示した先を音も立てず、目にも止まらぬ早さで飛んで消えた。
「JAPANESE MAGIC、今のが本物のFamiliar。式神かい?」
「えぇ、あれが本来の式神です。これよりあの式鬼を放った術者を追わせます。」
「もう探せるのか!」
「この数日で術の間に最悪死ぬと私は申しました。今日中に見つければ式鬼は術者を呪い殺しますわよ。明日までには突き止める事は出来ますので、ザックさんはもうお帰り下さい。
一応、厄除の呪符を御渡し致しますわ。」
アイザックは黒い額から脂汗が滲むのを感じた。
「明日までに見つけられたら解決出来るのか?」
「依頼を受けた以上は必ずや…。」
アイザックを帰らせ、薙は傍らに仕えていた木根に自室に戻ると告げる。
「千里眼に入ります。夕飯は入りませんので部屋には誰も入れぬ様。」
「畏まりました。」
薙は自室の戸を閉め、机の椅子に座って姿勢を正し、瞑想に入る。部屋の本棚は古い陰陽道の古文書、鬼閂流創始者にして当主…鬼閂絹恵が著者として出版した陰陽道の本が何冊もあり、その下にはライトノベル…彼女の聖書である『陰陽都市東京』も六巻が並んでいた。
机の上には三原色が並び、その球の形体には1つ目ではなく晴明判紋を浮き上がらせ、式神との共鳴率を倍増を手伝う。
富嶽は富嶽で20cm程になった小ザメの姿で…三原色の後ろで机にビッタリと引っ付いてふてくされていた。
今、富嶽は凄ぶる機嫌が悪かった。彼がこの屋敷から出て薙に憑いて行くには彼女が富嶽の歯が入れた御守を薙が持ち歩かねばならないのだが、今日…薙は御守を忘れて学校へ登校していた。
そして帰るなり男を引き連れ依頼の話で付きっきりとなり、部屋に戻った途端式神に共鳴して自分をガン無視するので…、この依頼には一切言う事を聞くつもりはなかった。
そんなグレた富嶽をそっちのけに薙は式神を通して住宅地を俯瞰していた。あの式鬼の瘴気を辿って式神は飛ぶ。
アイザックに取り憑いた際に残した瘴気の残り香を頼りに式神は数時間程を飛び続け、薙はその間ずっと式神と同調している。そして一軒の古い2階建て住宅に辿り着いた。式神は壊れかけた柵に止まり引き戸の玄関脇にある表札を見た。
薙の目に“宇良戸”と書かれた表札が映し出され、そこで彼女は式神との同調を切る。
「見つけましたわよ、魂を弄ぶ愚か者。貴方にはこの私が直々にお仕置きをさせて貰いますわよ。」
下向きに悪い顔でニヤリと口端を尖らせて笑み、白い歯を剥いてクックックッ…と自で嗤う。
その顔を見てしまった赤海、青魅、黄身はあまりの怖い顔に寄り添って震え上がり…、富嶽…の姿はいつの間にか消えていた。
今、アイザック・トッドは鬼閂薙の実家…鬼閂家に来ていた。まるで武家屋敷の様な家で広い客間に通され、冷たい麦茶を2人分乗せた低いガラステーブルを挟み、向き合うソファに座り彼女と向き合っていた。
「これから依頼契約を記入して正式な契約を致します。今家の者が契約書類を持って参りますわ。契約書で解らない所は木根にお聞き下さい。」
暫くして客間に黒いスーツの男…木根が数枚の書類を持って来てアイザックの前に出して説明を始めた。
「Why、お金を取るのか⁉」
「はい、薙お嬢様は対怪霊災害対策嘱託免許をお出しされたと思いますが、あれは日本認定陰陽師として依頼を御受けすると云う意味合いで御座います。今からでも破棄されますか?」
「Oh.Shit!金額もかなりするぞ…。」
「霊障レベルとしてはカテゴリー3、やはり学生には少しキツいでしょうか。」
アイザックは苦虫を噛んだ様な額をピシャンと叩き、天井を暫し仰ぐ。そして決心したのかスマホで何処かに連絡をし、英語で会話。相手はかなりお怒りの様でアイザックは「Sorry…、Sorry。」を繰り返していた。そしてアイザックが木根にスマホを渡すと今度は木根が相手と英語で会話を交わした。アイザックは英語を話す木根にちょっと感嘆してしまう。
薙はその様子を何故かジト~と見つめ、その様子にアイザックは学校での鳥子との会話を思い出した。
鳥子曰く…「薙、英語の学科すんごい駄目駄目だから、プッ(笑)。JAPANESE SHAMAN LICENSEとかワタシが教えたしね。腐ってるんだからSHAMANくらい覚えろよって話(笑笑)。」…との事、何が腐ってるのかは解らないが…。
「クラスではPERFECT GIRLだと感じていたが…、事実はとてもAmazingだ。」
「アメージング?それ私を貶めてません?」
「それはないさ。君は俺を助けてくれた恩人だからね。」
…などと二人が言葉を交わしてる間に木根が会話を終えてアイザックにスマホを返した。
「アイザック様、お父様とお話をして依頼契約にOKを頂きました。アイザック様はこの書類への記入を御願い致します。」
彼も「OK.」と言って木根に教えてもらいながら書類に記入をした。
「よく契約を許して貰えましたですわね。」
「父さんはアメリカ海軍将校なんだ。連絡したら最初はビックリして怒ってたが…、Mr.キネが上手く交渉してくれたみたいだ。」
「…なら次は私の仕事になりますわね。今から式神を飛ばします。」
アイザックは目の前に五芒星…晴明判紋が染められた正方形の白の和紙を出され、思わずその五芒星を凝視する。
「我が式神よ、おいでませ。」
すると晴明判紋を染めた和紙が一人でにクシャクシャと丸まったかと思えばツバメの様な形になった。
「って!」
右人指中指揃えてビッと外を差して言い放つ。そしてツバメを形どった式神は薙が示した先を音も立てず、目にも止まらぬ早さで飛んで消えた。
「JAPANESE MAGIC、今のが本物のFamiliar。式神かい?」
「えぇ、あれが本来の式神です。これよりあの式鬼を放った術者を追わせます。」
「もう探せるのか!」
「この数日で術の間に最悪死ぬと私は申しました。今日中に見つければ式鬼は術者を呪い殺しますわよ。明日までには突き止める事は出来ますので、ザックさんはもうお帰り下さい。
一応、厄除の呪符を御渡し致しますわ。」
アイザックは黒い額から脂汗が滲むのを感じた。
「明日までに見つけられたら解決出来るのか?」
「依頼を受けた以上は必ずや…。」
アイザックを帰らせ、薙は傍らに仕えていた木根に自室に戻ると告げる。
「千里眼に入ります。夕飯は入りませんので部屋には誰も入れぬ様。」
「畏まりました。」
薙は自室の戸を閉め、机の椅子に座って姿勢を正し、瞑想に入る。部屋の本棚は古い陰陽道の古文書、鬼閂流創始者にして当主…鬼閂絹恵が著者として出版した陰陽道の本が何冊もあり、その下にはライトノベル…彼女の聖書である『陰陽都市東京』も六巻が並んでいた。
机の上には三原色が並び、その球の形体には1つ目ではなく晴明判紋を浮き上がらせ、式神との共鳴率を倍増を手伝う。
富嶽は富嶽で20cm程になった小ザメの姿で…三原色の後ろで机にビッタリと引っ付いてふてくされていた。
今、富嶽は凄ぶる機嫌が悪かった。彼がこの屋敷から出て薙に憑いて行くには彼女が富嶽の歯が入れた御守を薙が持ち歩かねばならないのだが、今日…薙は御守を忘れて学校へ登校していた。
そして帰るなり男を引き連れ依頼の話で付きっきりとなり、部屋に戻った途端式神に共鳴して自分をガン無視するので…、この依頼には一切言う事を聞くつもりはなかった。
そんなグレた富嶽をそっちのけに薙は式神を通して住宅地を俯瞰していた。あの式鬼の瘴気を辿って式神は飛ぶ。
アイザックに取り憑いた際に残した瘴気の残り香を頼りに式神は数時間程を飛び続け、薙はその間ずっと式神と同調している。そして一軒の古い2階建て住宅に辿り着いた。式神は壊れかけた柵に止まり引き戸の玄関脇にある表札を見た。
薙の目に“宇良戸”と書かれた表札が映し出され、そこで彼女は式神との同調を切る。
「見つけましたわよ、魂を弄ぶ愚か者。貴方にはこの私が直々にお仕置きをさせて貰いますわよ。」
下向きに悪い顔でニヤリと口端を尖らせて笑み、白い歯を剥いてクックックッ…と自で嗤う。
その顔を見てしまった赤海、青魅、黄身はあまりの怖い顔に寄り添って震え上がり…、富嶽…の姿はいつの間にか消えていた。
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