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お嬢様陰陽師と黒くて大きな男子高生…(3)
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教室に戻ると待っていた鳥子がやはり顛末を食いつく様に聞いて来た。
「結局どーなったの?復縁?それとも破局?」
「当人の前でこの娘は…、彼のプライベートですわよ。」
薙がデリカシーのない鳥子を諌めるがアイザックは苦笑して答えた。
「Breakup of love、破局さ。」
「そっか、可愛い娘だったのにね。…勿体ない。」
「どういう意味で勿体ないんだよ?」
富河ことトミーが鳥子の言葉に突っ込む。
「それよりMs.ナギ。」
「ナギで宜しいですわよ、ザックさん。」
「Thanks。それでナギ、先日の騒ぎで俺とあの佐知子と言った娘に何が取り憑いたんだ?
…何故、俺達だったんだ?」
先日の修羅場の一件、元カノの親友である佐知子がアイザックの親友…富河夏之の股間に膝蹴りを入れている。
それだけなら周囲も笑って終わりだったが、追い討ちに彼の脇腹を本気で蹴りつけ、それに憤慨したアイザックが彼女に本気でネックハンギングを仕掛け爪先が浮く程に吊り上げる暴力を振るってしまった。
教師に見られていればアイザックは良くて停学、最悪は退学、警察沙汰になっていたかも知れない。
薙は二人とも“悪いもの”に憑かれていたと言うがアイザックは何が…何故憑かれたのか、どのタイミングで憑かれたのかが分からなかった。
「佐知子さんの方もザックさんも騒ぎの最中でしょうか。憑いたのは形もない式鬼、式神の失敗作みたいなもので御座いますわ。」
「What?…シキオニ?…DEVIL⁉」
「デビル…そうですわね、西欧…米国なら悪魔の方が近いですわね。
式鬼は式神…ファミリアになり損ねた不浄霊で御座います。」
そこで薙は自分の式神…三原色を机の上に出した。3つの軟式ボール程の球がポンポンと弾み、赤青黄色のボールにキョロッとまん丸の1つ目を出す。
「なっ、何じゃこりゃ⁉」
「私の式神…三原色ですわ。赤は赤海、青は青魅、黄は黄身ですわ。」
富河が素っ頓狂な声を上げて驚き、鳥子が黄身に掌を出す。
「黄身~、お出で。」
すると黄身は鳥子の掌にポムポムと弾みながら乗った。
それを見たアイザックは興味深々に触ろうと赤海に手を伸ばす。
「あの時俺の両頬に当たって来た…、人懐っこい使い魔なんだな。」
「ザックさん、危ないですわよ。」
一応止める薙だが、赤海はパックマンの様に口を開けてガブッとアイザックの中指に噛みついた。
「人懐っこいのでは…?」
意外と平然としているアイザックに薙は思わずプッと含み笑いをした。
「んふふ。赤海、放して上げなさい。ザックさんには悪いけど黄身は特別鳥子に懐いているだけですわ。
赤海と青魅も触れられるのは拒みますが彼女だけは攻撃致しませんの。」
アイザックは軽く手を振ると富河が顔を背けてプププッと嗤っているので頭に拳骨を食らわす。
「何故?」
アイザックは素朴な疑問なので聞いてみる。
「普通に長い付き合いだからですわ、鳥子とは小学生からの幼馴染ですの。」
「そゆこと。」
鳥子は薙の言葉に続けて悪戯っぽく笑った。
「話を戻しますわね。式鬼は実体を持てない式神のなり損ない、つまりあの場で貴方方に何者かが式を放ったのです。」
「俺とMs.佐知子が狙われたって事か?」
「さあ、貴方方が狙いかも知れませんし、そうじゃないかも知れません。或いは貴方方が争う事で苦しむ…或いは不利益になる方がおられるやも知れません。」
「何だそりゃ、結局分かんねえんじゃねえか。」
富河が愚痴を零す。
「少なくとも、式鬼を放った人物はあの場所にいた筈です。教師はいませんでしたから生徒…2年生の階ですから高い確率で2年生。
1年生…3年生がいたかも知れませんが、此方が動かずとも直ぐ解りますでしょう。」
そこで質問をしたのは鳥子であった。
「何で解るのよ、生徒何人いると思ってんの?」
「式鬼は術者に返るのですよ、鳥子。」
「えっ、じゃあ⁉」
薙が表情に影を落とし、三人に教える。
「この数日の間にこの学校生徒の1人が大怪我を負うか、惨い死に方をされますわ。」
「助けてはあげられないのか?」
アイザックが薙に懇願すると…彼女は不敵に嘲笑う。
「死ねば良いのですよ。」
その笑みに見てアイザックと富河の背筋に悪寒が走った。
「何の修行もせずに式の呪法を使えば自身に返るのは必至。
素人が呪法を玩ぶは御霊への冒涜!
人を呪わば穴二つ…と云うことわざが御座いますが、最早このことわざ事態が概念に込められた呪いなのです。」
…と、突然アイザックが薙の肩を掴む。これを攻撃と判断した三原色が主を掴む彼の腕に噛みつく。先程とは違う鋭い牙を生やして。
突然の事に鳥子は立ち上がり狼狽える。
「ちょっ、薙⁉」
「大丈夫ですわよ、鳥子。」
「いや、アンタは心配してないから!」
三原色に噛まれる痛みに顔を歪ませながら更に懇願をした。
「誰だとかは関係ないさ…。助ける事が出来るなら、助けてあげて欲しい。」
アイザックが薙の肩を掴んだ腕に力を込め、薙は痛みを感じ表情を歪ませる。
「随分乱暴ですのね、ザックさんは何か思う所でもあるのかしら?」
「特にはないさ。…でも、後味が悪いのは誰だって嫌じゃないか?」
すると薙は一枚のカードを机に出した。そして左人差し指で三原色に合図を出すと赤海、青魅、黄身は噛むのを止めてセーラー服の襟の裏に隠れる。
「これは何だい?」
「対怪霊災害対策嘱託免許。ジャパニーズシャーマンライセンスと言えば宜しいのかしら。
国から本物の退魔師と認められた証明書です、これを見せたからには私は同級生ではありません。日本が証明する嘱託退魔師で御座います。
ザック君は陰陽道鬼閂流陰陽師…鬼閂薙に退魔を御依頼為さいますか?」
試すかの様に薙はアイザック・トッドの黒い瞳を覗き込む。
アイザックは挑む様に彼女に顔を近付けて答える。
「Yes,I would like to request you to exorcise the demon.」
薙はニコリは何故か表情が怪訝そうに変わり…「えっ?」と声が洩れた。
「えっ?」
アイザックも彼女に連られてそんな声が洩れてしまった。
鳥子は二人の猫騙しでもされた様な顔にゲラゲラと笑い出してしまう。薙の英語の成績は最悪なのだから…。
「結局どーなったの?復縁?それとも破局?」
「当人の前でこの娘は…、彼のプライベートですわよ。」
薙がデリカシーのない鳥子を諌めるがアイザックは苦笑して答えた。
「Breakup of love、破局さ。」
「そっか、可愛い娘だったのにね。…勿体ない。」
「どういう意味で勿体ないんだよ?」
富河ことトミーが鳥子の言葉に突っ込む。
「それよりMs.ナギ。」
「ナギで宜しいですわよ、ザックさん。」
「Thanks。それでナギ、先日の騒ぎで俺とあの佐知子と言った娘に何が取り憑いたんだ?
…何故、俺達だったんだ?」
先日の修羅場の一件、元カノの親友である佐知子がアイザックの親友…富河夏之の股間に膝蹴りを入れている。
それだけなら周囲も笑って終わりだったが、追い討ちに彼の脇腹を本気で蹴りつけ、それに憤慨したアイザックが彼女に本気でネックハンギングを仕掛け爪先が浮く程に吊り上げる暴力を振るってしまった。
教師に見られていればアイザックは良くて停学、最悪は退学、警察沙汰になっていたかも知れない。
薙は二人とも“悪いもの”に憑かれていたと言うがアイザックは何が…何故憑かれたのか、どのタイミングで憑かれたのかが分からなかった。
「佐知子さんの方もザックさんも騒ぎの最中でしょうか。憑いたのは形もない式鬼、式神の失敗作みたいなもので御座いますわ。」
「What?…シキオニ?…DEVIL⁉」
「デビル…そうですわね、西欧…米国なら悪魔の方が近いですわね。
式鬼は式神…ファミリアになり損ねた不浄霊で御座います。」
そこで薙は自分の式神…三原色を机の上に出した。3つの軟式ボール程の球がポンポンと弾み、赤青黄色のボールにキョロッとまん丸の1つ目を出す。
「なっ、何じゃこりゃ⁉」
「私の式神…三原色ですわ。赤は赤海、青は青魅、黄は黄身ですわ。」
富河が素っ頓狂な声を上げて驚き、鳥子が黄身に掌を出す。
「黄身~、お出で。」
すると黄身は鳥子の掌にポムポムと弾みながら乗った。
それを見たアイザックは興味深々に触ろうと赤海に手を伸ばす。
「あの時俺の両頬に当たって来た…、人懐っこい使い魔なんだな。」
「ザックさん、危ないですわよ。」
一応止める薙だが、赤海はパックマンの様に口を開けてガブッとアイザックの中指に噛みついた。
「人懐っこいのでは…?」
意外と平然としているアイザックに薙は思わずプッと含み笑いをした。
「んふふ。赤海、放して上げなさい。ザックさんには悪いけど黄身は特別鳥子に懐いているだけですわ。
赤海と青魅も触れられるのは拒みますが彼女だけは攻撃致しませんの。」
アイザックは軽く手を振ると富河が顔を背けてプププッと嗤っているので頭に拳骨を食らわす。
「何故?」
アイザックは素朴な疑問なので聞いてみる。
「普通に長い付き合いだからですわ、鳥子とは小学生からの幼馴染ですの。」
「そゆこと。」
鳥子は薙の言葉に続けて悪戯っぽく笑った。
「話を戻しますわね。式鬼は実体を持てない式神のなり損ない、つまりあの場で貴方方に何者かが式を放ったのです。」
「俺とMs.佐知子が狙われたって事か?」
「さあ、貴方方が狙いかも知れませんし、そうじゃないかも知れません。或いは貴方方が争う事で苦しむ…或いは不利益になる方がおられるやも知れません。」
「何だそりゃ、結局分かんねえんじゃねえか。」
富河が愚痴を零す。
「少なくとも、式鬼を放った人物はあの場所にいた筈です。教師はいませんでしたから生徒…2年生の階ですから高い確率で2年生。
1年生…3年生がいたかも知れませんが、此方が動かずとも直ぐ解りますでしょう。」
そこで質問をしたのは鳥子であった。
「何で解るのよ、生徒何人いると思ってんの?」
「式鬼は術者に返るのですよ、鳥子。」
「えっ、じゃあ⁉」
薙が表情に影を落とし、三人に教える。
「この数日の間にこの学校生徒の1人が大怪我を負うか、惨い死に方をされますわ。」
「助けてはあげられないのか?」
アイザックが薙に懇願すると…彼女は不敵に嘲笑う。
「死ねば良いのですよ。」
その笑みに見てアイザックと富河の背筋に悪寒が走った。
「何の修行もせずに式の呪法を使えば自身に返るのは必至。
素人が呪法を玩ぶは御霊への冒涜!
人を呪わば穴二つ…と云うことわざが御座いますが、最早このことわざ事態が概念に込められた呪いなのです。」
…と、突然アイザックが薙の肩を掴む。これを攻撃と判断した三原色が主を掴む彼の腕に噛みつく。先程とは違う鋭い牙を生やして。
突然の事に鳥子は立ち上がり狼狽える。
「ちょっ、薙⁉」
「大丈夫ですわよ、鳥子。」
「いや、アンタは心配してないから!」
三原色に噛まれる痛みに顔を歪ませながら更に懇願をした。
「誰だとかは関係ないさ…。助ける事が出来るなら、助けてあげて欲しい。」
アイザックが薙の肩を掴んだ腕に力を込め、薙は痛みを感じ表情を歪ませる。
「随分乱暴ですのね、ザックさんは何か思う所でもあるのかしら?」
「特にはないさ。…でも、後味が悪いのは誰だって嫌じゃないか?」
すると薙は一枚のカードを机に出した。そして左人差し指で三原色に合図を出すと赤海、青魅、黄身は噛むのを止めてセーラー服の襟の裏に隠れる。
「これは何だい?」
「対怪霊災害対策嘱託免許。ジャパニーズシャーマンライセンスと言えば宜しいのかしら。
国から本物の退魔師と認められた証明書です、これを見せたからには私は同級生ではありません。日本が証明する嘱託退魔師で御座います。
ザック君は陰陽道鬼閂流陰陽師…鬼閂薙に退魔を御依頼為さいますか?」
試すかの様に薙はアイザック・トッドの黒い瞳を覗き込む。
アイザックは挑む様に彼女に顔を近付けて答える。
「Yes,I would like to request you to exorcise the demon.」
薙はニコリは何故か表情が怪訝そうに変わり…「えっ?」と声が洩れた。
「えっ?」
アイザックも彼女に連られてそんな声が洩れてしまった。
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