上 下
5 / 12

2-1.じゃあ君のために姉になるよ

しおりを挟む
「どうしたんだよ、そんなに疲れ果てて・・・」


僕は友人の変わり果てた姿を見て、驚きを通り越して悲しくなった。


「もう、いいんだよ。俺は疲れた。気にしないでくれ。時間が経てばなんとかなるだろう」


疲れきった表情で無理に作る笑顔。
僕は胸を刺されたような感じがした。
なんとかしてあげたい。

だって小学校から親友の友人は
失恋でこんなに落ち込んでいる・・・

10も年上の女は友人が大学に入学した途端に新しい男を見つけた。
友人はその女の為にがんばって難しい大学に入ったのに。

女は友人に言った。

「私、頭いい人、苦手みたい」

ひどい話だ。
いい大学に行くよう言ったのは、その女だったのに。


僕は言った。

「・・・・・大学、全然行ってないんだろう。
せっかく、あんなに勉強して入ったのに」

友人は目を宙に浮かせて言う。

「もうちょっとしたら行くよ。どうしても行く気にならなくて。
行こうと思って電車乗ると頭がぐらぐらするんだよ」

「そんなにひどいのか・・・」

友人は真面目なのだ。
そんな友人をこんな目に合わせて・・・・
いくら、姉貴でも許せない。

そう。友人をふった女とは僕の年上の姉貴なのだ。

「あんなに僕にK大に入れって言って、入ったら僕の同級生を男にしちゃうんだから。
ひどい人だね・・・」


そう言うと友人は黙り込んでしまった。

しかし、
僕にはアイデアがあった。


「ちょっと・・・・トイレ借りるよ」


僕は家から持ってきた姉貴のランジェと服をトイレの中で着替えた。
パンストも穿き、ヒールも履いた。
手際よくメークもした。

実は僕には女装の癖があって、いつも姉になりたかったのだ。
だから、姉になるのには自信があった。

馬鹿げたアイデアだけど、僕はただ友人を慰めたかったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

処理中です...