上 下
2 / 12

1-2.友達のために年上女性になる

しおりを挟む
僕はアキヒコのベットの横に布団をひいて寝ることにした。 

アキヒコは
「もう長い間、ベッドの上で寝てなかった。今夜はやっと寝れそうだよ」
言った。 

自分も失恋した時の、あの自信喪失と寂しさが混じった感じは分かるから、 少しは役にたててよかったって思ったんだ。 

消灯してからどのくらい時間が経っただろうか。 
夜中の二時くらいだったと思う。
 
ふと人の気配を感じて目覚めると、横にアキヒコが寝ていた。 

びっくりした。

すぐにアキヒコも気づいて
「ごめん・・・・やっぱり、どうしても一人じゃ眠れなくて」
って言うんだ。 

さすがに一緒の布団で寝るのは抵抗あったけど、アキヒコはかなり精神的にボロボロなんだなって思った。
 
ま、一夜くらいいいかって思った瞬間、アキヒコがこんなこと言うんだ。

 「あのさあ。本当に自分でも何言ってるんだって思うんだけど、お願いがあるんだ・・・」 

「なんだよ。いきなり」

 「でも・・・ごめん。やっぱいいわ」
「なんだよ。言ってみなよ。それで判断するから」 
「・・・お前、俺のことついに頭がおかしくなったって思うよ」

 アキヒコはやたらと警戒した。

 「今のお前はボロボロなんだからさ。 頭おかしいとか思わないと思う。言ってみなよ。できることならするから」

すると、しばらく考えてアキヒコはぽつりと言った。 

「・・・女装してくれないかな」 

僕は耳を疑った。
え。女装? 

「ごめん。忘れて。悪かった」

あの真面目なアキヒコが女装してくれだなんて・・・
ものすごい勇気を振り絞ったに違いない。 
いいじゃないか。女装くらい。
それでアキヒコが少しでも気が晴れるなら。 ここはたいしたことないくらいの感じで反応してあげよう。
なぜか、そう思えた。


「いいよ」
 「え。本当?」
 「いいよ。女装って、着るものはあるの?」 

アキヒコはほっとしたというか、嬉しそうな表情をした。よかった。この表情を見れて嬉しかった。

「・・・あ。じゃあ、ちょっと待って」 
アキヒコはそういうと、元気よく立ちあがり、クローゼットを開けてごそごそ取り出していた。
よかった。

笑顔がちょっと戻ったみたいだ。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

処理中です...