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16〈アルビオンside〉学園祭前

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夏季休暇が終わってからの生活は何もかもが新鮮で、我ながら浮ついていたと思う。
生きてきて15年間、両親を除けば誰もが私と接する時まず王太子の身分を見ていた。
だからマリアは特別になった。ただのアルビオンとして私と接してくれる唯一の女性だから。

「私は学園祭当日に異国から来られた方々の対応をする役をしたいです!」

学園祭に向けて積極的に自分の役割を見つけ、それに向けて真剣に学ぶ姿勢にも好感を持った。
彼女が抜けたことで6人でも厳しい書類仕事がさらに大変になったが、彼女のためなら頑張ろうと思えた。
国民のための公務も誇りはあったが、気になる女の子のためにする仕事はやりがいがあった。

「それでは今後、学園祭が終わるまで生徒会の指揮はグリフォン様に代わり私が取り行います。」

だが、それもセラの登場で一変した。
確かに指示が無茶苦茶だったグリフォンよりセラの方が完璧な指示を出来るだろう。
実際、彼女が来てから目に見えて楽になった。
当日の来訪者対応もマリアが勉強するより異国の言語もマナーも完璧なセラがする方がリスクは低い。
セラが代わりにすることを伝えた時の学園講師たちも明らかにホッとした様子だった。

でも、違う。違うんだ。君は完璧で、君が主導する学園祭も完璧なものになるだろうけど、それは違う。
だって、それだと私も完璧でいないといけない。
せっかくマリアの側では完璧でないないことを許されていたのに、また戻ってしまう。
だから、頼むセラ。私の憩いを奪わないでくれ。


けれど私は気持ちを彼女に伝えられず。
結局学園祭はセラ主導のもと完璧に準備が進む。
その間私も完璧でなければならず、それはきっと明日の学園祭当日でも同じこと。
ねえ、セラ。君はこれで満足なのかい?

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