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努力せず出来る変身は全人類の憧れ
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「つまり私は貴方、星野伊里奈さんの悪魔召喚とやらで間違って召喚されてしまったと?」
「はい…多分、そうです。」
彼女の話をまとめると、そういうことみたいです。
彼女の名前は星野伊里奈。
年齢は私より1つ下で、身分は平民の学生。
この世界ではフィオネさんのような特待生枠での入学をせずとも、平民が教育を受けられるみたい。
というより貴族が廃れているといった感じかしら。
「それにしても、魔術なんて夢物語のものが実在する世界があるとはね。信じられないわ。」
「あ、いえ…こちらの世界でも魔術は基本空想のものでして…あは、私なんで成功?したんだろう…?」
それにしても、彼女の喋り方は何なの。
話す時も目を合わせすらしませんし、言葉の端々から自信の無さが滲み出ていて見苦しいわ。
よく見れば、外見などもそう。
服は…まあ個人の自由ですし、この世界だと一般的なものなのかも知れないから置いておくとして。
例えば、その長い髪。
素材は悪くなさそうなのに、手入れを怠っているせいでむしろ不潔感をもたらしています。
目元が隠れているものマイナスよ。
それからメガネ。
私の個人的な趣味もあるけれど、外すべきね。
というかデザインの問題かしら。とてもダサいわ。
他にも気になる箇所はあるけど、キリが無い。
「えと、ええっと…取り敢えず…」
「ええ、取り敢えず貴方の外見の問題をどうにかするのが火急の案件でしょうね。」
「そうですね……そう、へ?」
たとえここが私の元いた世界でなくても、たとえ私が婚約者の王子に婚約破棄された身であろうとも、私は侯爵令嬢に相応しく常に気高くある必要があります。
そして気高くあるためには、接する人を選ばなくてはなりません。それは、どんな状況においても。
最低限のマナー。それから最低限の身だしなみ。
彼女にもそれくらい守ってもらわなくては。
「あ…た、確かにこんなブサイク女と喋りたくは無いですよね…で、でも今すぐ直すのはちょっと…」
ご安心ください。アテがあります。
召喚されてから感じる不思議な力。
誰に教えられたわけでもありませんが、この力で何ができるかなんとなく分かるのです。
「《改変》伊里奈さん、貴方の姿を整えるわ。」
私の声に応え、影が伊里奈さんを包みました。
そして数秒後、影が消失して現れた彼女はまるで別人のように爽やかな美女に変身しています。
というよりも、あら?もしかして…
髪の色やメガネの有無といった違いはあるけれど…
「びびび、びっっくりした…こ、殺されるかと…私の人生これで終わりかと思いました…」
あ、喋り出すと雰囲気が急に暗くなるわね。
それでもやっぱり間違い無いわ。
「伊里奈さん、姿見ってどこにあるかしら?」
「す、姿見?あ、鏡ですか。自分の姿見るの嫌なんで部屋に置いていないんですよね。洗面所です。」
「案内してちょうだい。」
私は彼女に案内してもらい、目的の姿見がある部屋に到着しました。
「こちら……え、えええ!?誰!?このイーリスさんと一緒に居る美少女!?まさか、私!?」
伊里奈さんは姿見を穴が空くほど見つめてから、頬を引っ張ったり叩いたりし始めました。
外見がいきなり変化したのに驚くのは、分からなくも無いのだけど別のことにも気付いてくれないかしら?
私の視線に気付いた伊里奈さんはハッとこちらを見てそれからまた姿見に映る自分の姿を確認します。
ようやく気付いたのね。
「ひ、ひぇぇぇ!ドッペルゲンガー!」
私とそっくりの顔で伊里奈さんは叫びました。
ドッペ…何ですって?
「はい…多分、そうです。」
彼女の話をまとめると、そういうことみたいです。
彼女の名前は星野伊里奈。
年齢は私より1つ下で、身分は平民の学生。
この世界ではフィオネさんのような特待生枠での入学をせずとも、平民が教育を受けられるみたい。
というより貴族が廃れているといった感じかしら。
「それにしても、魔術なんて夢物語のものが実在する世界があるとはね。信じられないわ。」
「あ、いえ…こちらの世界でも魔術は基本空想のものでして…あは、私なんで成功?したんだろう…?」
それにしても、彼女の喋り方は何なの。
話す時も目を合わせすらしませんし、言葉の端々から自信の無さが滲み出ていて見苦しいわ。
よく見れば、外見などもそう。
服は…まあ個人の自由ですし、この世界だと一般的なものなのかも知れないから置いておくとして。
例えば、その長い髪。
素材は悪くなさそうなのに、手入れを怠っているせいでむしろ不潔感をもたらしています。
目元が隠れているものマイナスよ。
それからメガネ。
私の個人的な趣味もあるけれど、外すべきね。
というかデザインの問題かしら。とてもダサいわ。
他にも気になる箇所はあるけど、キリが無い。
「えと、ええっと…取り敢えず…」
「ええ、取り敢えず貴方の外見の問題をどうにかするのが火急の案件でしょうね。」
「そうですね……そう、へ?」
たとえここが私の元いた世界でなくても、たとえ私が婚約者の王子に婚約破棄された身であろうとも、私は侯爵令嬢に相応しく常に気高くある必要があります。
そして気高くあるためには、接する人を選ばなくてはなりません。それは、どんな状況においても。
最低限のマナー。それから最低限の身だしなみ。
彼女にもそれくらい守ってもらわなくては。
「あ…た、確かにこんなブサイク女と喋りたくは無いですよね…で、でも今すぐ直すのはちょっと…」
ご安心ください。アテがあります。
召喚されてから感じる不思議な力。
誰に教えられたわけでもありませんが、この力で何ができるかなんとなく分かるのです。
「《改変》伊里奈さん、貴方の姿を整えるわ。」
私の声に応え、影が伊里奈さんを包みました。
そして数秒後、影が消失して現れた彼女はまるで別人のように爽やかな美女に変身しています。
というよりも、あら?もしかして…
髪の色やメガネの有無といった違いはあるけれど…
「びびび、びっっくりした…こ、殺されるかと…私の人生これで終わりかと思いました…」
あ、喋り出すと雰囲気が急に暗くなるわね。
それでもやっぱり間違い無いわ。
「伊里奈さん、姿見ってどこにあるかしら?」
「す、姿見?あ、鏡ですか。自分の姿見るの嫌なんで部屋に置いていないんですよね。洗面所です。」
「案内してちょうだい。」
私は彼女に案内してもらい、目的の姿見がある部屋に到着しました。
「こちら……え、えええ!?誰!?このイーリスさんと一緒に居る美少女!?まさか、私!?」
伊里奈さんは姿見を穴が空くほど見つめてから、頬を引っ張ったり叩いたりし始めました。
外見がいきなり変化したのに驚くのは、分からなくも無いのだけど別のことにも気付いてくれないかしら?
私の視線に気付いた伊里奈さんはハッとこちらを見てそれからまた姿見に映る自分の姿を確認します。
ようやく気付いたのね。
「ひ、ひぇぇぇ!ドッペルゲンガー!」
私とそっくりの顔で伊里奈さんは叫びました。
ドッペ…何ですって?
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