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第40話

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「いい天気だね」

「うん、平日だから人も少ないし快適だよ」

 私と柊生は手を繋ぎ昼間の街をゆっくり歩いていた。

「そう言えば柊生今日学校じゃないの?」

「あー、学校ね、やめた」

「やめたって退学したの?」

「うん」

「それってもしかして私のせい?」

「何もかも嫌になってたのは確かだけど、ももちゃんのせいじゃないよ」

「そうなんだ‥‥」

 付き合ってた頃は普通に行ってたのに、絶対私のせいだ。

「暗いよ!せっかくももちゃんと出掛けてんのにそんな顔見たくないから!」

 柊生は明るい笑顔で私に笑いかけてくれる。

「そうだよね、ごめん」


 その後、私と柊生はランチを済ませた。


 店を出ると、柊生が手を差し出しながら言った。

「お腹も満たされたし少し散歩でもしない?」

「そうだね、こんなにゆっくり出来る時なんてそうそうないしいいよ」

 私は柊生の手を取ると、とても幸せな気分になった。外もだいぶ涼しくなり風が気持ちいい。

 私達がのんびり散歩していると後から誰かに呼び止められた。

「もも」

 私が振り向くとそこには冬馬さんの姿が。

「っ!冬馬さん‥‥!」

 咄嗟に繋いでいた手を離した。

「何してんの?」

 冬馬さんが怒ってる、この状況はやばいと思った私は柊生の方をそっと見ると、柊生は意外にも堂々としていた。それどころか冬馬さんを睨んでいるようにも見えた。

「あっ、えっと‥‥」

 私がしどろもどろになっていると、

「まあいい、少し三人で話そう」

「えっ?三人で?」

「何か都合でも悪いの?」

「いや、そうじゃないけど‥‥」

「俺も丁度話したかったしいいですよ」

 柊生が冬馬さんと何話すのだろう、これ以上冬馬さんを刺激するのは‥‥と思ったがもう二人は私を置いてどこかに歩き出していた。

 そういえばお店はどうしたのかな、閉めてるんだろうけど言えるわけもなく黙ってついて行く事しか出来なかった。

 冬馬さんを筆頭に適当なカフェに入ると、奥の席に座った。

 四人席で冬馬さんと柊生は向かい合って座っている。この場合普通は冬馬さんの隣に座るべきなのだろうが、柊生を一人にするわけにはいかない。

 私は考えた結果椅子を横に持っていき、二人の間に座った。

 こんな修羅場数ヶ月前には想像出来ていただろうか、私は冬馬さんと結婚して子供も出来て、幸せな家庭を築くとばかり思っていた。

 それが‥‥全て私が招いた事だ。

 柊生も冬馬さんも堂々としている。
 震えているのは私だけ。

 沈黙が続いた後、冬馬さんが口を開いた。

「お前、ももに甘えるな。自立した大人になって出直してこい、じゃないと俺は認めない」

 いきなり口を開いたかと思うと、なんて事を‥‥。

「自立した大人じゃないと好きになる資格がないって言うんですか?」

「当たり前だ、そうじゃないとももが不憫だ」

「確かにももちゃんに甘えてます。でもこれからは俺が幸せにします」

 柊生がそんな事思ってたなんてと少し嬉しかったが、冬馬さんは厳しかった。

「何言ってんだよ。幸せに出来るわけないだろ、学校も行かずにフラフラしてるようなやつがどうやって幸せにするんだよ」

 もう‥‥この空気に耐えられない、早く解散したい。そればかり考えていた。

 その時、私たちの所に近づく人影があった。

「柊生帰るよ」

 そう言いながら近づいてきたのは柊生のお姉さんだった。

「何で姉貴がいるんだよ」

「いいから、ご迷惑になるから帰るよ」

 私的には柊生と冬馬さんを離したかったから正直ホッとした。

「私はいいからとりあえず帰った方が‥‥」

「わかった‥‥」

 そして柊生は渋々お姉さんと帰って行った。

 帰り際お姉さんは冬馬さんに会釈をしていた。

 でも何で急にお姉さんが来たのか。それが不思議だった。
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