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第二十九話
しおりを挟む目が覚めると手足に管が付いており、集中治療室にいた。
体中が痛い、頭も痛い、胃も痛い。
耳鳴りがひどい、めまいもする。
喋る気力はない、吐き気もする。
体に力が入らない。
私の意識が戻ると、しばらくして一般病棟に移された。
そこには竜也くんが待っていた。
病室のベットに横になる私を見て竜也くんは悲しそうだった。
「れい」
「竜也くんごめんね」
竜也くんは私を抱き寄せてくれた。
「またみんなで暮らそう?あおいもママの事待ってるよ」
「私なんか母親失格だよ」
「俺が許すから、一人で抱え込まないで全部ぶつけてくれたらいいんだよ?俺はそんなやわじゃないから」
「私の事好きじゃないでしょ」
「何言ってるんだよ、好きだよ、大事だよ、俺にはれいが必要だよ」
「ごめんなさい」
私は竜也くんの言葉が嬉しくて、堪えていた涙が溢れていた。
竜也くんは私の退院手続きをしてくれて、翌日には家に帰る事が出来た。
あおいは私の母親が預かっていてくれて、帰った日は竜也くんと二人で過ごした。
「れい、おかえり」
「ただいま」
「久しぶりの二人だね」
「竜也くん、私、本当にごめんね」
「俺もれいの事もっと考えてあげていればよかったって後悔してるよ」
「もうどこにも行かないで」
その日私は竜也くんと手を繋いで眠った。
二度と馬鹿な事はしないと誓って。
翌日、母親があおいを連れて帰ってきた。
「ママー」
嬉しそうに走ってくるあおい。
それから私は新しい気持ちで、本当の家族として、ありのままの自分と向き合う。
私を一瞬でも母親にしてくれたあおい、私を妻として受け入れてくれた竜也くん、私の事を少しでも求めてくれたこうき。
そして、不器用ながらも私を愛してくれたりゅうと。
同じ場所には行けないかもしれないけど、生まれ変わったら沢山愛してあげるね。
お母さんごめんね。
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