私のどこがダメですか?

9minute

文字の大きさ
上 下
18 / 30

第十八話

しおりを挟む

 里帰りの一ヶ月は私からしたらすぐだったが、竜也くんからしたらとても長く感じたようで、実家を覗いては早く帰ってきて欲しいなと呟いていた。

 寂しかったのだろう。

 母親に教えてもらい一通りのお世話を出来る様になった私は帰るのを楽しみにしていた。

 一ヶ月も過ぎ、竜也くんの待つ家にあおいと帰る。

 竜也くんは忙しいにも関わらず一緒に育児に参加してくれた。当たり前だが、それが出来ない人もいっぱいいると聞いていたので、私は感謝の気持ちを普段から伝えるようにしていた。

 夜中や日中も関係なく育児が続く中、私は育児ノイローゼになっていた。

 竜也くんがいる時はいいが、普段いない事が多い為どうしてもワンオペ状態になっていた。

 竜也くんのご飯さえまともに用意できない時が続いた。それでも竜也くんは私の分まで作ってくれたり、本当よくできた旦那だと思った。

 これと言った喧嘩やトラブルもなく、あおいが一歳を迎えた。

 私もそろそろ仕事がしたくなっていた為、竜也くんに相談した。

「うちそろそろ仕事したらダメかな?」

「あおいはどうするの?」

「保育園に預けようと思って」

「そっか、れいも育児ばかりで外出たいよな」

「それもあるけど、少しでも貯金がしたくて、これからどんどんお金かかるでしょ?」

「わかった、でも無理は禁物だよ?出来る範囲でいいからね」

「ありがとう」

 こうして私はあおいを保育園に預け、雇ってくれる事になったコンビニで働く事になった。

 時間は朝から昼過ぎまでだ、仕事が終わったらあおいを迎えに行って買い物をして帰る。

 とても忙しくて、世のお母さんはこんなにも大変だったんだと、女で一つで育ててくれた母親に改めて感謝しないとと思った。

 仕事とはいえ、自由になった気分だった。昼間の時間は主婦の人も多くてすぐに溶け込めた。

 私は周りより少し若いお母さんだが、それでも変な目で見られる事もなく色々育児の事を教えてもらったり、充実していた。

 あおいも出来る事がどんどん増えて、携帯のアルバムはあおいでいっぱいだった。
 


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

プレパレーション

9minute
恋愛
何気ない日常がどれほど尊いものなのか。当たり前にある日々をどれだけ大切に、感謝をして生きていくのか、最後にならないと本当に分からないものである。 この作品はカクヨムにも掲載しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

私の手からこぼれ落ちるもの

アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。 優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。 でもそれは偽りだった。 お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。 お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。 心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。 私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。 こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら… ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ 作者独自の設定です。 ❈ ざまぁはありません。

長い片思い

詩織
恋愛
大好きな上司が結婚。 もう私の想いは届かない。 だから私は…

処理中です...