8 / 30
第八話
しおりを挟む私は珍しく家から出たくなかった。
りゅうとに会うのが怖くなっていたからだ。
家に帰った日の夕方、地元の男の先輩から連絡が来た。
先輩の声は震えていて、どうしたのか聞くと、りゅうとくんの所に帰ってほしいと言われた。
私がなんでか聞くと、私を連れ戻さないと俺たちが殺されると。
私は断った。
私だってこれ以上殴られるのは勘弁だった。しかし、先輩が言うには、りゅうとくんはれいが出て行ってしまって落ち込んでいると、自分が謝ってもれいは戻ってこないと思うから、連れ戻してほしいと頼んで来たらしい。りゅうとくんは謝っていて、もう殴らないと言っていると。
信じれるわけない、でも先輩は私を連れ戻さないと本当に殺されると言っている。
何故なら先輩の家の前にりゅうとの車が止まっていて身の危険を感じて家から出れないと。
私はとても嫌だったがりゅうとにLINEをした。今から帰ると。
すると、家の前に止まっていたりゅうとの車が動き出したと先輩から連絡があった。
本当にありがとうと感謝されたが、私は迷惑かけてごめんと謝った。
私は荷物を持たずにりゅうとの家に向かった。とても怖かった私は、自分を落ち着かせる為自転車ではなく徒歩で時間をかけて向かった。
りゅうとの家に着くと、車があり、部屋の電気も付いていた。
私はふーっと深呼吸をし、玄関を開ける。
リビングでタバコをふかしながらりゅうとは言った。
帰ってきてくれてありがとうと。
そして私を抱き寄せ頭を撫でた。
私は一生離れられないんだと頭をよぎった。しかし、りゅうとの目は腫れて見えた。
もしかして泣いていたのか?そう思うと、少し同情もした。
りゅうとの両親はいつも夫婦喧嘩をしていて、それも包丁で刺し合うくらいの激しい喧嘩で、小さい頃から家中血だらけなのを見て育ったと言っていた。
実際、りゅうとと遊んでいる時も、りゅうとのお母さんから助けてと言う電話をもらい一緒にかけつけた事もある。
私は車の中で待っていたがお皿の割れる音や叫び声が聞こえていた。
それを思うと、りゅうとは寂しいんだと心が傷んだ。私はもうどこにも行かないからと言った。
りゅうとは私が手ぶらなのを見て心配していた、別れる為に来たんじゃないかって。
私は徒歩で来たから持ってこれなかったと言うと、車で取りに行こうと言われ一緒に取りに行く事に。
荷物を取りに家に帰ると、母親が言った。
「出たり入ったりしないで」
と、それは帰ってくるなと言うことなのだろうか。
結局私の居場所は家にもなくて、りゅうとと居るしかないと思った。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

プレパレーション
9minute
恋愛
何気ない日常がどれほど尊いものなのか。当たり前にある日々をどれだけ大切に、感謝をして生きていくのか、最後にならないと本当に分からないものである。
この作品はカクヨムにも掲載しています。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる