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第八話
しおりを挟む私は珍しく家から出たくなかった。
りゅうとに会うのが怖くなっていたからだ。
家に帰った日の夕方、地元の男の先輩から連絡が来た。
先輩の声は震えていて、どうしたのか聞くと、りゅうとくんの所に帰ってほしいと言われた。
私がなんでか聞くと、私を連れ戻さないと俺たちが殺されると。
私は断った。
私だってこれ以上殴られるのは勘弁だった。しかし、先輩が言うには、りゅうとくんはれいが出て行ってしまって落ち込んでいると、自分が謝ってもれいは戻ってこないと思うから、連れ戻してほしいと頼んで来たらしい。りゅうとくんは謝っていて、もう殴らないと言っていると。
信じれるわけない、でも先輩は私を連れ戻さないと本当に殺されると言っている。
何故なら先輩の家の前にりゅうとの車が止まっていて身の危険を感じて家から出れないと。
私はとても嫌だったがりゅうとにLINEをした。今から帰ると。
すると、家の前に止まっていたりゅうとの車が動き出したと先輩から連絡があった。
本当にありがとうと感謝されたが、私は迷惑かけてごめんと謝った。
私は荷物を持たずにりゅうとの家に向かった。とても怖かった私は、自分を落ち着かせる為自転車ではなく徒歩で時間をかけて向かった。
りゅうとの家に着くと、車があり、部屋の電気も付いていた。
私はふーっと深呼吸をし、玄関を開ける。
リビングでタバコをふかしながらりゅうとは言った。
帰ってきてくれてありがとうと。
そして私を抱き寄せ頭を撫でた。
私は一生離れられないんだと頭をよぎった。しかし、りゅうとの目は腫れて見えた。
もしかして泣いていたのか?そう思うと、少し同情もした。
りゅうとの両親はいつも夫婦喧嘩をしていて、それも包丁で刺し合うくらいの激しい喧嘩で、小さい頃から家中血だらけなのを見て育ったと言っていた。
実際、りゅうとと遊んでいる時も、りゅうとのお母さんから助けてと言う電話をもらい一緒にかけつけた事もある。
私は車の中で待っていたがお皿の割れる音や叫び声が聞こえていた。
それを思うと、りゅうとは寂しいんだと心が傷んだ。私はもうどこにも行かないからと言った。
りゅうとは私が手ぶらなのを見て心配していた、別れる為に来たんじゃないかって。
私は徒歩で来たから持ってこれなかったと言うと、車で取りに行こうと言われ一緒に取りに行く事に。
荷物を取りに家に帰ると、母親が言った。
「出たり入ったりしないで」
と、それは帰ってくるなと言うことなのだろうか。
結局私の居場所は家にもなくて、りゅうとと居るしかないと思った。
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