私のどこがダメですか?

9minute

文字の大きさ
上 下
3 / 30

第三話

しおりを挟む

 あれからも何度か4人で遊んでいた。


 その日はこうきの家に行こうという話になり、みんなでお邪魔する事に。

 こうきの家は私たちの地元から車で30分ほどの所にあるが、しんじの運転だと割と早く着いた。

 深夜だったにもかかわらず、リビングでくつろぐこうきのお父さんはいらっしゃいと言ってくれた。

「お父さん優しいね」
 私が言うと、

「確かに怒られた事ないわ」
 こうきはそう言い部屋に案内してくれた。

 こうきの部屋はとても広く、ダブルベットを置いていて、少し離れた所にソファとテレビがある。

 私たちはその時流行っていたお笑いのDVDを見る事にした。

 自然にかおりとしんじ、私とこうきで分かれていた。

 こうきはベットに入り、私を呼ぶ。

 私もこうきのベットに入り、壁際にもたれかかって座った。

 ソファではかおりとしんじが座ってくつろいでいた。

 そのうちかおりたちは自分たちの世界に入っていて、こちらの事など気にする事なくテレビの方に集中していた。

 私は今しかないと、思い切って気持ちを伝える事にした。

「ねえ、言いたい事あるんだけど」

「なに?」

「気付いてるとは思うんだけど好きなんだよね」

「あぁ、うん」
 こうきは気まずそうに言った。

「うんって、何か他に言う事ないの?」

「ちょっと考えさせて?」
 苦笑いを見せながら申し訳なさそうに言ってくる。

「嫌なの?」

「嫌じゃないけど、少し考える時間がほしい」

「わかった」

 せっかちな私は正直、は?と思ったが好きだった為待つ事にした。

 その日は結局隣で眠ったが何もなし。

 あまり積極的にするのも引かれたら最悪だから私から迫る事もしなかった。

 朝になり、かおりの家まで送ってもらって解散する。

「ねえ、こうきに告ったんだけどさ、考えさせてって言われた」

「は?何それ、あんなにラブラブなのに今更?」

「よく分からないよね?」

「てか2人で遊んだ事なくない?」

「ない」

「なんで?」

「なんでだろ、車持ってないとか?」

「いや、それはないよ?シルバーのセダン乗ってるってしんじ言ってた」

「じゃあ誘ってみようかな」

「そうしたら?てか考えさせてって何様だよ」

「意外と純粋なのかも、キス一つしてこないんだよ?」

「マジ?てっきりもうやってるのかと思ってた」

「普通そうだよね?もしかして童貞なのかな?」

「うん、有り得なくはないよね」


 数日後、私は2人で遊ぼうと誘ったが、色々と誤魔化されるように拒否された。


 その為その後も4人で頻繁に遊んでいたが、返事をもらう事もなく、痺れを切らした私はもう一度聞く事にした。

「あの話どうなったの?」

「どうって?」

 とぼけている、完全に聞かれたくないような態度だ。

「もういい」

「ごめんごめん、嘘だって!」

「いいから本当」
 
 私はだんだんと好きな気持ちが薄まっていた。

「あと一ヶ月待ってくれる?」

「一ヶ月も?!」

「うん!そしたら返事するから!」

 私は仕方なくあと一ヶ月だけ待つ事にした。

 内心希望はないと思っていた。どうせ友達じゃダメかなって言ってくるパターンだ。

 そう思っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

プレパレーション

9minute
恋愛
何気ない日常がどれほど尊いものなのか。当たり前にある日々をどれだけ大切に、感謝をして生きていくのか、最後にならないと本当に分からないものである。 この作品はカクヨムにも掲載しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...