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フリーター20代男性2

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あるよ。気がついてたら倒れてた。

やっぱ俺と同じか、俺も森の中で倒れてた!宝石も持ってた!

今井は少し興奮気味だ。

そのままなんとか家まで帰ったんだけどよ、この宝石をどうしたらいいかわからんくて、もしかしたら高く売れるかもしれねえから質屋に持って行こうともしたんだけどな。
けど家で宝石を触ってたら
なんか幻覚というか、あの倒れる前の記憶っぽいのがフラッシュバックしてきたんだよ。

まじで!?俺にはそんなの一度も無かったけど。
どんな記憶だった?

正直ほぼ何も見えなかった…とにかく暗い何処かで寝てた…
そしたらあの宝石が徐々に額の上に降りてきたんだよ。

周りに誰もいなかったの?
ヒーローものの人体改造されたとかそんなんなかった?

多分無かったな…
いや、ただなんか聞こえてたかもしれない…
なんか声の様な、人間とは違うし、なんて言えばいいんだろ…
とにかく生き物っぽそうな声が聞こえたな。
まあそこから額に宝石が入っていって記憶は途絶えたかな。
それで家の中で額に当ててみたら化け物になった。

なるほど、だから額に当てることを知っていたのか。

あのとき恐怖もあったけど興奮した!まじで。
これさえあればかなり稼げ
る予感したもん。
それでお前と会った日が初めて決行した日だったのよ。

なるほどな…
正直言ってやること小さ過ぎない?

いや、まあいきなりでかい事やらかすのは怖いなーって思って。
しかも化け物の状態でひったくりしたら周りの人に見られるし、どうしたらいいかわからんくてさ、
結局人間の状態でひったくって…。
こんなことすらもビビリ倒して全然上手くできなくて
犯罪すら俺には向いてないんだよな…。

おれはなんて返したらいいかわからず黙って話を聞いた。

てかお前の宝石見せてくれよ。

あっうん。

なんか俺のと色が違うな。
おれは灰色でお前は水色。
なんか違いあんのかな。

んーわからない。ただ色が違うだけかな。

スマホを見た。徐々に深夜に近づいている。

もう遅いから一つだけ言いたいことがある。

うん。

俺と今井二人とも化け物の見た目が同じだったよね?
深緑でなんとも言えない感じ。

うん、それが当たり前なんじゃないの?

実は俺、前にも化け物に襲われててさ、そのときの化け物は見た目が黒くて明らかに強そうだった。

まじかよ…どういうことなんだろ。俺たちと別のタイプの化け物なのかな。

その可能性もあるけど俺たちの進化系の様な気もした。
身長も2m弱ぐらいで硬い装甲に覆われてたし、動きも格段に俺らより早かった。
上位互換としか言いようがない感じ。

んー…俺らもそうなる時が来るってことなのか?

今後人を救うためには強いに越した事はないけど
その条件もわからないし。
とにかく今日は帰ろう。
考えてもわからない。

そうだな。連絡先聞いてもいいか?

わかった。


その後、共に行動する様になり、
アルバイトをクビになった俺は次が決まる間、化け物の情報を集めようと思った。
だが化け物が都合よく現れるわけでもないし特になにをしたらいいかわからなかった。

そこであの森に行くことにした。

相変わらずセミがよく鳴いている。

今井が数m先を指差して言った。

おれが倒れてた場所は確かあそこらへんだったかな。

少し俺と離れているがまあ誤差と呼べる範囲だろう。
とにかく怪しい場所を探そう。
今井の記憶に場所は出てきてないの?

無いな。暗いしかわからなかった。

その後2時間程度森の中を歩き回ったが何一つとして
ヒントになるものは出てこなかった。

困ったな。何も情報が出てこない。これじゃあすることなんもないぞ。

目的を失い二人は気が抜けながら森を歩いていた。

するとまっすぐ生えた木々の隙間からさまよう化け物が見えた。

もしかしたら人間が宝石を授かり、化け物になったばかりの状態かもしれない。
ただの被害者の可能性がある。俺らから攻撃してはいけない。

二人は一定の距離を取りながら逃さぬよう凝視していた。

化け物は何かを探すように森を歩き続けている。

俺らが倒れる前も何かを探そうとしていたのかな?

んー…今のところ俺らにそんな兆候見てないよな。

どこか理性的な行動のようにも感じる。

今井が眉間にシワを寄せながら話す。

まさか中の人間の感情で何かを探しているんじゃないか?
もしそうだとすれば既に化け物になっている人間があえて森の中で何かを探していると言うことになるよな。

目的がわからない。善人なのか悪人なのかも検討がつかない。

化け物は諦めたのか立ち止まった。
するとみるみる内に硬い殻が取れて長身の男になった。

やっぱりそうだ!あいつなにか企んで森にきてやがるぞ!
とにかくあいつ何か知ってるかもしれない。

二人は男の元へ駆け寄った。

すぐに男はこちらを警戒し
鋭い眼差しで睨んできた。

誰だお前らは。

今井は打ち解けようと下手に出た。

俺らも実は化け物で、お前と同じ仲間なんだぜ!
見た目も同じだし!

そうなのか。

男は目を見開きながら興奮していた。

じゃあお前らは宝石を持っているのか!
宝石をよこせ!

あげるわけにはいかないが
宝石をどうするつもりなんだ?

よこせ!
男は目をギラつかせながら
すぐさま額に宝石をかざした。

おいおいおい嘘だろ!話を聞いてくれよ!

今井、もう戦うしかない。
こっちは二人だし、余裕だよ。

確かに!相手の形態もこちらと同じ。これは勝てるな!

二人は覚悟を決め、
息ぴったりに額にかざした。

やはりだめだ…。気持ち良すぎる。意識が飛びそうになる。

白くモヤがかりそうな視界を振り払い、敵に対して構えた。

今井は大丈夫なのか?
無事か?

あぁ、俺はそんなものすぐに吹き飛ばしたぜ。

今井は強いな…。俺は何度も呑まれそうになった。

こんな時にネガティブになっててどうすんだ!
いくぞ!

二人はボコついた土を蹴りながら化け物に殴りかかった。

今井の左の拳が化け物の頬にねじ込まれたが、俺の拳は当たることもなく、
前蹴りが腹部に直撃し土の上を転がった。

今井は前蹴りした左脚をがっしりと掴み、前方に押し倒し顔面に爪を突き刺した。そのまま力任せに腕を空に突き上げ、化け物の頭部が宙に舞った。

俺たちは化け物対化け物戦
の勝利の条件を知らなかった。

今井は勝ちを確信した。が、右腹部に相手の爪が刺さっていたことに今気づいたのだった。

頭の無い化け物は淡々と立ち上がり、根深く刺さった爪を勢いよく抜き吹き出る血飛沫の中、今井の身体を軽々と蹴飛ばした。
真っ直ぐな木に背中を強打しうずくまる今井に俺は駆け寄った。

状態を確認していると
化け物はけたたましい咆哮を放ち、大地が轟音と共に揺れ始めた。

なにが起こっている?地震か?まさかあいつの力?

今井が体重をかけている木、左右前方のあらゆる木が荒れ狂うように倒れ初めた。

今井傷は塞った?

あぁなんとか…。

とにかく化け物の所まで行くしかない!石田俺をあいつのとこまで蹴飛ばして

そんなこと言っても蹴れる隙が見つからない!
揺れが止まないぞ!

わからない!とにかく木を殴れ!その場を凌ぐしか無いだろ!

そうだ!化け物の方向に木を殴ればいいんだ!

それだ!

二人が砕いた木の塊が化け物に直撃し両腕で受け身を取っている。

石田蹴ってくれ!早く!

背中を思いっきり蹴飛ばし勢いよく飛んだ。
勢いよく身体に覆い被さり化け物は倒れ込んだ。

今井を飛ばしたと同時に俺は全力で走った。

今井は上半身の上に乗り顔面を殴り続けた。

俺はその光景を追い続け
素早く両肘を切り落とし
手際良く両足も切り落とした。

顔面が陥没し四肢が切り落とされ周辺は青い血で染まっていた。

なんだか美味しそうだ…。

徐々に視界がぼやけていく…

うまそう…食べたい…我慢できない!

今井の身体を蹴飛ばして
死体に噛みついた。

邪魔するなあぁぁぁ!!!

響き渡る咆哮と同時にとてつもない勢いで今井が飛びついてきた。

片手で顔面を抑え地面にねじ伏せ、そのまま今井の首半分を噛みちぎる。
悲鳴を上げながらも両爪で腹部の装甲を削ぎ落とし、
その後も容赦なく爪が刺さる。
痛みに耐えながら今井の頭部を掴み無理やり引き抜き投げ捨てた。

その隙に死体を無我夢中でしゃぶりついた。
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みんなの感想(3件)

ぽっちゃま
2021.08.21 ぽっちゃま

この感じ好きです

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2021.08.21 ユーザー名の登録がありません

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花雨
2021.08.13 花雨

作品お気に入り登録しときますね(^^)

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