10 / 28
10
しおりを挟む
僕は下駄箱から靴を取って裏口まで行くと、タクシーが止まっていた。既に清水と田中は乗り込んでいたので後から乗り込むと、清水は徐に
「柏木町のショッピングセンターまで」
とだけ運転手に告げて車は走り出した。
タクシーで15分ほど走り僕達がショッピングセンターに到着した時、正面玄関の一角に人だかりが出来ていた。
僕達は人ごみを分けて入っていくと、既にセンターの救護係りの人が僕達と同じ高校の制服を着ているネクタイの色から3年生と思われる生徒の介抱をしていた。
ただ介抱しているといっても、椅子で押さえ付けらた上からペットボトルで水を与えているだけだったが。
その3年生の男子の額は汗でびっしりと覆われ、喉仏がやや下がり気味に唾をゆっくりと飲み込んでいる仕草から、だいぶ疲れた様子だったので、もう抵抗はしないように見えた。清水は近くにいた責任者と思われるスーパーの救護係の人に声を掛けた。
「すいません、ご迷惑をお掛けしました、同じ高校の生徒会会長兼、風紀委員長の清水と言います」
清水君はそう言いながら自信満々に近づくと、名刺を1枚出してその人物に渡した。
ええ!?高校生で名刺? 生徒会って名刺持てるのか…今、始めて知ったぞ。
清水と応対した40代後半と思われる救護係の責任者の男の人は、清水君にやや斜め向きに構えて不信感を表していた。
親父の会社で働いている職人さんが、給料を一晩でパチスロで使ってしまって、給料日の翌日に前借に来られた時の親父の足の向き方にまるでそっくりだ。
その救護係りの人は最初は少し怪訝な表情をしていたが、清水の毅然とした態度に徐々に信頼感を寄せ始めているのが表情から分かった。
「ああ、同じ高校の生徒さんね、この子なんだか奇声を上げながら非常階段上っていこうとしたから、うちの店員が止めたら少し抵抗してね。椅子で取り押さえてしばらくしたらようやく動かなくなったんだけど、今救急車とか警察呼ぼうか迷ってたんだよ。しかし、この子酔っ払ってるの? 目つきが変だよ?」
そう救護係りの人が言うと清水は
「いや、実は彼はちょっと持病がいろいろあるんですが、薬を飲み間違えたらしいんですよ。さっき家族の人から電話があって、薬を間違えて持たせてしまったと連絡が入りまして」
と理路整然と冷静に説明しだした。
えっどうして?
清水が説明している間も僕は心の中である疑問が沸く。
「柏木町のショッピングセンターまで」
とだけ運転手に告げて車は走り出した。
タクシーで15分ほど走り僕達がショッピングセンターに到着した時、正面玄関の一角に人だかりが出来ていた。
僕達は人ごみを分けて入っていくと、既にセンターの救護係りの人が僕達と同じ高校の制服を着ているネクタイの色から3年生と思われる生徒の介抱をしていた。
ただ介抱しているといっても、椅子で押さえ付けらた上からペットボトルで水を与えているだけだったが。
その3年生の男子の額は汗でびっしりと覆われ、喉仏がやや下がり気味に唾をゆっくりと飲み込んでいる仕草から、だいぶ疲れた様子だったので、もう抵抗はしないように見えた。清水は近くにいた責任者と思われるスーパーの救護係の人に声を掛けた。
「すいません、ご迷惑をお掛けしました、同じ高校の生徒会会長兼、風紀委員長の清水と言います」
清水君はそう言いながら自信満々に近づくと、名刺を1枚出してその人物に渡した。
ええ!?高校生で名刺? 生徒会って名刺持てるのか…今、始めて知ったぞ。
清水と応対した40代後半と思われる救護係の責任者の男の人は、清水君にやや斜め向きに構えて不信感を表していた。
親父の会社で働いている職人さんが、給料を一晩でパチスロで使ってしまって、給料日の翌日に前借に来られた時の親父の足の向き方にまるでそっくりだ。
その救護係りの人は最初は少し怪訝な表情をしていたが、清水の毅然とした態度に徐々に信頼感を寄せ始めているのが表情から分かった。
「ああ、同じ高校の生徒さんね、この子なんだか奇声を上げながら非常階段上っていこうとしたから、うちの店員が止めたら少し抵抗してね。椅子で取り押さえてしばらくしたらようやく動かなくなったんだけど、今救急車とか警察呼ぼうか迷ってたんだよ。しかし、この子酔っ払ってるの? 目つきが変だよ?」
そう救護係りの人が言うと清水は
「いや、実は彼はちょっと持病がいろいろあるんですが、薬を飲み間違えたらしいんですよ。さっき家族の人から電話があって、薬を間違えて持たせてしまったと連絡が入りまして」
と理路整然と冷静に説明しだした。
えっどうして?
清水が説明している間も僕は心の中である疑問が沸く。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
エロゲソムリエの女子高生~私がエロゲ批評宇宙だ~
新浜 星路
キャラ文芸
エロゲ大好き少女佐倉かなたの学園生活と日常。
佐倉 かなた
長女の影響でエロゲを始める。
エロゲ好き、欝げー、ナキゲーが好き。エロゲ通。年間60本を超えるエロゲーをプレイする。
口癖は三次元は惨事。エロゲスレにもいる、ドM
美少女大好き、メガネは地雷といつも口にする、緑髪もやばい、マブラヴ、天いな
橋本 紗耶香
ツンデレ。サヤボウという相性がつく、すぐ手がでてくる。
橋本 遥
ど天然。シャイ
ピュアピュア
高円寺希望
お嬢様
クール
桑畑 英梨
好奇心旺盛、快活、すっとんきょう。口癖は「それ興味あるなぁー」フランク
高校生の小説家、素っ頓狂でたまにかなたからエロゲを借りてそれをもとに作品をかいてしまう、天才
佐倉 ひより
かなたの妹。しっかりもの。彼氏ができそうになるもお姉ちゃんが心配だからできないと断る。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小児科医、姪を引き取ることになりました。
sao miyui
キャラ文芸
おひさまこどもクリニックで働く小児科医の深沢太陽はある日事故死してしまった妹夫婦の小学1年生の娘日菜を引き取る事になった。
慣れない子育てだけど必死に向き合う太陽となかなか心を開こうとしない日菜の毎日の奮闘を描いたハートフルストーリー。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
群青の空
ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ
キャラ文芸
十年前――
東京から引っ越し、友達も彼女もなく。退屈な日々を送り、隣の家から聴こえてくるピアノの音は、綺麗で穏やかな感じをさせるが、どこか腑に落ちないところがあった。そんな高校生・拓海がその土地で不思議な高校生美少女・空と出会う。
そんな彼女のと出会い、俺の一年は自分の人生の中で、何よりも大切なものになった。
ただ、俺は彼女に……。
これは十年前のたった一年の青春物語――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる