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僕は下駄箱から靴を取って裏口まで行くと、タクシーが止まっていた。既に清水と田中は乗り込んでいたので後から乗り込むと、清水は徐に
「柏木町のショッピングセンターまで」
とだけ運転手に告げて車は走り出した。



タクシーで15分ほど走り僕達がショッピングセンターに到着した時、正面玄関の一角に人だかりが出来ていた。



僕達は人ごみを分けて入っていくと、既にセンターの救護係りの人が僕達と同じ高校の制服を着ているネクタイの色から3年生と思われる生徒の介抱をしていた。



ただ介抱しているといっても、椅子で押さえ付けらた上からペットボトルで水を与えているだけだったが。




その3年生の男子の額は汗でびっしりと覆われ、喉仏がやや下がり気味に唾をゆっくりと飲み込んでいる仕草から、だいぶ疲れた様子だったので、もう抵抗はしないように見えた。清水は近くにいた責任者と思われるスーパーの救護係の人に声を掛けた。



「すいません、ご迷惑をお掛けしました、同じ高校の生徒会会長兼、風紀委員長の清水と言います」




清水君はそう言いながら自信満々に近づくと、名刺を1枚出してその人物に渡した。



ええ!?高校生で名刺? 生徒会って名刺持てるのか…今、始めて知ったぞ。




清水と応対した40代後半と思われる救護係の責任者の男の人は、清水君にやや斜め向きに構えて不信感を表していた。

親父の会社で働いている職人さんが、給料を一晩でパチスロで使ってしまって、給料日の翌日に前借に来られた時の親父の足の向き方にまるでそっくりだ。




その救護係りの人は最初は少し怪訝な表情をしていたが、清水の毅然とした態度に徐々に信頼感を寄せ始めているのが表情から分かった。



「ああ、同じ高校の生徒さんね、この子なんだか奇声を上げながら非常階段上っていこうとしたから、うちの店員が止めたら少し抵抗してね。椅子で取り押さえてしばらくしたらようやく動かなくなったんだけど、今救急車とか警察呼ぼうか迷ってたんだよ。しかし、この子酔っ払ってるの? 目つきが変だよ?」




そう救護係りの人が言うと清水は

「いや、実は彼はちょっと持病がいろいろあるんですが、薬を飲み間違えたらしいんですよ。さっき家族の人から電話があって、薬を間違えて持たせてしまったと連絡が入りまして」

と理路整然と冷静に説明しだした。




 えっどうして?



清水が説明している間も僕は心の中である疑問が沸く。

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