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第一章

25 祝福 ト 王子

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私たちは広い聖堂に並ぶ。
とくに整列順は関係ないのかな。

「いつまでまたせるきだ!さっさとはじめろ!!」

大聖堂に幼い少年の声が響く。
どうやら今日一緒に祝福を受ける子供の1人が声をあげたようだ。
見たところ、かなり良い服を着ているみたいだけど待つのを嫌うという事は順番の遅い伯爵家あたりの子なのかな?

「それでは始めさせていただきます」

神官様がそう言うと神像の前、所定の位置に立ち厳かに口上を述べる。

「神の祝福を··········ヴィンセント・レイ・ヴェラントウォール様」

「ふん!」

あ、さっき叫んでた子だ。
1番最初に呼ばれてる。
つまり王子様·····王太子殿下だ。全然待ってなくない?
彼は神官の元へ大股で歩いて行くとひったくるように羊皮紙を奪い去ってゆく。

神職の皆さんも多少は怪訝な顔をするかと思いきや一切そんなことはない。
むしろ、無事終わって安堵感すら見えている。
私だけポカーンとしちゃって恥ずかしいじゃないか。早く呼んでくれ。

「セレスティア・ウォルフレーネ様」

「はい」

わたしの名前が呼ばれた。
2人目なのはわかってたから慌てる事もなく歩みを進め、奥の神像が安置してある場所で神官より羊皮紙を授けられる。

「世に満ちるプレギトゥーラよ。
ここに新たな無垢を見よ、彼方の波に受け入れよ·····」

受入インストール完了しました。個体値、個別特性を算出します。》

おい、インストール言ったぞ?

「お待たせいたしました。·····こちらを」

差し出された羊皮紙を恭しく受け取る。
渡された羊皮紙は3枚。これにそれぞれステータスを写し取るのだ。

「神の声は聞こえましたかな?」

神官が優し気な微笑みで聞いてくれる。
神の声って、さっきの?
完全にシステムメッセージだったけど頷いておく。

「それはようございました。
これからも神の声を聞けるように頑張ってくださいね」

「かみのこえは、どうやったらきけるの?」

「ウォルフレーネ様が頑張ってスキルを獲得したり、称号を身に付けたら神様が教えてくださいますよ」

うーん、聞けば聞くほどシステムメッセージ。
あのメッセージを神様からのお告げとして崇めることで宗教として教会が成り立ってるのかな。
確かに世界からの通達という意味では間違いなく神の声かもしれない。

受け取った羊皮紙を握り神官の前を辞すると控えていた神職に次の間へ進むよう言われる。
曰く、そこに鑑定士が詰めているからステータスを出して貰えるとの事。

ヤバい、スキップしそうだ·····。
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