異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第11章

第189話

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 永く、朧気でどこか暖かい夢を見ていた。真っ白な世界で、側には懐かしい仲間たちが自分を見て、いつものように笑っている。

「××××××、早くしないと置いていくぞ~」

「××××××さん、もうすぐ目的地です!頑張りましょう!」

「…………先に行ってる」

 どこか奇妙な感覚にその場に突っ立っていることしか出来なかった私の足は、仲間の声にはっとなりようやく一歩を踏み出した。 
 だが歩いても彼らに追いつくどころか、その距離はみるみる離れていく。私は慌てて走り出したが、すぐに何かに躓いて盛大に転んだ。痛みに顔を歪めながらも振り返れば、私の足元には見知らぬ誰かの死体が転がっている。驚いて飛びのいたが、気が付けばそこは戦場のように荒廃し、辺り一面にあらゆる種族の屍があった。

「……こんなところにいたのか」

 爆発音や悲鳴が聞こえる場に1つ、鈴のような上品で透き通る声が落ちた。ゆっくりと振り向けば、見知った顔の男が1人、全身を誰ともわからぬ血で真っ赤に染め、こちらを冷たい瞳で見下ろしていた。

「最後にもう一度聞いておく。僕と一緒に来る気はない?」

「…………え?」

「残念だ。とても残念だよ、。君となら、より良い世界の創造ができると思ったんだけどね。でも出会いがあるなら別れもある、この運命を僕は受け入れることにするよ」

 そう言って彼は静かに微笑むと、指を1度だけ鳴らした。最後に見えた彼の顔は、ひどく歪んでいるようだった。


「ーーーて……」

「……ん」

「あ、起きた」

 何か頬にぺちぺちと叩かれる感じで目を覚ますと、目と鼻の先にこちらを覗き込む少女の顔があった。先に起きてお菓子を摘まみ食いでもしていたのだろう。口の周りに食べ残しのクッキーが沢山ついていた。

「おや姫、お早いお目覚めですねぇ♪なにか御用ですか?」

「……昨日の昔話、続き気になる」

「あー……そんなこともありましたね。どこまで話しましたっけ?」

「……大賢者が仲間の勇者に殺されたところ」

「はいはい思い出しましたよ~♬では、続きですねぇ」

 私はゆっくりと身を起こしてから少女の口の周りを拭いてやり、彼女の乱れた髪を梳きながら遠い昔の話を始めた。

「数百年前、厳密に言うと賢者は殺されてはいません」

「……?」

「立派な森の地下深くに、身動きの取れないよう術式の施された棺桶に封印されます♪たいていなら死にますね~」

「……でもお前生きてる」

「そう!私もさすがに魔力が尽きかけて死ぬかと思ったその時でした!なんと森が奇麗に吹き飛んだかと思えば、一瞬で再生したんですよぉ~♬今から数年前くらいのことでしたね。しかもその犯人はなんと、異界からの来訪者だったんですぅ!」

 謎の展開に龍の姫は首を傾げ、笑顔で話す私の顔を不思議そうに見つめた。
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感想 192

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みんなの感想(192件)

Ichijiku
2024.12.16 Ichijiku

ほんと‼️◯が多すぎてアニメをあんまり観ないからギブ!

解除
みい
2024.10.19 みい

大人気作品をリスペクトしてるのかもしれませんが、出しすぎだと思います。そのせいで文章がとにかく読みづらいし内容がわかりにくくなってしまっているかと…
他者作品を出すと、その作品のイメージに引き摺られてオリジナリティに欠けるので勿体無いと感じました
不本意ですが途中でギブアップ…

解除
800NG
2023.08.18 800NG

〇が多すぎ、読むのが面倒、途中でギブアップ!

解除

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