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第11章
第187話
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《(期間が空いたので)前回までのあらすじ
シオリが魔人のガブリエラさんに捕まってしまった!主人公助けてあげてと願っても、今は絶賛宿題中…》
「ディアさんは、私の憧れだったの…」
うっとりした表情で語るガブリエラは、化けの皮が剥がれ、肌が白く金髪の女性へと変わっていった。シオリは震えながらも心の中でディアブロに助けを求めたが、いつもは五月蝿い位の彼の反応はない。
それを見透かしたガブリエラはふわふわ飛んでくると、鋭い赤い爪でシオリの腕をゆっくり撫でた。爪が肌に刺さり、細く赤い傷が出来上がっていく。そこから溢れた血を、ガブリエラはペロリと舐めた。
「あの人の血まみれになっても戦う姿が、大好きだったぁ。でもどんなに強い人も、結局は死んじゃうものなのよね…」
少し悲しそうにしながら、ガブリエラは懐から手帳のようなものを取り出した。年季の入ったそれを開き、あるページで手を止める。
「魔人族の長の手帳なんだけど、見てこれ」
見せられたページには、『ディアブロ生きている可能性あり』と小さく書かれていた。ハッとなるシオリの目の前で、ガブリエラは手帳を燃やした。
「私もすっかり噂を信じちゃってたけど、やっぱりディアさんは生きてたのね。その証拠に、あなたの中から彼に近い何かを感じるわ」
ガブリエラはシオリの頰をそっと撫で、妖艶な笑みを浮かべた。
「いるんでしょ?あなたの中に」
「…い、いません」
「そう…残念ね。仲良く出来ると思ったのだけど、やっぱり魔人族は他種族と相容れないのね」
ガブリエラはそう呟くと、鋭い爪をシオリの腕に突き刺した。
「ゔぁっ…!」
「いいわぁその苦しそうな表情…。あなたが苦しめば、ディアさんも出て来てくれるでしょ?」
痛みに顔を歪ませるシオリを見て、ガブリエラは蕩けた笑みを浮かべ、突き刺した爪をさらに深くへと進めていく。
「さぁ…早くしないと腕を貫通しちゃうわよぉ?」
「あ〝ぁ…な、何でこんな事…!」
「魔人族にはね、他種族との交流に賛成派と反対派がいるわけ。長は賛成派だから世界会議なんかに出てるけど、私たち反対派も少しはいるの。今はギリギリのところで反対派は生き延びてるけど、そこに賛成派のディアさんが戻ってきたら今度こそ私達も終わりなのよ」
ガブリエラは指をねじりながら傷口から溢れる血を舐め、ペロリと舌を出した。
「知ってる?魔人族と他種族の混血は能力が圧倒的に劣るの。誇り高き魔人族が弱体化するなんて…反対派はそれが許せない」
忌々しそうに吐き捨て、ガブリエラは一旦指を抜いて付着した血を拭った。シオリはあまりの痛さに涙を浮かべる事しかできず、何も言い返す事が出来ない。
「やっぱり他種の血は美味しくないわ。本当ディアさんも馬鹿よねぇ…。人間の女なんかに絆されて、魔人族の領土を出て行くなんて。そんな人は裏切り者と変わりないわ」
「…馬鹿なのは、てめぇじゃボケ!」
「はぁ?」
ガブリエラが鋭い視線を向けた瞬間、シオリを拘束していた腕輪や足枷が粉々に砕け散った。そしてすぐさまシオリはガブリエラを蹴り飛ばした。驚くガブリエラを見て、シオリはその顔に不釣り合いな悪い笑みを浮かべている。
「ぐっ…!」
「ふぃ~…やっと目が覚めたぜ。思い出したわ、お前ガーネットと仲悪かったガブガブ女か」
「やっと来てくれたのね…さぁ早く殺し合いましょう。裏切り者には裁きを与えーゴハッ?!」
ガブリエラは嬉しそうに爪を研いでいたが、それを遮るようにシオリに憑依したディアブロの拳が彼女の腹部にめり込んでいた。
ディアブロはそのまま拳を振り抜き、ガブリエラは岩の壁に背中から突っ込んでいく。
「なんか言ったか?これから始まるのは、俺様によるただの蹂躙だろうが」
ディアブロは拳をポキポキ鳴らせると、意気揚々と走り出した。
シオリが魔人のガブリエラさんに捕まってしまった!主人公助けてあげてと願っても、今は絶賛宿題中…》
「ディアさんは、私の憧れだったの…」
うっとりした表情で語るガブリエラは、化けの皮が剥がれ、肌が白く金髪の女性へと変わっていった。シオリは震えながらも心の中でディアブロに助けを求めたが、いつもは五月蝿い位の彼の反応はない。
それを見透かしたガブリエラはふわふわ飛んでくると、鋭い赤い爪でシオリの腕をゆっくり撫でた。爪が肌に刺さり、細く赤い傷が出来上がっていく。そこから溢れた血を、ガブリエラはペロリと舐めた。
「あの人の血まみれになっても戦う姿が、大好きだったぁ。でもどんなに強い人も、結局は死んじゃうものなのよね…」
少し悲しそうにしながら、ガブリエラは懐から手帳のようなものを取り出した。年季の入ったそれを開き、あるページで手を止める。
「魔人族の長の手帳なんだけど、見てこれ」
見せられたページには、『ディアブロ生きている可能性あり』と小さく書かれていた。ハッとなるシオリの目の前で、ガブリエラは手帳を燃やした。
「私もすっかり噂を信じちゃってたけど、やっぱりディアさんは生きてたのね。その証拠に、あなたの中から彼に近い何かを感じるわ」
ガブリエラはシオリの頰をそっと撫で、妖艶な笑みを浮かべた。
「いるんでしょ?あなたの中に」
「…い、いません」
「そう…残念ね。仲良く出来ると思ったのだけど、やっぱり魔人族は他種族と相容れないのね」
ガブリエラはそう呟くと、鋭い爪をシオリの腕に突き刺した。
「ゔぁっ…!」
「いいわぁその苦しそうな表情…。あなたが苦しめば、ディアさんも出て来てくれるでしょ?」
痛みに顔を歪ませるシオリを見て、ガブリエラは蕩けた笑みを浮かべ、突き刺した爪をさらに深くへと進めていく。
「さぁ…早くしないと腕を貫通しちゃうわよぉ?」
「あ〝ぁ…な、何でこんな事…!」
「魔人族にはね、他種族との交流に賛成派と反対派がいるわけ。長は賛成派だから世界会議なんかに出てるけど、私たち反対派も少しはいるの。今はギリギリのところで反対派は生き延びてるけど、そこに賛成派のディアさんが戻ってきたら今度こそ私達も終わりなのよ」
ガブリエラは指をねじりながら傷口から溢れる血を舐め、ペロリと舌を出した。
「知ってる?魔人族と他種族の混血は能力が圧倒的に劣るの。誇り高き魔人族が弱体化するなんて…反対派はそれが許せない」
忌々しそうに吐き捨て、ガブリエラは一旦指を抜いて付着した血を拭った。シオリはあまりの痛さに涙を浮かべる事しかできず、何も言い返す事が出来ない。
「やっぱり他種の血は美味しくないわ。本当ディアさんも馬鹿よねぇ…。人間の女なんかに絆されて、魔人族の領土を出て行くなんて。そんな人は裏切り者と変わりないわ」
「…馬鹿なのは、てめぇじゃボケ!」
「はぁ?」
ガブリエラが鋭い視線を向けた瞬間、シオリを拘束していた腕輪や足枷が粉々に砕け散った。そしてすぐさまシオリはガブリエラを蹴り飛ばした。驚くガブリエラを見て、シオリはその顔に不釣り合いな悪い笑みを浮かべている。
「ぐっ…!」
「ふぃ~…やっと目が覚めたぜ。思い出したわ、お前ガーネットと仲悪かったガブガブ女か」
「やっと来てくれたのね…さぁ早く殺し合いましょう。裏切り者には裁きを与えーゴハッ?!」
ガブリエラは嬉しそうに爪を研いでいたが、それを遮るようにシオリに憑依したディアブロの拳が彼女の腹部にめり込んでいた。
ディアブロはそのまま拳を振り抜き、ガブリエラは岩の壁に背中から突っ込んでいく。
「なんか言ったか?これから始まるのは、俺様によるただの蹂躙だろうが」
ディアブロは拳をポキポキ鳴らせると、意気揚々と走り出した。
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