208 / 210
第11章
第187話
しおりを挟む
《(期間が空いたので)前回までのあらすじ
シオリが魔人のガブリエラさんに捕まってしまった!主人公助けてあげてと願っても、今は絶賛宿題中…》
「ディアさんは、私の憧れだったの…」
うっとりした表情で語るガブリエラは、化けの皮が剥がれ、肌が白く金髪の女性へと変わっていった。シオリは震えながらも心の中でディアブロに助けを求めたが、いつもは五月蝿い位の彼の反応はない。
それを見透かしたガブリエラはふわふわ飛んでくると、鋭い赤い爪でシオリの腕をゆっくり撫でた。爪が肌に刺さり、細く赤い傷が出来上がっていく。そこから溢れた血を、ガブリエラはペロリと舐めた。
「あの人の血まみれになっても戦う姿が、大好きだったぁ。でもどんなに強い人も、結局は死んじゃうものなのよね…」
少し悲しそうにしながら、ガブリエラは懐から手帳のようなものを取り出した。年季の入ったそれを開き、あるページで手を止める。
「魔人族の長の手帳なんだけど、見てこれ」
見せられたページには、『ディアブロ生きている可能性あり』と小さく書かれていた。ハッとなるシオリの目の前で、ガブリエラは手帳を燃やした。
「私もすっかり噂を信じちゃってたけど、やっぱりディアさんは生きてたのね。その証拠に、あなたの中から彼に近い何かを感じるわ」
ガブリエラはシオリの頰をそっと撫で、妖艶な笑みを浮かべた。
「いるんでしょ?あなたの中に」
「…い、いません」
「そう…残念ね。仲良く出来ると思ったのだけど、やっぱり魔人族は他種族と相容れないのね」
ガブリエラはそう呟くと、鋭い爪をシオリの腕に突き刺した。
「ゔぁっ…!」
「いいわぁその苦しそうな表情…。あなたが苦しめば、ディアさんも出て来てくれるでしょ?」
痛みに顔を歪ませるシオリを見て、ガブリエラは蕩けた笑みを浮かべ、突き刺した爪をさらに深くへと進めていく。
「さぁ…早くしないと腕を貫通しちゃうわよぉ?」
「あ〝ぁ…な、何でこんな事…!」
「魔人族にはね、他種族との交流に賛成派と反対派がいるわけ。長は賛成派だから世界会議なんかに出てるけど、私たち反対派も少しはいるの。今はギリギリのところで反対派は生き延びてるけど、そこに賛成派のディアさんが戻ってきたら今度こそ私達も終わりなのよ」
ガブリエラは指をねじりながら傷口から溢れる血を舐め、ペロリと舌を出した。
「知ってる?魔人族と他種族の混血は能力が圧倒的に劣るの。誇り高き魔人族が弱体化するなんて…反対派はそれが許せない」
忌々しそうに吐き捨て、ガブリエラは一旦指を抜いて付着した血を拭った。シオリはあまりの痛さに涙を浮かべる事しかできず、何も言い返す事が出来ない。
「やっぱり他種の血は美味しくないわ。本当ディアさんも馬鹿よねぇ…。人間の女なんかに絆されて、魔人族の領土を出て行くなんて。そんな人は裏切り者と変わりないわ」
「…馬鹿なのは、てめぇじゃボケ!」
「はぁ?」
ガブリエラが鋭い視線を向けた瞬間、シオリを拘束していた腕輪や足枷が粉々に砕け散った。そしてすぐさまシオリはガブリエラを蹴り飛ばした。驚くガブリエラを見て、シオリはその顔に不釣り合いな悪い笑みを浮かべている。
「ぐっ…!」
「ふぃ~…やっと目が覚めたぜ。思い出したわ、お前ガーネットと仲悪かったガブガブ女か」
「やっと来てくれたのね…さぁ早く殺し合いましょう。裏切り者には裁きを与えーゴハッ?!」
ガブリエラは嬉しそうに爪を研いでいたが、それを遮るようにシオリに憑依したディアブロの拳が彼女の腹部にめり込んでいた。
ディアブロはそのまま拳を振り抜き、ガブリエラは岩の壁に背中から突っ込んでいく。
「なんか言ったか?これから始まるのは、俺様によるただの蹂躙だろうが」
ディアブロは拳をポキポキ鳴らせると、意気揚々と走り出した。
シオリが魔人のガブリエラさんに捕まってしまった!主人公助けてあげてと願っても、今は絶賛宿題中…》
「ディアさんは、私の憧れだったの…」
うっとりした表情で語るガブリエラは、化けの皮が剥がれ、肌が白く金髪の女性へと変わっていった。シオリは震えながらも心の中でディアブロに助けを求めたが、いつもは五月蝿い位の彼の反応はない。
それを見透かしたガブリエラはふわふわ飛んでくると、鋭い赤い爪でシオリの腕をゆっくり撫でた。爪が肌に刺さり、細く赤い傷が出来上がっていく。そこから溢れた血を、ガブリエラはペロリと舐めた。
「あの人の血まみれになっても戦う姿が、大好きだったぁ。でもどんなに強い人も、結局は死んじゃうものなのよね…」
少し悲しそうにしながら、ガブリエラは懐から手帳のようなものを取り出した。年季の入ったそれを開き、あるページで手を止める。
「魔人族の長の手帳なんだけど、見てこれ」
見せられたページには、『ディアブロ生きている可能性あり』と小さく書かれていた。ハッとなるシオリの目の前で、ガブリエラは手帳を燃やした。
「私もすっかり噂を信じちゃってたけど、やっぱりディアさんは生きてたのね。その証拠に、あなたの中から彼に近い何かを感じるわ」
ガブリエラはシオリの頰をそっと撫で、妖艶な笑みを浮かべた。
「いるんでしょ?あなたの中に」
「…い、いません」
「そう…残念ね。仲良く出来ると思ったのだけど、やっぱり魔人族は他種族と相容れないのね」
ガブリエラはそう呟くと、鋭い爪をシオリの腕に突き刺した。
「ゔぁっ…!」
「いいわぁその苦しそうな表情…。あなたが苦しめば、ディアさんも出て来てくれるでしょ?」
痛みに顔を歪ませるシオリを見て、ガブリエラは蕩けた笑みを浮かべ、突き刺した爪をさらに深くへと進めていく。
「さぁ…早くしないと腕を貫通しちゃうわよぉ?」
「あ〝ぁ…な、何でこんな事…!」
「魔人族にはね、他種族との交流に賛成派と反対派がいるわけ。長は賛成派だから世界会議なんかに出てるけど、私たち反対派も少しはいるの。今はギリギリのところで反対派は生き延びてるけど、そこに賛成派のディアさんが戻ってきたら今度こそ私達も終わりなのよ」
ガブリエラは指をねじりながら傷口から溢れる血を舐め、ペロリと舌を出した。
「知ってる?魔人族と他種族の混血は能力が圧倒的に劣るの。誇り高き魔人族が弱体化するなんて…反対派はそれが許せない」
忌々しそうに吐き捨て、ガブリエラは一旦指を抜いて付着した血を拭った。シオリはあまりの痛さに涙を浮かべる事しかできず、何も言い返す事が出来ない。
「やっぱり他種の血は美味しくないわ。本当ディアさんも馬鹿よねぇ…。人間の女なんかに絆されて、魔人族の領土を出て行くなんて。そんな人は裏切り者と変わりないわ」
「…馬鹿なのは、てめぇじゃボケ!」
「はぁ?」
ガブリエラが鋭い視線を向けた瞬間、シオリを拘束していた腕輪や足枷が粉々に砕け散った。そしてすぐさまシオリはガブリエラを蹴り飛ばした。驚くガブリエラを見て、シオリはその顔に不釣り合いな悪い笑みを浮かべている。
「ぐっ…!」
「ふぃ~…やっと目が覚めたぜ。思い出したわ、お前ガーネットと仲悪かったガブガブ女か」
「やっと来てくれたのね…さぁ早く殺し合いましょう。裏切り者には裁きを与えーゴハッ?!」
ガブリエラは嬉しそうに爪を研いでいたが、それを遮るようにシオリに憑依したディアブロの拳が彼女の腹部にめり込んでいた。
ディアブロはそのまま拳を振り抜き、ガブリエラは岩の壁に背中から突っ込んでいく。
「なんか言ったか?これから始まるのは、俺様によるただの蹂躙だろうが」
ディアブロは拳をポキポキ鳴らせると、意気揚々と走り出した。
22
お気に入りに追加
5,960
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜
ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった!
謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。
教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。
勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。
元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。
力を持っていても順応できるかは話が別だった。
クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。
※ご注意※
初投稿、試作、マイペース進行となります。
作品名は今後改題する可能性があります。
世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。
旅に出るまで(序章)がすごく長いです。
他サイトでも同作を投稿しています。
更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる