異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第10章

第176話

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俺とフローリアは空に飛び、エレナを追いかけていた。ロゼッタとフェルは不死蝶の方へと向かってくれている。

転移して挟み撃ちの形になるが、エレナはそのスピードを活かしてあっさり避けて飛んで行った。それに魔弾のおまけ付きだ。
そこに下からシオンが魔弾を放って相殺し、さらに追加で放ってエレナの進路を塞いで行く。

「フローリア!」

「りょーかい」

魔弾を避けたエレナの目の前にフローリアは転移し、その場で拘束魔法をかける。そしてシオンにもやったように、全針操作でエレナの呪詛を無くした。
黒い痕がなくなると、エレナはハッとなって辺りを見回した。

「あれ?!レイどうしたの?」

「はぁ…良かった。それよりあっちがヤバイな…」


俺の視線の先では、巨大な蝶が触角から輝く光線を出して森を破壊していた。蝶の目は黒く染まっており、もしかしたら操られているのかもしれない。

「あれは全針操作でなんとかなるのか…?」

「ボウヤ!」

声のした方では、木のてっぺんに登ったシオンが大きく手を振っていた。

「ファルファラは私に任せて!」

「わかりました!じゃあすぐに運んで…」

「僕の邪魔をするのは止めて欲しいね」

「ゔっ?!」

「レイ様!」

耳元で声がしたと思ったら、俺の後ろにフォルカスがいた。そして俺の腹を、一本の剣が貫通していた。全身が焼けるように熱い。

「お、お前…!」

「ジョーカーから聞いてるよ。君は亜神なんだよね?だからこの件には滅神の呪詛をかけておいたんだ。どうだい、痛みを感じるかな?」

「あがっ……はっ………!」

フォルカスは剣をグリグリとねじるように動かし、それにより全身にとんでもない激痛が走った。あまりの痛さに、息ができなくなり呼吸が止まりそうになる。

「てりゃー!」

「おっと、もう呪詛がとけたんだね」

そこへ呪いのとけたエレナが蹴りを入れようとするが、フォルカスは剣を引き抜いてすぐに後退した。

「レイ!大丈夫?!」

「心配するな…フローリアとあいつを止めるの任せてもいいか…?」

「う、うん!」

「後は頼んだぞ…」

俺は傷口に手を当てながら、真下の森へと降下した。フリーエルはシオンを連れて飛んでいき、俺は傷口を眺めた。
傷口の周りには黒い靄のような物があり、徐々に全身に広がっている。このままでは、エレナのように操り人形になるかもしれない。

「はぁ…………はぁ………」

なんとか傷口に手を向けて回復魔法を使おうとするが、体が痺れて意識が集中できない。

「おやぁ…これは大変な事になっていますねぇ♫」

「お前……なんでここに…」

いつの間にか俺の隣にジョーカーが座っており、空を見上げて楽しそうに笑っていた。

「ここで死ぬわけにはいかないでしょぉ?治して差し上げますよ♬」

ジョーカーは俺の傷口に指を向け短く詠唱すると、傷口はすぐに塞がっていった。

「…お前があいつを連れてきたのか?」

「はぁい♪彼なら、私たちの戦力に充分役立つでしょう?」

「そうかもしれないが…あいつが協力してくれるとは思えん」

俺たちの視線の先で、フォルカスは本のページを何枚か破って宙に投げ捨てた。ページはすぐに黒い風を巻き起こし、風が止むと何人ものフォルカスが現れた。

「あれは…」

「彼は様々な呪詛を使うようですねぇ…どうですか、やっぱり戦力になりますでしょぉ?」

「とにかく、今はあいつを止める事が最優先だ。お前も手伝え」

「もちろんですよぉ~♬」

「…さっきから、なんの話してる…?」

ジョーカーの隣にいた姫が、俺たちを不思議そうに見上げて尋ねてきた。確かにこの話は俺たち以外知らないから当然の反応かもしれない。

「姫にはそのうち話しますよぉ~。さぁ姫、参りましょうか」

「………わかった」

姫はコクリと頷くと、背中にエレナのような龍の翼を生やした。
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