異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

文字の大きさ
上 下
186 / 210
第10章

第166話

しおりを挟む

「空島や…。我神なりとか言う奴でもいるんじゃねぇの?」

あれから少し時間が経ち、前方には空に浮く島が見えていた。島の周りは雲で覆われており、他のペガサス達が飛んでいるのも見える。
フリーエルは俺の前を飛び、島の方を指差した。

「あれが私たちの国、天翼島シエロ。周りの雲はフカフカで、歩くことも出来ますよ。」

「そうなんですか?!」

「楽しみー!早く行こう!」

「では、あちらの方に。」

ウヴァがペガサスに指示を出すと、2匹は島の真下へと飛んで行った。
島の真下には空洞があり、2匹は中を素早く上に飛んでいく。

「ここは?」

「この島の入口です。入国する際は、必ずここを通らなければなりません。ここ以外から入ろうとすると、どんな形であれ撃ち落とされます。」

「そ、そうですか…。」

空洞を上がりきると、確かに検問所のような所があった。そこにいた天翼族の男性にフリーエルが話をつけ、俺たちはようやくシエロに入国した。



「わぁー!すごいフカフカ!」

「これはテンション上がるな…!」

「…広い。」

俺たちは、先程見た島の周りを囲む土雲のエリアにいた。広大なマシュマロのようで、寝っ転がった瞬間ダメになりそうだ。
長に会いに行くのは明日なので、今日は島の散策となっている。

島は中心に天翼族の住むエリア、その周りをペガサスなどが住む森のエリア、そしてその周りが土雲のエリアとなっている。

「あぁ…幸せ…。」

「やばたにえん…。」

エレナと俺は、寝っ転がって伸びきっていた。太陽の光も暖かく、ここは人をダメにする島だった。フローリアは俺の隣にちょこんと座っている。

「ふふ、気に入って頂けたようで嬉しいです。」

天使のような笑みを浮かべたフリーエルが、俺たちの所に3つグラスを持ってきた。中にはわたあめのようなものが入っており、前に食べた雲アメとは違い今回のは霧に似ている。

「なんですかこれ?」

「とりあえず、飲んでみてください。」

エレナと2人でゴクリと喉を鳴らし、思い切って一気に飲んだ。

「うまっ!」

「何これ?!もっと飲みたーい!」

霧は、喉をするする通っていったがその甘さとのどごしはたまらんものだった。飲みやすすぎるりんごジュースに近い。フローリアも気に入ったのか、ストローで少しずつ吸い続けている。

「それはワタジュースです。この島の高度だから作れるもので、地上では消えてしまうんですよ。」

「へぇ…さすが天空の島。」

「あれ、なんかいるよ?」

「ん?」

エレナの指差す方には、土雲の端の方に黒い影ができていた。影は地面を自由に動きながら、こちらに迫ってきている。

「え、何あれ?」

「多分あれはー」

『バハハハハ!』

「「ぎゃぁぁぁあああああああ!!!」」

「お魚。」

フリーエルが言い切るよりも早く、俺たちの目の前に巨大なナマズが現れた。ナマズは馬鹿でかい声で笑い、俺たちを見下ろしている。

「な、なんですかこいつ?!」

「雲ナマズです。意外と美味しいんですよ!」

「いや…あれは食べたくないかな。」

「えー!食べようよ!」

『ワ…レ、ウナギ…。』

「嘘つけ!そのヒゲはなんだよ!」

雲ナマズはビクッとなると、照れたようにヒゲをふにゃにゃさせた。

『コスメ…。』

「ふざけてんのか…ってかなんでこいつ喋ってんだ?」

「体が大きいので、脳も大きいからです。まぁ喋れる単語は、5つくらいなんですけどね」

「5つのうちもう3つ聞いたんですけど…。」

「おりゃー!」

「あ、こら!」

2人で話しているそばで、エレナはナマズの方へと元気に走っていった。目を輝かせ、よだれが垂れているあたりかなり空腹なのだろう。

「あ、エレナ様!そっちはー」

「へ…?うわぁぁぁあ?!」

エレナが勢いよく走ったと思ったら、突然その姿が。正確には、雲から落ちた。

「え、何?!」

「土雲は端の方に行くにつれて、濃度が薄くなっているんです。なので、端の方に行くほど雲ナマズみたいに、雲魚の仲間が沢山いるんですよ。」

「面白いな…。」

「先に言ってえぇぇぇ……。」

随分下の方からエレナの声がしたが、『ボフン!』という音とともにエレナは雲から飛び出してきた。

「エレナ、あんまりやりすぎないようにね!」

「うん!昼ごはん獲ったどー!」

懐かしい黄金の番組で聞いたセリフを叫びながら、エレナはナマズに飛びかかった。
しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て… これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです… +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-  2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます  時々さかのぼって部分修正することがあります  誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)  感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

処理中です...