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第8章
第131話
しおりを挟む「シ、シオリさんだよな…?」
「あ〝ぁ?どう見てもそうだろうが。」
(いやいやいや、あの可愛い方言女子は何処へ?映画のジャイアンよりも変わり身がすごいんですけど。)
目の前に立つシオリは、赤いオーラが漂い今にも突っ込んできそうな感じだった。
明らかに何かが変わっており、指をポキポキならしている。
「ちょっと待ってくれ…本当に誰だ?」
「だから、シオリだって言ってんだろ。とりあえず俺と一発やろうぜ?初めて見た時から気になってたんだよ、お前かなり強いだろ?」
「だとしてもなんで戦わなきゃ…」
「うるせぇな殺しはしねぇよ。いくぜ!」
偽シオリはイライラした様子で、俺の方へと走ってきた。
走りながら右手に炎の剣を造って斬りかかってきたので、俺も氷の剣を造って振り下ろされた剣を防いだ。
「へへっ、なかなかやるじゃねぇか。」
「そりゃどーも。」
「まだまだいくぜ!」
本当にこの人誰やと思いながら、剣を弾き返し続けた。
「はぁ……はぁ……。」
「あのさ…もう、終わりにしない?だいぶ時間だったしー」
「うるせぇ!まだてめぇを殺してねぇぞ!」
「殺さないんじゃなかったっけ?!」
俺の前で偽シオリは膝に手をつきながら、肩で息をしていた。
あれから30分ほど剣を弾いたり魔力を消し飛ばしたりしたが、偽シオリは攻撃の手をなかなか緩めなかった。
「もう帰っていいかな?家の人達が心配してー」
「うるせぇ!まだ終わっちゃういね、うぉっ?!」
偽シオリが変な呻き声を出したと思ったら、膝から崩れ落ちた。
「大丈夫?!」
慌てて駆け寄ると、赤いオーラは消えてシオリはゆっくり目を開いた。オーラが消えた代わりに、今度は顔が赤くなっていく。
「す、すんまへん!うちなんて事を…!」
「あー別に大丈夫だから。それよりあれはー」
「し、失礼します!」
「あ、ちょっと!」
シオリは顔を真っ赤にしながら、走って帰ってしまった。
「一体なんだったんだ…。」
俺はあっけに取られて固まっていたが、とりあえず家に帰る事にした。
屋上の階段室の上に、レイの隣に座っていた少年・ガジルスが隠れて戦闘の様子を見ていた。
「あれが、レイ・トライデント・レストリア…。」
ガジルスはそう呟いて、不敵な笑みを浮かべた。
学生寮の一室で、シオリはベットに座っていた。目の前では、ディアブロが実体化して正座をしている。2人は切り離されたように見えるが、影だけは繋がっていた。
「ほな、何か言うことはありますか?」
「い、いやその…ほらあれだ!これであいつも良きライバルとして俺を…」
「いっこもそんな事ありまへん!あぁ…せっかく友達が出来る思うたのに、何してくれはるんですか!」
「し、知るかそんな事!もう1週間経ってるのに友達の1人もいない時点で、もう諦めたほうがいいもんだろ!」
「なっ…!初対面の方にえげつない事までしておいて、開き直りはった…。もう知りまへん!」
シオリは怒ってそっぽを向いてしまい、ディアブロは気まずそうに視線を泳がせたが、諦めて土下座した。
「あーわかった、俺が悪かったって。だから許してくれ。」
「……そ、そないしんどい事やめてください。うちももう怒っておらへんので…。」
「わかった、ありがとう!」
「あー!嘘ついてはったんですか?!」
デァブロの変わり身の早さに、シオリは顔を真っ赤にして立ち上がった。
「許されちまったなぁ~」
「もう知りまへん!」
部屋にシオリの怒った声が響いた。
「ただいー」
「マスター。」 「レイ。」
家に帰ると、玄関にロゼッタと紅葉が立っていた。2人とも殺気に近いものがもれている。
「え、なに?俺何かした?」
俺の言葉も無視して、2人は近づいてきた。そして俺の方に顔を近づけ、匂いを嗅ぎ始めた。
「ちょっ、なんか恥ずかしいんですけど…。」
「メスの匂いがします。」
「じゃな。レイ、どこぞの女を番にしたんじゃ?」
「してねぇわ!全く…何かと思ったらそれかい。」
「あ、マスター!」
「待つのじゃ!」
俺はアホらしくなって自室に戻った。
部屋に入ると、リゼが掃除をしている最中だった。
「あ、レイ様おかえりなさいませ。学園はどうでしたか?」
「まぁいろいろあったけど、楽しそうな所だったよ。」
「そうですか、もうすぐ夕食の準備が出来るのでそれまでー」
そう言いながらリゼが近づいたと思ったら、なぜか固まってしまった。
「ん、どうかした?」
「レイ様、誰か女性を手篭めにしましたか?」
「してねぇよ!」
俺の声が屋敷に響き渡った。
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