異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第7章

第119話

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俺の前に、屈強な男達が何人も並んで俺を見下ろしている。ざっと50人はいる気がする。
とりあえず、1番前の人に話しかけることにした。

「あの…なんか人数多くないですか?」

「会長からの頼みだし、給料も弾むって言ってたからな!力仕事は任せとけ!」
 
「そうですか…じゃあ紅葉、家と宿の方は頼んだよ。」

「任せておけ!」

紅葉とスサノオはいつのまにかつなぎ服に着替えており、中央の区画まで男達を連れて歩いて行った。

「マスター、遊園地はエレナと2人だけでやるんですか?」

「壁を作った時と同じ要領でやってみるよ。」

「レイ早く行こー!」

「ロゼッタはどうする?遊園地の方に来る?」

「いえ、私は厨房で皆さんの昼ご飯を。ラキさん達の料理を手伝ってきます。」

「わかった、じゃあまた後で。」

俺は頭にフェルを乗せ、エレナと2人で遊園地の区画まで飛んで行った。



「レイ、まず何から造るの?」
 
「そうだな…とりあえず大体の区画に分けるか。」

俺は遊園地の予定マップを取り出し、氷の壁でおおまかに分割した。

「エレナ、何が最初がいい?フェルも選んでいいぞ。」

エレナもマップを見てうーんと悩んでいたが、すぐに右端のエリアを指差した、

「これ!昨日の水にドッカンのやつ!」

『ぴゃっ!』

「了解。」

右の区画へと飛んでいき、降りて地面に手をついた。そして頭の中にイメージを浮かべ、地面に魔力を通す。

「『須弥山しゅみせん』」

地面に大きな魔法陣が浮かぶと、魔法陣を中心に巨大な山が出現した。

「わー!すごい!」

「じゃあ中を削って道路を作ったりして、全体的に硬くしようか。一緒にやる?」

「うん!」
 
俺はエレナとあーだこーだ言いながら、1つめのアトラクションを作っていった。



「姐さん!こんな感じですかい?!」

「充分じゃ!さすが職人なだけはあるな。」

「姐さんこそ、こんな芸術的な造りを思いつくなんざとんでもねぇ方でっせ!」

紅葉たちの班は、いつのまにか紅葉が周りから姐さんと呼ばれ家造りに徹していた。
スサノオは図面を見たりしながら指示を出し、紅葉は狐たちを呼び出して着実に作業を進めていった。



「それにしても…ここまでの料理を作るのは初めてです。」

「これはけっこうキツイっすね。」

厨房では、ラキとリトが約60人分の料理を作るためにあちこちを動き回っていた。

「マスター達も外で頑張っていますから、私達も頑張りましょう!」
  
ロゼッタもエプロンをつけ、料理作りに加わった。



「一旦休憩です!」

俺の声で全員が作業をやめ、昼休憩の時間となった。ロゼッタ達が料理を配って周り、みんな美味しそうにがっついている。

「マスター、お茶です。」

「ありがと、これめっちゃ美味いよ。」

「そ、そうですか?ありがとうございます。」

ロゼッタは頰をぽぽぽと赤くして、少しくねくねしていた。

「それにしても、なんだかすごい物が出来上がってますね…。」

ロゼッタは、俺たちの背後にそびえ立つ山を見て少し驚いているようだった。

「まだ2割くらいしか終わってないよ。早く遊園地を終わらせて、宿の班にまわろうかな。」

「午後は私もお手伝いしますね。」 

 「ありがとう。」

そんなこんなで、街づくりは驚異的な速さで進んでいった。



謁見の前日、俺とスサノオは奴隷商へと来ていた。あまり気は進まなかったが、街づくりに関係があるので仕方なく来ていた。

入口の扉を開けると、受付にはここのオーナーらしきおっさんがいた。

「レイ・トライデント・レストリア様ですね?ここのオーナーのアリヒと申します。お話は伺っております、奴隷が欲しいんでしたよね?」

「30人ほど欲しいんだけど…頼めるか?」

「かなり多いですね…人数的には大丈夫ですが、費用の方は大丈夫ですか?」

「問題ない。」

「そうですか、では参りましょう!」

俺の返事に、アリヒは嬉しそうに奥の部屋へと入って行った。


「奴隷にはいくつか種類がございます。戦闘が得意なもの、身の回りの世話をするもの、夜の奉仕をさせるものなどございますが…どんな奴隷が欲しいんですか?」

「身の回りってやつかな…ただ街に住んでもらいたいだけだからな。」

「わかりました。では、二階のほうへ参りましょう。」


アリヒに案内され二階に上がると、檻が60個ほど並んでおり中に人が収容されていた。人といっても、人間以外の種族もちらほら見受けられる。

「では、私はここで待っていますので好きにご覧になってください。」

「わかった。」

俺は端から歩いて、中の様子を伺った。当たり前なのかもしれないが、表情は虚ろな者が多かった。

「主人よ、なぜ奴隷を?」

「街に住んでもらうんだよ。人がいないから、とりあえず住んでもらって体験?みたいなのをしてもらう感じかな。その様子を見たり聞いたりした人が、こっちに移り住んできてくれるかもしれないしね。」

「なるほど。」

話しながら一通り見て、俺はアリヒの所へ戻った。

「お決まりですか?」

「そうだな…ここにいる全員は可能か?」

俺の言葉に、アリヒは目を見開いた。

「ぜ、全員ですか?!構いませんが、それだとかなりの金額に…。」

「お金の心配なら大丈夫だ。それより、この店の奴隷が一気に減るのは大丈夫なのか?」

「それなら心配ありません。奴隷は入荷できますから。」

「………そうか。」

俺は別の部屋で書類にサインをしてお金を払い、奴隷商を後にした。



「どうしようかな…。」 

アルタの街の入り口には、先程購入した奴隷が並んでいた。みんな街を見て驚いている。
とりあえず奴隷の印のような首輪を全員分壊し、街の説明をする事にした。

「えっと、この街の領主にるレイです。よろしく。」

「「「「……………。」」」」

みんな俺を見て固まっている。何かおかしな事でも言ったのだろうか?
そこで、前にいた1人の男性が口を開いた。

「あの、ご主人様はなぜ我々を買われたのですか?私達のようなタイプの奴隷は、戦闘も得意じゃないのであまり売れない傾向があるのですが…。」

「あぁ、みんなにはこの街に住んで欲しいんだよ。」

「え?!」

「明日の謁見で正式な領主になるんだけど、この街には住人がいないからね。だから、最初の住人として生活して欲しいんだ。」

「ですが…私達は奴隷ですよ?」

「ん?だから?ちゃんと家もあるよ?食材も、オリビア商会の分店とかがこの街にあるから、そこで買えるし…。あ、でも俺の新しい商会のお店とか、あそこの遊園地で働いてはもらうけどね。もちろん給料もちゃんとだす。」

「それでは…普通の国民と変わりませんよね?」

「だからそうして欲しいって言ってるんだけど…。」

俺の言葉に、何故が泣き出す者がいた。訳の分からない展開にさすがに驚く。

「え、なんで泣いてるの?!そんなに街に住むのが嫌だったかな…?」

「いえ、私達のような奴隷は貴族の欲を発散する道具に使われる事が多いので。」

「欲って…そういった奴隷は別にいるんじゃ…。」

「そっちではなく、殴られたり剣でジワジワ斬られるなどの方です。」

「そうなのか…。まぁ心配しなくていいよ。別にみんなの事を奴隷とか思ってないし、そういった制度はあまり好きじゃないからね。」

「…そうでしたか、本当にありがとうございます。」

「こちらこそ、街の復興をよろしくね。あ、でも気に入らなかったら他の街に行ってもいいよ。」 
 
「いえ、ご主人様のいるこの街で一生暮らしていきたいと思います。」

その後、ロゼッタとスサノオと共にこの街の住居に案内した。みんな綺麗さと家賃の安さに驚いていたが、喜んで入居してくれたので一安心した。

 

「マスター、住人の職業の割り当て完了しました。」

「ありがとう。」

俺は今、新しくできた領主邸なる所にいた。紅葉たちがいつのまにか建設しており、見た目は寝殿造のような和風のものだ。

「人は集まりますかね?」

ロゼッタは心配そうに訪ねてきた。街の復興の間は、一般人は立ち入りができないようにしていたので、王国の住人はどんな風になったのかを知らないはずだ。  

「住人をすぐに増やすのは難しいかもしれないけど、街に買い物をしに来る人はいると思うよ。この1週間、オリビア商会の方でも宣伝してくれてたみたいだし。

「そうですか。なら、明日一緒に買い物をしませんか?」

「いいよ、元からそのつもりだったし。」

「本当ですか?!では、謁見が終わったらすぐに!」

こうして街づくりはひと段落し、週末の謁見の日となった。





「何故あのガキが…!」

「落ち着いてくださぁい♫美人が台無しですよぉ?」

王城のある部屋に、何人かの人物が集まっていた。誕生日席にいる女性は、納得がいかないのか机を殴りつけている。

「ソラノ様、もう他に手は無いのでは…。」

「うるさいっ!こうなったら…ルイス、リスト・スプレッドのメンバーはまだ帰ってこないの?」

「ギルドマスター含め全員、エスト皇国に行っております。おそらく、あと2ヶ月ほどはかかるかと。」

ルイスと呼ばれた男性は、少し申し訳なさそうに答えた。
だが、ソラノはそれを聞いて少し嬉しそうな表情をしていた。そしてジョーカーの方を向き、口を開いた。

「ジョーカー、あなたも協力してくれるのよね?」

「それなりの報酬があれば、喜んで♪」

「そう。ふふふっ…私が女王になる日も近いわね…。やっと、やっとブレイドの死が報われる日が来るのよ…。」

どこか遠くを見つめるような瞳で、ソラノは小さく呟いた。





ソラノや他の貴族達が出て行ったあと、ジョーカーは部屋に残ったまま姫とゆっくり過ごしていた。

「それにしても、ソラノあれはダメですねぇ♫私がお仕置きをしなくても、勝手に喰われますよぉ。」

「………確かに、現実を理解できてない…。」

「全く、ソラノあれに協力している貴族達も、少し上の爵位が約束されているからってレイ君の強さを理解できていなさすぎる。無能な奴ばかりだぁ♬」

「……でも、エストとかいう国に行った人達……どうなって帰ってくるか楽しみ……。」

「さぁ、どうなるんでしょうかねぇ♫頑張ってください、レイ君お父さん。」

ジョーカーがそう言い、2人は影の中へと沈んでいった。



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