異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし

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第7章

第118話

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「うわーなんにもなーい!」

目の前の光景に、エレナは嬉しそうに叫んだ。エレナの言う通り、王都の門を出て少し歩くと不自然なくらいに家が少なくなり終いにはただの草原が広がっている。ガリアが退去を命じていたのは知っていたが、本当に何もなかった。

「でも結構広いな…。なんでも造れそう。」

「そうですね、マスターは何を造るんですか?」

「今のところは家と宿とお店、それから銀行と遊園地かな。」

「遊園地…とはなんですか?」

「子供が遊べる場所だよ。親子連れで来て、遊んでから宿に泊まれば次の日も遊べるでしょ?」

「なるほど、それでお金をがっぽりと。」

「言い方…。」

完全に夢の国のような感じだが、遠慮なく使わせてもらう事にした。

「場所はそうだな…森のあたりからは離しておくか。」

街の西側にホリネス森があり、そこ以外を開拓する事にした。大まかに東側に遊園地や宿、北側と南側を含めた中央に家や商店などを建てる事にした。

「宿は紅葉にお願いしようかな。」

「なぜ妾なのじゃ?」

「あの寝殿をいくつか家と宿に採用しようと思っててね。どうかな?」

「そうか、なら妾に任せておけ!」

「スサノオも宿の班にまわってくれる?」

「わかりました。」


とりあえず紅葉とスサノオに宿の方を任せ、今度はエレナを呼んだ。

「エレナは俺と遊園地の班でいいかな?」

「いいよ!なんか楽しそう!」

「決まりだね。」

「マスター、私はどうすれば?」

「ロゼッタは銀行とか財政の班にまわってもらおうかな。詳しい資料は今日の夜までにまとめて渡しておくから。」

「わかりました。」

「それじゃあ…。」

俺は一旦空へ飛び、街の全体を見下ろした。とりあえずわかりやすく区分けするために、右手に氷の球を作った。

「『氷神の吐息ブライニクル』」

球を地面に投げつけ着弾すると、10cmほどの氷の壁がみるみる出来上がっていった。これで、どこに何を造るかの目印にはなる。

「紅葉、資材がオリビア商会の方にあるからスサノオとここまで運んでおいてくれる?」

「わかった!」「了解した。」

「俺は会長のところに行くから、ロゼッタとエレナはついてきてくれるかな?」

「わかりました。」「はーい!」

最後に森へ行き、そこから5人でオリビア商会へと向かった。



「もう始めるのかい?」

「いえ、今日は建てる物とかを決めて作業は明日からです。」

「わかった、建築関係の人を招集しておこう。でもそれだけでいいのか?他にもまだ…」

「大丈夫です。木材とかも貰ってますし、後は自分たちで出来ますよ。」

「そうか、なら完成したら遊びに行こう。遊園地?とやらもあるんだろ?」

「はい、完成したら伝えますね。」

家や宿の方は紅葉たちと商会の職人達に任せて、俺は帰ってロゼッタと財政の相談をする事にした。



「なるほど、保険というものは面白いですね。」

俺とロゼッタは幻夢の図書館ドリーム・ライブラリーの中で、銀行に関連する本を漁りまくっていた。

「保険はこの世界にはないみたいだしね…。結構使えるかも。」

「融資というのも面白いですね。これなら、お金のない者でも商売を始められるという事ですか。」

「結構面白い…あ、エレナが呼んでる。」

「マスター、財政の調査については私に任せて遊園地の計画に行って大丈夫ですよ。」

「助かる、また後で戻ってくる。」

目を開けると、エレナが俺の頰をつついていた。

「あ、起きた。」

「どうかした?」

「なんか楽しい道具がいっぱいあるんでしょ?」

「うん、エレナも何か案があったら出してくれるかな?」

「了解であります!」

遊具の開発のため、今度はエレナと庭に向かった。



「うわぁ!」

庭で、エレナが羽を使わずに宙に浮いている。エレナの足にはサーフボードのようなものがつけられおり、ボードの下から水が勢いよく吹き出している。ボードの下に魔石が埋め込まれており、足から魔力を流せば水が出て宙に浮くという単純な仕組みだ。

「これ楽しい!」

「移動できる?」

「うん!」

エレナが少し前に体を傾けると、少しずつ前に進んでいった。水飛沫がすごい。

一旦降りてもらい、今度は小さい車に乗ってもらった。車といってもハンドルはなく、代わりに安全バーの様なものしかない。バーを下ろし、車の前方に薄い水の壁を作った。

「今度は何が起きるの?」

「絶対に身を乗り出さないでね?」

「わ、わかった!」

エレナはがっしりとバーを掴み、俺は車の後ろにつけられている魔石に魔力を通した。瞬間、魔石は小さな爆発を起こして車は水の壁に向かって突進した。

「うわぁぁぁああ!ぷはっ!」

車がぶつかると水が弾け飛び、少し先で車は止まった。見ての通り、スプラッシュ・マ○ンテンに近い感じの遊具だ。

車の所へ行き顔を見ると、エレナは放心状態といった感じだった。

「お、おーい。大丈夫…?」
 
「これ楽しい!もう1回やって!」

「えぇ…まぁ気に入ってくれたならいいか。」

結局その後20回くらいやったところで紅葉とスサノオが帰ってきたので、みんなで家の中へと戻った。


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