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第7章
第115話
しおりを挟む煙がはれると、地面に小さなロパープが気絶していた。
「まさかあれが本体だったとは。」
「それよりマスターは?!」
ロゼッタが飛び出していこうとした瞬間、地面に黒い穴が生じてそこからレイが出てきた。
「マスター!」
「た、ただいま?ってかなんかすごい地面えぐれてるね。」
ルージュたちも寄ってきて、レイの無事に安堵している様子だった。
「レイ君、大丈夫だったかい?」
「はい。それと、この魔物の大群を出したという奴に会ってきました。」
「本当?!どんな奴だったの?」
「ジョーカーという男でした。それと、今回の件はその…第二王妃から依頼された、と。」
俺の言葉に、その場にいた全員が少し納得したようななんともいえない表情をした。
「とりあえず、王城に戻って陛下に報告しようか。」
「了解です。」
ルージュの提案により、レイたちは急いで王国へと戻っていった。
王国に戻ってルージュにジョーカーの事を詳しく伝え、俺は家に帰った。
一応試験会場に向かったが、すでに試験は終わっており面接を受けることは叶わなかった。
「まじかよ…転生して入試不合格とか前例ないだろ…。」
「マスター、大丈夫ですか?」
「あ〝ぁぁぁあ…もうイヤ…。」
「大丈夫です!もしダメだったとしたら私と旅にでしましょう!楽しいですよ?」
「それも悪くないかもと思ってる自分がいる…。まじでどうしようかなぁ。」
「とりあえず、今日は帰って寝ましょう。今日は色々大変でしたからね。」
「そうだね…。」
俺はテンション下げ気味で家路に着いた。
「レイ様!試験はどうでしたか?」
「森の調査?に向かったんですか?」
家に帰ると、リゼとシュティレが待ち構えていた。俺は申し訳ない気もしながら、今日あった事を説明した。
「なるほど…レイ様、お疲れ様でした。」
「副団長ですからね、それはしかたありません。」
「2人とも怒らないの?」
「何にですか?」
「いや…だから試験すっぽかした、みたいな。」
「そんな事しませんよ。」
リゼはふわりと笑い、俺を優しく抱きしめた。
「それに、そのような事情があれば面接の分は免除してくれたりとかないですかね?」
「どうだろう…まぁご飯食べて今日は早く寝よっか。ありがとう2人とも。」
2人に礼を言い、俺は自室に戻った。
「どうしよう、これ…。」
俺は寝る前に、ベットのそばに布団を敷いてジョーカーから貰ったたまごを置いた。怪しい人から貰ったものとはいえど、流石にドラゴンが産まれて朝起きたら家が壊れてるなどはないと思うのでそのまま布団であっためる事にした。
たまごに毛布を巻いて、すぐに俺は眠りについた。
「………………ん………?」
朝起きると、なんだかくすぐったい気がして目が覚めた。
『ぴゃぁっ!』
「んあっ?」
可愛い声がした気がして少し顔を上げると、胸元に小さい犬のようなモフモフ動物が尻尾を振って俺を見つめていた。
「……あれ?どこから来たの、きみ。」
とりあえずモフモフを抱えてあたりを見ると、下の布団にあったはずのたまごが粉々になっている。
「え…?犬ってたまごから産まれないよね?」
鑑定すると、【フェンリル(幼獣)】と書かれていた。
「フェンリルってたまごから産まれるの?」
『ぴゅぃ~?』
何言ってんだお前みたいな感じで首を傾げられ、俺はため息をついた。
「まぁいいか、よろしくな。」
『ぴゃぁっ!』
今度は嬉しそうに俺の周りをぴょんぴょん跳ね回っている。なんだか父性をくすぐられる可愛さだ。
「あれ、契約とかした方がいい?」
『ぴゃっ!』
今度は俺の体にすり寄ってきたので、優しく撫でながら名前を考える事にした。
「うーん…なんかあるかな。かっこいい系とかの方がお好みか?」
『ぴぃゃ~』
なんだがご機嫌なので方針はかっこいい系で決まった。だが、ペットの名前などスライムのベム以来考えたことがないので、なかなか決まらなかった。
「みんなで考えるか。」
『ぴゃっ!』
とりあえずフェンリルを抱きかかえてリビングに向かった。
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