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第7章
第110話
しおりを挟む魔物の大群がかなり遠くに見える辺りで馬をつなぎ、陣形を整えた。作戦通り、騎士団と接近戦が得意な冒険者が前衛、魔道士団が中衛で後衛に回復などサポート系の魔道士が並んだ。
5つのチームに分かれ、左からサレア・俺・ルージュ・ジェラール・ティナが指揮をとることになっている。
俺はロゼッタとスサノオを連れて最前線に立ち、大群を見据えた。
「やはりとんでもない数ですね…。」
「あれだけの数を用意できるとは、なかなかやるようですね。」
「みたいだな。それに飛んでるやつがいるな…。」
魔物の中には、ガーゴイルやファングバットなど飛行型の魔物がいた。
あれは地上から撃ち落とすのはめんどくさそうなので、先に殺る事にした。隣とはいえ、かなり離れているルージュに声をかける。
「ルージュさん!」
「どうかした?」
「飛んでる奴らを先に撃ち落としてもいいですか?」
「頼もしいね、お願いしよう。」
俺は右腕を後方に伸ばして、詠唱した。
「『戦の神の盾』」
すると、右手に雷で出来た丸盾が出現した。俺は盾の縁を持ち、魔物たちを見据えた。
「ったく、人の試験中に出てきやがって…。異世界で入試不合格とか聞いたことねぇ、よ!」
俺は体を一回転させ、どこぞのアメリカのキャプテンのように盾をぶん投げた。
盾はものすごい速さで飛んでいき、1匹のガーゴイルをすり抜けた。雷で出来ているので、盾がすり抜けた魔物たちは感電死して墜落していく。
盾は止まることなく、5分ほど空中を飛び続けてブーメランのように戻ってきた。俺が盾をキャッチすると、盾は『バリッ』と言う音を出して霧散した。
「さすがです、マスター。」
「いや、それより…。」
飛行型の魔物は全て撃ち落としたはずだったが、大群の奥の方から何匹か再び飛んできていた。
「あの奥に何かあるな。ロゼッタ、ティナさんのところで援護を頼めるか?」
「わかりました、何かあればお呼びください。」
「スサノオはサレアの所を頼む。」
「かしこまりました。」
ロゼッタは戦乙女の姿になって飛んでいき、スサノオは龍の翼で飛んで行った。
「さぁ、ちゃっちゃと終わらせて帰ろうか!」
2万の魔物との戦いが、始まろうとしていたー。
王族たちは自室で待機している。紅葉はマリアの部屋で警護にあたり、エレナはエリザベスの部屋にいた。
「紅葉様、レイ君の試験はどうなったんでしょうか?」
「途中で抜けてきたらしいぞ。まぁ、あれだけの数ならやむを得ないのだろう。」
「そんな…。」
マリアは面接が終わるとともに、すぐに自室へと連れてこられたのだ。そして現状を聞き、驚いていた。
「なに、すぐに終わらせて帰ってくるだろう。それより、レイからもらった魔道具に魔力を流しておくのじゃ。何か怪しい物を感じる。」
「わ、わかりました!」
マリアがネックレスに魔力を通し、紅葉は王城内の魔力を感じ取るのに専念した。
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