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第6章
第98話
しおりを挟む「わぉ…。」
目の前に心躍らせるような遺跡があった。1番左の入り口がFランクのダンジョンとなっているらしい。
「なんか出会いを求めそうになるよね。」
「なんでですか?」
「なんとなくだよ。」
黒髪ツインテールの女の子や、金髪ロングの女性と会えないかなと思いながら入ろうとすると、異質な魔力が近づいてくるのを感じた。
「なんだ?!」
「こっちに来てますね。」
「なかなか強そうなのが来ておるな。」
辺りを見回しても何もいなかったが、空を見ると何かがものすごい速さでこちらに迫ってきていた。
「何だあれ…?こっちにきて…ぎぁやぁぁぁぁあああ!!」
「マスター!」 「レイ!」
何かと確認しようとした瞬間、それのスピードが更に上がり、俺にタックルをかましてきた。
あまりの速さと力に、俺を中心に地面が凹んでいた。
「がはっ…な、なにが…。」
起き上がると、黒髪でも金髪でもない綺麗な白髪の女性が俺の腰に抱きついていた。いや、抱きつくと言うよりは体当たりに近かったのだが。
「だ、誰?!」
「…良かった、やっと会えたよ!じっとしててね…。」
「何を…んっ!?」
突然の美女の襲来に驚く間も無く、女性は俺に口づけをした。
唇同士が合わさった瞬間、俺を中心に白い魔法陣が出現した。
(この魔法陣どっかで…ってか息がっ!)
「ぷはっ!」
女性が離れ、俺は息を大きく吸った。苦しむ俺と対照的に、女性は頰を赤く染めながらも嬉しそうにしている。
「これでずっと一緒だね!」
「えっと、誰でしょうか…?」
理解の追いつかない俺の言葉に、女性はムッとして睨んできた。
「エレナだよ!前に龍の国で会った!」
「エレナ…?えっ?!だって、その姿は…。」
俺の記憶の中のエレナは俺より背が低いはずだが、目の前にいる人は女子高生くらいの見た目だった。
「あっちの世界はこっちと時間の速さが違うって言ってたでしょ?」
「あ、そういえば…ってなんで、その、キスしたの…?」
「龍の国でお互いを想い合う男女のキスは、婚約の印なんだって!はいこれ。」
そう言ってエレナは懐から一通の手紙を出した。差出人はアイナさんだった。
周りがポカンとしている中、俺は手紙を翻訳して読んでみた。
『レイ君へ
エレナがどうしても会いたいと言うので、
そちらの世界に花嫁修行をさせに行きます。
エレナの事をよろしくね。
追伸 孫は男の子と女の子がいいわ!
アイナ 』
俺は手紙の内容に頭を悩ませた。恐らく、エレナは帰るつもりなどないのだろう。
「その、さっきのキスは…婚約したって事かな?」
「うん!嫌だった…?」
「嫌じゃないです!」
「マスター?!」 「レイ?!」
「やったー!」
目を潤ませながら美女に迫られて、断れる男などいるはずなかった。それに嫌な事など微塵もないので、拒否する理由などなかった。
「えへへ、今日からよろしくね!」
まぁエレナも嬉しそうだしいいかと思い、俺たちはダンジョンに潜る事にした。
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